2026年4月4日(土)、シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 スタービル1F)にて
映画『済州島四・三事件 ハラン』
舞台挨拶が行われた。
※よろしければ、こちらも※
1948年4月3日から発生し、3万人以上が犠牲になりながらも数十年にわたり語ることが禁忌とされてきた「済州島四・三事件」を、一組の母娘の生存闘争として描き出した本作。
前日の4月3日に日本公開初日を迎えたばかりの劇場には、満席の熱気が渦巻いた。
登壇したのは、本作の脚本・監督を務め、自身も済州島に13年以上暮らすハ・ミョンミ監督だ。

海岸線から5km以上離れた「敵性区域」を出入りする者は無条件に射殺するという非人道的な「焦土化作戦」が布告された、済州島である。
物語の主人公は、海女として力強く生きてきたアジン(キム・ヒャンギ)と、6歳の娘ヘセン(キム・ミンチェ)。
村々が焼き尽くされ、島民の約10%が虐殺されるというジェノサイドが吹き荒れる中、二人は漢拏山(ハルラサン)の深い森へと逃げ込む。
監督はマクロな政治状況の解説を最小限に抑え、暗闇に身を潜め、深い森を走破するといった「身体的な体験」を通じて、歴史を「今ここにあるもの」として再定義した。
韓国国内の上映ですら字幕が必須とされるこの「言葉の砦」を守るため、監督は10名の言語研究家による厳格な監修を仰いだ。
「娘が母を呼ぶ呼称」一つに胃痛を覚えるほどこだわったというエピソードは、歴史の闇に葬られた名もなき犠牲者たちの尊厳を取り戻そうとする監督の執念を象徴している。
これまでのヒロイン的イメージを捨て、泥濘の中で娘を守り抜く「野生の生命体」としての母を演じきったキム・ヒャンギの身体表現も、その真正性を力強く支えている。

本作のワールドプレミアは、2025年の「あいち国際女性映画祭」であり、監督はそこでの日本の観客との出会いを「歴史的文脈の中での特別な縁」と表現している。
済州島四・三事件は、虐殺を逃れて日本(大阪や名古屋)へ渡り、在日コリアン社会を築いた人々にとって現在進行形の痛みでもある。
監督は準備段階でこの事実に直面し、本作が国境を越えて記憶を繋ぐバトンとなることを強く願っていたという。
「抵抗の映画史」を刻んできたシネマスコーレという場所で、満席の観客に迎えられた事実は、その祈りが確かな共鳴を生んだ証と言える。

これは、国家暴力という厳冬に晒されながらも絶えなかった生命力のメタファーだ。
劇中、歴史を記述できないまま横たわる「白碑(ペクビ)」を捉えた映像は、観客に対して「誰がこの惨劇を記憶にとどめるのか」という重い問いを突きつける。
119分の逃避行を共にした観客は、済州島の美しい風景の裏側に眠る名もなき人々の声に、これまでとは違う耳を澄ませることになるのだ――。


ポレポレ東中野
シネマスコーレ
ほか全国順次公開
出演:キム・ヒャンギ(『神と共に』2部作、『無垢なる証人』、『雪道』)、キム・ミンチェ、ソ・ヨンジュ、キム・ウォンジュン
脚本・監督:ハ・ミョンミ プロデューサー:ヤン・ヨンヒ 撮影:オム・ヘジョン 音楽:キム・ジヘ 音響:ムン・チョルウ
編集:イ・ヨンジョン 照明:シン・テソプ 美術:キム・ジンチョル
2025年|韓国|韓国語|カラー|119分|シネスコ|5.1ch|原題:한란
©Whenever Studio
配給:シネマスコーレ、MYSTERY PICTURES
HP: https://hallan-movie.com
X: @hallan_film
映画『済州島四・三事件 ハラン』
舞台挨拶が行われた。
※よろしければ、こちらも※
1948年4月3日から発生し、3万人以上が犠牲になりながらも数十年にわたり語ることが禁忌とされてきた「済州島四・三事件」を、一組の母娘の生存闘争として描き出した本作。
前日の4月3日に日本公開初日を迎えたばかりの劇場には、満席の熱気が渦巻いた。
登壇したのは、本作の脚本・監督を務め、自身も済州島に13年以上暮らすハ・ミョンミ監督だ。

「赤狩り」の嵐の中、命を繋いだ母と娘
本作の舞台は、1948年10月。海岸線から5km以上離れた「敵性区域」を出入りする者は無条件に射殺するという非人道的な「焦土化作戦」が布告された、済州島である。
物語の主人公は、海女として力強く生きてきたアジン(キム・ヒャンギ)と、6歳の娘ヘセン(キム・ミンチェ)。
村々が焼き尽くされ、島民の約10%が虐殺されるというジェノサイドが吹き荒れる中、二人は漢拏山(ハルラサン)の深い森へと逃げ込む。
監督はマクロな政治状況の解説を最小限に抑え、暗闇に身を潜め、深い森を走破するといった「身体的な体験」を通じて、歴史を「今ここにあるもの」として再定義した。
済州語に宿した「言葉の真正性」
本作の最も真摯な演出上の選択は、全編を標準的な韓国語とは大きく異なる「済州語(済州方言)」、しかも事件当時の古語で構成した点にある。韓国国内の上映ですら字幕が必須とされるこの「言葉の砦」を守るため、監督は10名の言語研究家による厳格な監修を仰いだ。
「娘が母を呼ぶ呼称」一つに胃痛を覚えるほどこだわったというエピソードは、歴史の闇に葬られた名もなき犠牲者たちの尊厳を取り戻そうとする監督の執念を象徴している。
これまでのヒロイン的イメージを捨て、泥濘の中で娘を守り抜く「野生の生命体」としての母を演じきったキム・ヒャンギの身体表現も、その真正性を力強く支えている。

「あいち」から始まった特別な縁
ハ・ミョンミ監督は舞台挨拶の最後に、本作と日本、特に愛知との深い繋がりに言及した。本作のワールドプレミアは、2025年の「あいち国際女性映画祭」であり、監督はそこでの日本の観客との出会いを「歴史的文脈の中での特別な縁」と表現している。
済州島四・三事件は、虐殺を逃れて日本(大阪や名古屋)へ渡り、在日コリアン社会を築いた人々にとって現在進行形の痛みでもある。
監督は準備段階でこの事実に直面し、本作が国境を越えて記憶を繋ぐバトンとなることを強く願っていたという。
「抵抗の映画史」を刻んできたシネマスコーレという場所で、満席の観客に迎えられた事実は、その祈りが確かな共鳴を生んだ証と言える。

雪の中に咲く「ハラン」のように
タイトルの「ハラン(寒蘭)」は、冬の漢拏山に自生し、雪を突き抜けて花を咲かせる済州島固有の蘭を指す。これは、国家暴力という厳冬に晒されながらも絶えなかった生命力のメタファーだ。
劇中、歴史を記述できないまま横たわる「白碑(ペクビ)」を捉えた映像は、観客に対して「誰がこの惨劇を記憶にとどめるのか」という重い問いを突きつける。
119分の逃避行を共にした観客は、済州島の美しい風景の裏側に眠る名もなき人々の声に、これまでとは違う耳を澄ませることになるのだ――。


『済州島四・三事件 ハラン』
2026年4月3日(金)ポレポレ東中野
シネマスコーレ
ほか全国順次公開
出演:キム・ヒャンギ(『神と共に』2部作、『無垢なる証人』、『雪道』)、キム・ミンチェ、ソ・ヨンジュ、キム・ウォンジュン
脚本・監督:ハ・ミョンミ プロデューサー:ヤン・ヨンヒ 撮影:オム・ヘジョン 音楽:キム・ジヘ 音響:ムン・チョルウ
編集:イ・ヨンジョン 照明:シン・テソプ 美術:キム・ジンチョル
2025年|韓国|韓国語|カラー|119分|シネスコ|5.1ch|原題:한란
©Whenever Studio
配給:シネマスコーレ、MYSTERY PICTURES
HP: https://hallan-movie.com
X: @hallan_film
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