毎月1日といえば、一般料金が1,000円、1,100円で映画を鑑賞できる、“映画サービスデイ”。
特に1日が休日に当たった場合、多くの映画ファンで劇場はごった返します。
2017年10月1日も、そんな日でした。
この日、Theater Cafe(名古屋市中区大須)の座席を埋めた映画ファンは、割引料金で観られる話題作より、今日ここでしか観られない魅力的なプログラムを選んだ観客だったのです。
若手映画監督を、応援し隊!
上映されたプログラムとは、【若手映画監督応援上映会 in 名古屋vol2】。
「わかな会」小松豊生代表が、文字通り若い映画監督とその作品を応援したい一心で開催している名物企画で、Vol1と同じく今回も1ドリンクオーダーのみの無料上映でした。
“名古屋短編映画の聖地”Theater Cafeに足を運んだ映画ファンは、まだ観ぬ作品に期待を寄せ、わかな会の情熱を支持し、小松代表の選作眼を信じたのです。
【若手映画監督応援上映会 in 名古屋vol2】は【Vol1】より更にパワーアップし、4監督5(?)作品を、プログラムAを15時から、プログラムBを18時から、2プロに亘り上映するという何とも贅沢な企画。
しかも、トークゲストとして小松代表と共に登壇した若手の映画監督の作品は名古屋初登場とあって、観客の注目も相当なもの。
そして、前週【野本梢監督特集上映2~こずえってぃWithますもってぃ】で盛り上がった野本梢監督(&増本竜馬 出演)作品を含んだプログラムもあるとくれば、観客のボルテージは否が応にも高まります。
上映作品は、以下の通り。
(☆印以外は、両プロ共通)
当日のトークと併せてご紹介します。
埼玉の農業を、PRし隊!
『農家のお嫁にいらっしゃい』(2015年/30分)
監督:中泉裕矢 脚本:たかせしゅうほう
出演:芦原健介、北野雄大、村木雄、遠藤恭葉、生見司織、舞木ひと美、小原雄平、小澤貴
ストーリー:農家の独身男3人組。高校時代一番の老け顔だった友人が結婚する。「あいつが結婚できたのはIT企業で働いてるからだ!」と、IT企業青年と偽って婚活コンパに参加するが…。
MC.(小松豊生) 中泉監督は、なぜ農家の映画を撮ろうと考えたんでしょう?
芦原健介(主演) 川口市の【SKIPシティ】が助成金を出して、埼玉県の農業をPRする映画を撮るという主旨だったんです。埼玉県の入間市で撮っています。どうせなら皆が笑える物を、ということでコメディになったそうです。今日、凄く久しぶりに観たんですが……僕、全然気にしてなかったんですけど、(劇中と)服装が今日一緒なんですよね(場内笑)。観た瞬間、思わず「マジか」と声が出たんですが、わざとではありませんので(笑)。
小松 撮影は、2年前でしたっけ?
芦原 そうです。僕は、物持ちが良いので(場内笑)。
理想のキッカーと、理想の蹴られ役と
『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』(2015年/30分)
監督:佐藤快磨
出演:太賀、岸井ゆきの、牧田哲也、中田みのり他
ストーリー:ある日、木吉はコンビニで女性店員マコトに客がクレームをつけている場面に出くわす。気が付くと木吉は客にドロップキックを…
佐藤快磨監督 好きな人の為なら、自分を変えてまで一緒にいたくなる……そんな感じを描きたかったんです。恋愛に対する臆病さみたいなところは、自分自身が投影されてるのかもしれません。
小松 キャスティングは、監督の希望なんですか?
佐藤監督 太賀さんは、プロデューサーが勧めてくださって。岸井(ゆきの)さんは、『気づかいルーシー』という主演の舞台を観てまして、マコトのイメージに凄く合っていたのでプロデューサーにお願いしたんです。そうしたら、プロデューサーも全く同じ舞台を観ていて、既に声を掛けていただいていたんです。
Q. 太賀さんは、いきなりドロップキックが出来たんですか?
佐藤監督 それが、出来たんです……素晴らしい運動神経で、アクションはバッチリでした。あまりに綺麗だと不自然なので、ちょっと抑えて蹴ってもらったくらいで。岸井さんも、新体操をやってらしたので、身体が凄く柔らかったんですね。アクション指導の方に「理想的な蹴られ役」と言われていました(笑)。
思ってる時点で、普通じゃない
『金色』(2017年/29分)
監督:布瀬雄規
出演:細川岳、天羽尚吾、松岡眞吾、根口昌明
ストーリー:厨房のなかに入れず焦っている見習いの憲二は、盲目の青年・実と出会う。憲二は次第に実に心を開き始めるが…
布瀬雄規監督 金髪の盲目の方を実際に見たことがあって、脚本を書く時一つのフックとしました。恋愛関係なら良くあると思うんですけど、恋愛でシナリオを書いてみると、僕の描きたいものとは違ったんですね。僕自身のことを考えると、ハンデのある方と普通に接したい、接しようと思うんですけど、出来ない……って言うか、「普通に」って思ってる時点で、普通じゃないじゃないですか。そういうことを描きたかったんです。
Q. 憲二役の細川岳さんが、凄く魅力的でした
布瀬監督 ありがとうございます、彼とは凄く長い付き合いなんです。最近舞台で活躍されてる天羽尚吾さんが演じる実のことは良く言われるんですが、憲二は細川くんの当て書きみたいなところがあるので、そう言ってもらえるのは嬉しいですね。
☆『オー・マイ故郷~ヒガハス~』(2014年/13分)
監督:野本梢
出演:吉田貴幸、増本竜馬、山下ケイジ、巴山祐樹、北山由季
ストーリー:コンプレックスを抱える純が地元の電車撮影の聖地「ヒガハス」に友人と訪れることに
☆『円罪』(2011年/25分)『母との旅』(2014年/25分)
監督:中泉裕矢
芦原健介 本来、中泉監督がプレゼンをするはずだったんですが、仕事が多忙で来られませんでしたので、僕がプレゼンを……いや、2本とも出てないんですけどね、僕(場内笑)。観終わった後、嫌な気持ちになりたいなら『円罪』に、温かい気持ちになりたいなら『母との旅』に、手を挙げてください。
※観客の挙手により、『円罪』を上映※
また、【Vol1】でフレッシュな作品を観せてくれた、堀江貴大監督、山本尚志監督の近況が、山本監督が制作したミュージックビデオと共に紹介されました。
プログラムBが終了すると、会場を移すことなくシアターカフェで親睦会が執り行われました。
若手映画監督と映画ファンが花を咲かせる映画談義で、大須の夜は大盛り上がりのまま更けていくのでありました。
さて、Theater Cafeは、10月も企画が目白押し。
10月21日(土)からの『尊く厳かな死』上映も待たれます。(配給:ニューシネマワークショップ)
『尊く厳かな死』(2015年/60分)は、中川駿監督が尊厳死をテーマに撮った作品で、10/22(日)14:00の回上映後には中川監督と日本尊厳死協会東海支部の安藤明夫理事によるトークショーが予定されています。
お問い合わせ、上映スケジュールなど、詳しくはこちらへどうぞ。
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