
2026年2月23日(月・祝)シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)にて
映画『翔んだタックル大旋風』
舞台挨拶が開催された。
天皇誕生日の祝日14:10の回の上映終了後、満席の劇場に登壇したのは、本作の小野峻志監督と、その師匠であり「バカ映画の巨匠」として知られる河崎実監督だ。
師弟による合同舞台挨拶という、スコーレらしい濃密な「祭り」が開催されたのだ。

「どアホウ」から「大旋風」、継承される不条理の魂
本作は、2023年に自主制作作品『野球どアホウ未亡人』でミニシアター界に波乱を巻き起こした小野峻志監督の商業デビュー作である。
大学のアメフト部を舞台に、スポ根、ホラー、ラブコメを闇鍋のように煮込んだ本作は、小野監督自ら「令和で一番くだらない映画」を更新すると豪語する怪作だ。
小野監督は舞台挨拶で、本作の企画が
「思いのほか通ってしまった」
という衝撃の経緯を明らかにした。
師匠の河崎監督からは、低予算の中でいかに馬鹿馬鹿しいことを真剣にやるかという精神を受け継ぎつつ、独自の「ねっとりとした狂気」を注ぎ込んだ。
「愛」に取り憑かれた恋愛モンスターと豪華キャストの受難
物語は、憧れの先輩を追って日ノ丸大学アメフト部に入部した秋子(吉田伶香)が、先輩の事故死を知り、自ら選手として「殺人タックル」の特訓に励むという狂気的なラブストーリー。
主演の吉田伶香は脚本を読んだ際、
「イエローフラッグを投げたくなった」
と戸惑いを隠せなかったというが、現場では監督の熱血指導にタックルする勢いで応えたそう。
また、「ウルトラマンZ」の平野宏周、「牙狼〈GARO〉-魔戒ノ花-」「魔進戦隊キラメイジャー」の水石亜飛夢、そして重鎮・佐野史郎といった豪華キャストが、小野ワールドの毒気に当てられ、その爽やかさや威厳を自ら解体していく姿が観客の爆笑を誘った。
特に佐野史郎の怪演は、前半のサスペンスパートに絶妙な緊張感を与えている。
※よろしければ、こちらも※
下調べなしの「ライブ感」が産む言語化不能のカタルシス
また、小野監督がアメフトについて一切下調べせず制作に臨んだという衝撃の事実が舞台挨拶で明らかになった。
唯一のアメフト経験者である平野宏周に現場で「これはアメフト的にアリなのか?」と確認しながら作るという行き当たりばったりな手法をとったことが明かされた。
この「外し」の作家性こそが本作の真骨頂。
昭和の熱血ドラマを彷彿とさせる主題歌「恋の危険タックル」に乗せた特訓シーンや、脈絡なく発砲する刑事(森山みつき)など、論理を越えた描写の積み重ねが、ラストシーンの「言語化不能のかっこよさ」へと収束していく。
単なるパロディではなく、作り手と観客が「どアホウ」な価値観を共有する共犯関係の結実といえる。
路上まで続く「スコーレの熱気」
舞台挨拶終了後には、両監督による合同サイン会が開催された。
劇場の外まで続くファンの列は、かつての自主映画黄金時代を思わせる熱気に包まれていた。
「同じアホなら踊り狂って翔べ」
スクリーンから放たれた強烈なタックルは、洗練された現代のエンタメに対する痛烈なアンチテーゼとして、名古屋の観客の胸に深く刻み込まれた。
シネマスコーレでの上映は2月27日まで続き、その後も各地でこの「大旋風」は不祥事と同様まだまだ吹き荒れる模様だ――。


『翔んだタックル大旋風』公式サイト
https://tackle.united-ent.com/
コメント