
2026年6月21(日)、ナゴヤキネマ・ノイ(愛知県名古屋市千種区今池1-6-13 今池スタービル2F)にて、
映画『焼け石と雨粒』
舞台挨拶が開催された。
登壇したのは、本作で鮮烈な長編デビューを飾った櫛田有耶監督と、主演の佐野弘樹だ。

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7割(!?)の実体験本作の出発点は、2019年の暮れ、櫛田有耶監督が当時交際していた女性と新宿で繰り広げた「凄まじい喧嘩」にある。
「暴れてわーっとなっている自分」を客観視し、その滑稽さを映画にしようと決意したことが、本作の血肉となったという。
監督自ら「7割くらいは実体験」と語る通り、劇中で佐野弘樹演じる晶の姿は、監督自身の惨めな記憶が容赦なく投影されている。
その「あけすけな羞恥」こそが、既存の恋愛映画を破壊する圧倒的なリアリティの正体だ。

「目を合わせない」監督の残像
主演の佐野弘樹は、オーディション時に脚本を読み「これ俺できるかも」と直感したという。舞台挨拶では、晶を演じる上でのユニークな役作りについて明かされた。
佐野は監督と対話する中で、監督が「目を合わせず、相手の顎のあたりをぼんやり見る」という独特の癖を持っていることに気づいた。
「晶という人物には、この不安定な目線の感じが必要だ」
と確信した佐野は、その仕草を演技に取り入れたのだとか。
監督の分身としての「危うさ」と、俳優・佐野弘樹が持つ「気品」の衝突……
それが、晶という「生理的に受け入れ難いのに目を離せない」希有なキャラクターを完成させたのである。

6年の歳月がもたらした「必然」の劇場公開
本作は2020年に撮影され、2022年に完成しながらも、パンデミックの影響もあり一度の上映を除いて長らく忘却されていた。この「死んでいたも同然」の映画を救い出したのは、平野勝之監督、そしてカンパニー松尾監督へと繋がれた「人間の情熱」のバトンだ。
佐野は
「撮影から6年経った今のタイミングで公開されることが、逆に良かった」
と語る。
20代半ばの、今の自分ではもう再現できない「みずみずしい狂気」が刻まれたこの作品が、時間を経て世に出ることに「奇跡」と「必然」を感じているということか。
【動画公開】「晶」と「沙月」の関係性の裏側
この動画には、ナゴヤキネマ・ノイで行われた舞台挨拶の全貌が記録されている。
監督が明かす
「お母さんと二人でネットカフェに泊まった」
という実体験ベースの驚愕のエピソードなど、動画でしか聴けない貴重なトークが満載だ。
動画を視聴することで、作品の背景にある「現世の呪い」を浄化しようとする彼らの執念をより深く理解し、もう一度スクリーンで確認したくなるはずだ。

劇場の暗闇で「毒の雨」を浴びよ
『焼け石と雨粒』は、観客に優しく手を振るような映画ではない。しかし、晶という「クズ」で「ピュア」な男の無益な足掻きを、沙月という「ゲス」で「コケティッシュ」な存在を、直視した時……
私たちは自分自身の内側にある「不細工な肯定」に出会うことになる。
ナゴヤキネマ・ノイという新たな映画の拠点で、この「劇薬」が放つ熱量をぜひ体感してほしい。
鑑賞後、雨の中を傘も差さずに歩きたくなるような、忘れがたい余韻があなたを待っている――。


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