2026年3月20日(金・祝)、シアターカフェ(名古屋市東区白壁4-9)にて
映画『繕い合う・こと』
舞台挨拶が開催された。
登壇したのは、本作で長編監督デビューを飾り、脚本・編集・主演の四役を兼任した長屋和彰監督だ。

映画『カメラを止めるな!』での神谷和明役として知られる俳優・長屋和彰が、表現者としての主体性を追求し構想から6年をかけて完成させた渾身の作を携え、名古屋のファンと対峙した。
兄弟を取り巻く、菊池豪、篠原篤、大沢真一郎、山本由貴といった共演陣の熱演にも注目してほしい。
監督・アニメーション作家として活躍するふくだみゆきの「怪演」には驚かされるはずだ。
長屋監督は、脚本執筆中に行き詰まっていた折に偶然出会った「金継ぎ」のドキュメンタリーに強い着想を得たという。
金継ぎの本質は「壊れる前の状態に戻す」ことではなく、「壊れたという歴史を肯定し、新たな価値を付与する」ことにある。
この哲学が、一度は壊れかけた兄弟の絆を、時間をかけて再び繋ぎ合わせる物語の核心となった。
セリフを極限まで削ぎ落とし、日常の食事やコーヒーを淹れる所作、静止画のように動かない画面構成を通じて、キャラクターの心情を雄弁に物語る手法だ。
説明過多な表現を排除した余白こそが、観客が自らの家族の記憶を投影する装置として機能していて、かつて『カメラを止めるな!』でタッグを組んだ上田慎一郎監督は
「観客の想像力を信じた上品で熱い映画」
と評したそう。
俳優・長屋和彰が見せた「二つの顔」
『繕い合う・こと』編集作業において、自らの演技を客観視しすぎるあまり主人公である自分の出番をいかにカットするか苦悩したという長屋監督。
3月20日から29日(日)まで『繕い合う・こと』を上映するシアターカフェは、そんな表現者・長屋和彰の多面性を堪能できる特別なプログラムを用意している。
3月20日から22日(日)までの3日間は本作の上映に加え、愛知県を舞台にしたSFクライムサスペンス『INTER::FACE 知能機械犯罪公訴部』のリバイバル上映が行われているのだ。
「監督・主演」として自らのビジョンを完遂させた『繕い合う・こと』と、「俳優」として下向拓生監督の世界観に徹した『INTER::FACE』の三国検事役。
受動的な役者という立場にもどかしさを感じ、自発的な発信を決意した長屋にとって、その両面を名古屋の地で同時に提示できたことは、極めて意義深い到達点となった。

「全ての映画が誰かの一番になれると信じている」
という考えを持つ長屋監督の言葉は、触れれば火傷しそうな宣戦布告のような熱さではなく、欠けた器を丁寧に繋ぎ合わせる漆や金粉のような静かで確かな温かさを帯びていた――。


映画『繕い合う・こと』
舞台挨拶が開催された。
登壇したのは、本作で長編監督デビューを飾り、脚本・編集・主演の四役を兼任した長屋和彰監督だ。

映画『カメラを止めるな!』での神谷和明役として知られる俳優・長屋和彰が、表現者としての主体性を追求し構想から6年をかけて完成させた渾身の作を携え、名古屋のファンと対峙した。
金継ぎというモチーフが象徴する「修復と肯定」
本作は、亡き父の跡を継ぎ「金継ぎ師」となった兄・護(長屋)と、兄に対して焦燥や羨望を抱く弟・幹(黒住尚生)の不器用な関係を描いた物語。兄弟を取り巻く、菊池豪、篠原篤、大沢真一郎、山本由貴といった共演陣の熱演にも注目してほしい。
監督・アニメーション作家として活躍するふくだみゆきの「怪演」には驚かされるはずだ。
長屋監督は、脚本執筆中に行き詰まっていた折に偶然出会った「金継ぎ」のドキュメンタリーに強い着想を得たという。
金継ぎの本質は「壊れる前の状態に戻す」ことではなく、「壊れたという歴史を肯定し、新たな価値を付与する」ことにある。
この哲学が、一度は壊れかけた兄弟の絆を、時間をかけて再び繋ぎ合わせる物語の核心となった。
「引き算の美学」が促す観客との対話
演出面において、本作は徹底した「引き算」が貫かれている。セリフを極限まで削ぎ落とし、日常の食事やコーヒーを淹れる所作、静止画のように動かない画面構成を通じて、キャラクターの心情を雄弁に物語る手法だ。
説明過多な表現を排除した余白こそが、観客が自らの家族の記憶を投影する装置として機能していて、かつて『カメラを止めるな!』でタッグを組んだ上田慎一郎監督は
「観客の想像力を信じた上品で熱い映画」
と評したそう。
俳優・長屋和彰が見せた「二つの顔」
『繕い合う・こと』編集作業において、自らの演技を客観視しすぎるあまり主人公である自分の出番をいかにカットするか苦悩したという長屋監督。
3月20日から29日(日)まで『繕い合う・こと』を上映するシアターカフェは、そんな表現者・長屋和彰の多面性を堪能できる特別なプログラムを用意している。
3月20日から22日(日)までの3日間は本作の上映に加え、愛知県を舞台にしたSFクライムサスペンス『INTER::FACE 知能機械犯罪公訴部』のリバイバル上映が行われているのだ。
「監督・主演」として自らのビジョンを完遂させた『繕い合う・こと』と、「俳優」として下向拓生監督の世界観に徹した『INTER::FACE』の三国検事役。
受動的な役者という立場にもどかしさを感じ、自発的な発信を決意した長屋にとって、その両面を名古屋の地で同時に提示できたことは、極めて意義深い到達点となった。

日常という聖域を分かち合う場所
靴を脱いで入店し、定員19名という濃密な空間で映画を共有するシアターカフェという場所が、本作が描く「日常の尊さ」や「丁寧な暮らし」と深く共鳴していた。「全ての映画が誰かの一番になれると信じている」
という考えを持つ長屋監督の言葉は、触れれば火傷しそうな宣戦布告のような熱さではなく、欠けた器を丁寧に繋ぎ合わせる漆や金粉のような静かで確かな温かさを帯びていた――。


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