
2026年2月23日(月・祝)シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)にて
映画『怪獣天国』
舞台挨拶が開催された。
天皇誕生日の祝日12:25の回の上映終了後、満席の劇場に登壇したのは、本作の監督である日本バカ映画界の巨匠・河崎実監督と、その愛弟子であり『翔んだタックル大旋風』を手掛けた小野峻志監督の二人だ。

巨匠たちの遺志を「勝手に」継承した22大怪獣の饗宴
本作『怪獣天国』は、河崎監督にとって自身のキャリアの集大成ともいえる作品である。
着想の原点は、特撮の父・円谷英二がかつて語った「いつか怪獣天国が」という言葉や、実相寺昭雄監督が企画しながらもボツとなった着ぐるみ総登場の「宇宙人15+怪獣35」という構想にある。
河崎監督は「偉大な先人たちの夢を勝手に実現させた」と豪語している。
1968年の『怪獣総進撃』の11大怪獣の倍、22体もの怪獣をスクリーンに解き放った。
CG全盛の時代にあえて「着ぐるみ」にこだわり、実相寺昭雄監督の手によるオリジナル怪獣マミトラー、先代三波伸介デザインの怪獣テラインコグニータ、現代のソフビ文化から参戦したクトゥルフオイドなどが入り乱れる光景は、まさに怪獣ファンにとっての「天国」そのものである。
幸田町「怪獣倉庫」が支えた独立映画の奇跡
低予算でありながらこれほど多くの怪獣を動員できた背景には、愛知県幸田町との深い地域連携がある。
河崎監督は町おこし映画の制作を機に、東京では保管が困難な大型の着ぐるみを同町に寄贈し、「怪獣倉庫」を構築した。
この倉庫に良好な状態で保管されていた過去作の怪獣たちが一挙に動員されたことで、実在する造形物による圧倒的なお祭り映画が誕生したのである。
『ウルトラマンブレーザー』で主演を務めた蕨野友也をあえて「中古レコード屋のシングルファーザー」という等身大の役柄に配した河崎監督は
「ヒーロー役俳優が持つ誠実さを、シュールな状況下で際立たせるギャップの笑い」
を狙ったそう。
※よろしければ、こちらも※
師・河崎実から弟子・小野峻志へ継承される「どアホウ」の精神
本イベントは、同日14:10から上映された小野峻志監督の商業デビュー作『翔んだタックル大旋風』との合同舞台挨拶という形式を採った。
河崎監督は小野監督に対し、
「タイトルとキャスティングがすべて」
「5行で説明できる映画を作れ」
という自身の映画術を伝承している。
小野監督は師匠の教えを受け継ぎつつも、不条理なホラー要素や社会風刺を加え、「令和で一番くだらない映画」を更新し続けている。
河崎監督が「物(着ぐるみ)への愛」を原動力とするのに対し、小野監督は「概念(ジャンル)の破壊」を武器とする。
この対照的な師弟によるトークは、日本のインディーズ映画界における「バカ映画」の系譜が着実に次世代へと手渡されていることを観客に印象付けた。
シネマスコーレという「特区」で鳴り響く宣戦布告
舞台挨拶終了後には合同サイン会が開催され、監督とファンが直接交流するミニシアター特有の熱気に包まれた。
まるで都心の只中・浅草に遺るアナログレコード屋のように、再開発が進む名古屋駅で昭和レトロの薫りを守り続けるシネマスコーレ。
この極小の宇宙で、22体の怪獣と殺人タックルの狂気が交差した一日は、効率や理屈を越えた「映画の自由」が立ち現れた瞬間であった。
「これからも懲りずにヘンな映画を作り続けていく」
という河崎監督に、観客からの大きな拍手が送られた――。

映画『怪獣天国』公式サイト
https://kaiju-tengoku.com/
コメント