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俳優としても名高い利重剛監督が、『さよならドビュッシー』以来13年ぶりにメガホンを取った長編映画が、5月1日(金)より全国順次ロードショーとなる。

『ラプソディ・ラプソディ』

今作は、現代日本における「他者との関わり」の不確かさと豊かさを音楽的な感性で描き出した珠玉のヒューマンドラマ。
主演を高橋一生に、舞台を横浜に、繰り広げられるオリジナルストーリーだ。

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『ラプソディ・ラプソディ』ストーリー

パスポート更新のために住民票をとった夏野幹夫(高橋一生)は、自分が知らないうちに「繁子」という名の女性と一年ほど前に結婚していたことを知る。
叔父・大介(利重剛)からは被害届を出すことを勧められるが、幹夫は正体不明の妻を自分で探すことにする。
数少ない手掛かりも邂逅には結びつかない中、偶然通りかかった花屋で「夏野さん」「しーちゃん」と呼ぶ声が聞こえてきた。
ようやく見つけた「夏野繁子」(呉城久美)だが、幹夫をみとめると猛ダッシュで逃走。
花屋の同僚ゴイチ(芹沢興人)の協力で繁子と対峙した幹夫は「離婚する理由もない」と言い、二人の奇妙な結婚生活が始まる。
だが、幹夫の振舞いに繁子はイライラを募らせる。
幹夫は、度を越した「絶対に怒らない男」だったのだ――。

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「縫い合わせる」人生の妙

この物語は、タイトルの「ラプソディ(狂詩曲)」という言葉に極めて深い意図を込めている。

音楽用語としての「ラプソディ」は、ギリシャ語の「rhapto(縫う)」と「ode(歌)」を組み合わせた「rhapsōǐdia(ラプソイディア)」を語源とする。
かつて吟遊詩人が叙事詩の断片を即興的に「縫い合わせ」て壮大な物語を紡いだように、本作もまた異質な要素を有機的に結びつける構造を持っている。

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物語の起点となるのは、主人公・夏野幹夫(高橋一生)が戸籍謄本に見知らぬ「妻・繁子」の文字を発見するという、不条理かつ暴力的な「入籍」だ。
人付き合いを避け、自分の人生という楽譜に不協和音が入り込むことを嫌ってきた幹夫の静謐な日常「ラッサン」(Lassú/Lassan≒導入部)に、破天荒な繁子(呉城久美)という激しい旋律「フリスカ」(Friss/Frisuka≒急展開)が強引に縫い合わされる。

平穏な日常から逸脱する急展開こそが、新たな物語を生成するエネルギーとなるのだ。

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「ラプソディ」から『ラプソディ・ラプソディ』へ

この物語は、風変わりで少し苦味がある「ラッサン」で始まる。
そして、幹夫は嵐のような「フリスカ」に巻き込まれる。

だが、幹夫にとっての「フリスカ」は、繁子にとっては「ラッサン」に過ぎない。
また、幹夫の「ラッサン」はというと、繁子にとっては「フリスカ」なのだ。

幹夫は破天荒な繁子が理解できず、繁子は温厚すぎる幹夫にイライラを募らせる。
二人がお互いのことを知ろうとすると、それが互いにとってのフリスカと化す。

『ラプソディ・ラプソディ』……単なるラプソディではなく、ラプソディ×ラプソディという訳だ。

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「絶対に怒らない男」に潜む危うさと批判的視点

とはいえ、本作は決して単なる「おかしな出会いのラブコメディ」に終始しない。
そう、所謂「スクリューボール・コメディ」ではない。

幹夫の「絶対に怒らない」という性格に対し、主演の高橋一生自身が鋭い分析を寄せている。
高橋によれば、幹夫の優しさは他者との深い関わりを拒絶する防衛本能の裏返しであり、相手を「守りたい」「こうしてあげたい」という善意は、知らず知らずのうちに相手を「弱い存在」として固定し、その上に立とうとする傲慢さを孕んでいる。
この「不干渉という名の無関心」は、現代社会の冷ややかな側面を射抜いており、一部の観客には幹夫の徹底した非現実的キャラクターに苛立ちや違和感を抱かせるかもしれない。

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横浜の街とジャズが導く「開かれたエンディング」

また、勝手に籍を入れるという繁子の行為も極めて暴力的であり、物語の導入にある種の無理を感じるという否定的な意見も予想される。
しかし、そうした「歪さ」こそが、本作を真のラプソディたらしめている。

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世界的ジャズ・ピアニスト大西順子が手がけた音楽は、即興性を重んじるジャズの魂を作品に吹き込む。
時にスリリングに、時にメロウに、セッション感あふれる劇伴が、言葉にならない感情の対話を鮮やかに彩る。

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撮影が行われた横浜市中区の、新旧が入り混じる街並みもまた、異質な要素を「縫い合わせた」ラプソディそのものだ。
実在のカフェやレストランが登場し、映画と現実が地続きのように感じられる演出は、観客に対して「映画館を出た後も、街のどこかで彼らの人生が続いている」という余韻を強く残す。

『ラプソディ・ラプソディ』の「フリスカ」は、登場人物を激流に飲み込むだけではない。
観客が観ている世界を、劇場の外の風景をも変えてしまうのだ。

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人生を「狂騒」される勇気

本作は、完璧な解決(フィナーレ)を提示するのではない。
歪なまま繋ぎ合わされることの美しさを肯定する。

人生は一つのテーマだけで構成される必要はない。
悲哀、歓喜、混乱が不器用に縫い合わされることで、初めて唯一無二の「叙事詩」が完成するのだ。
誰かによって人生のリズムを乱され、勝手に書き換えられることのなかにこそ、真の救済があるのかもしれない。

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106分の映画体験を終えたとき、見慣れたあなたの街も、いつもとは少し違うリズムで動き出しているように感じるはずだ。
不器用な魂たちが横浜の街角で出会い、新しい物語を縫い合わせるその瞬間を、ぜひ劇場の暗闇で目撃してほしい――。

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『ラプソディ・ラプソディ』

5月1日(金)より
テアトル新宿シネスイッチ銀座伏見ミリオン座
ほか全国順次ロードショー

高橋一生 呉城久美 利重 剛 芹澤興人 大方斐紗子 関口和之(友情出演) / 池脇千鶴

監督・脚本:利重 剛 音楽:大西順子

プロデューサー:中村高寛 利重 剛
撮影:池田直矢 照明:舘野秀樹 録音:小川 武 美術:林 チナ 趙 心智
スタイリスト:浜井貴子 衣装:吉田直美 ヘアメイク:宮崎智子 編集:小野寺絵美
助監督:近藤有希 制作担当:森満康巳 俳優担当:大崎章 プロデューサー補:後藤清子 スチル:森 日出夫
製作:利重 剛 後援:横浜市中区役所 配給:ビターズ・エンド

2026/日本/カラー/DCP/5.1ch/106分/G

©2026 利重 剛

公式HP: https://www.bitters.co.jp/rhapsody/
公式X:@Rhapsody_movie
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