2026年3月22日(日)シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)にて

映画『星野先生は今日も走る』

舞台挨拶が開催された。

上映終了後、に登壇したのは、本作で映画初主演を飾ったみやぞんと、物語の鍵を握る生徒・理央を演じた柊吾だ。
満員の観客からの万雷の拍手に包まれた二人は、客席との近さに驚きながらも満開の笑顔を見せた。

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王道ヒューマンドラマの皮を被った「裏切り」の衝撃

本作は、産休代替教員として田舎の学校に赴任してきた自称・熱血教師の星野裕一(みやぞん)が、令和を生きる子どもたちの問題に全身全霊でぶつかっていく姿を描いている。
一見すると爽やかな感動巨編を彷彿とさせるが、相馬雄太監督が「制作コンセプトは『裏切り』」と語る通り、物語は観客の予想を鮮やかに、そして残酷に裏切っていく。

みやぞん自身が「今までこのパターンはない新感覚の映画」と語る通り、教育現場の美談を解体し、無知ゆえの独善が招く悲劇を浮き彫りにするその構成は、SNS上でも
「ホラー映画より怖い」
「教育ドラマ史上に残る問題作」
と大きな波紋を呼んでいる。

子役・柊吾が体現した「目に見えない困難」

舞台挨拶に登壇した柊吾は、本作で読み書き障害に悩む少年・春風理央を演じた。
理央が勇気を出して星野に秘密を打ち明け、共に学習に取り組むシーンは劇中屈指の「救い」を感じさせる場面だが、そこにも相馬監督らしい鋭い視点が介在している。

撮影現場では、ディスレクシア(読み書き障害)や吃音を題材にした短編(『ぼくときみの小さな勇気』21年)を制作してきた相馬監督の指導のもと、柊吾は理央の繊細な揺らぎを見事に表現した。
みやぞんは、柊吾の演技について撮影現場での裏話を披露しながら、俳優としての高い集中力を絶賛した。



社会問題の深層を突く「三浦有為子」の脚本術

本作の重層的な物語を支えているのは、映画『明日の記憶』で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した三浦有為子の筆致だ。

教育虐待を受ける伊藤瑛斗(山口暖人)や、ギフティッドゆえに不登校となっている宮本カナ(三浦あかり)など、現代の子供たちが抱える多角的な社会問題を、安易な解決に導くことなく突きつける。

「今のままでいい人なんていないんだよ」
という星野の言葉が、ある生徒にとっては福音となり、別の生徒にとっては呪縛となる皮肉。
舞台挨拶では、その台詞の裏側にある「正しさの暴力」についても示唆され、観客は上映後の静かな興奮とともに、自身の教育観を激しく揺さぶられることとなった。

スコーレの闇の中で輝く「宝石」

主題歌Hazy Sparkle「宝石」が流れるエンドロールを終え、劇場が明転した際の、あの独特の静寂こそが本作の価値を物語っている。
「子供たちを家族だと思っている」
と豪語する星野の情熱は、果たして救いだったのか、それとも――。

名古屋シネマスコーレでの上映は3月27日(金)まで続く。
みやぞんという稀代の個性が「陽」のオーラを反転させて挑んだこの怪作は、3月27日からのアップリンク吉祥寺での凱旋上映へと、この熱いバトンを繋いでいく。

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『星野先生は今日も走る』公式サイト

https://www.hoshinosensei.top/