
地元・広島での先行上映が好評のうちに幕を閉じ、いよいよ2026年1月31日(土)より池袋シネマ・ロサほかにて全国順次ロードショー公開となる
『シケモクとクズと花火と』
生きづらさを抱える現代人の悩みや虚しさを「他者との関わり」を通じて肯定していく、オール広島ロケで描かれたミステリアスな青春映画だ。

『シケモクとクズと花火と』ストーリー
リビングのテレビで流れるワイドショーに一人毒づく、杉山末子(遠藤祐美)。34歳の末子は夢も恋人もなく、母と二人で広島で暮らす。
末子は居酒屋「まめすけ」で十年以上バイトしていて、マスター(GIN)や女将(東ちづる)に頼りにされている。
ある日、まめすけに大学生・朔人(仲野温)という新人バイトが入った。
末子は、要領がよくコミュニケーション能力も高いが軽薄な朔人とどうも馬が合わない。
末子と朔人はバイトの帰り道が一緒になり、若者が車椅子の高齢者集団に暴行を受ける現場を目撃してしまう。
なす術なく逃げようとする二人を、「見張り」と称する謎の少女・アコ(森美雨)が呼び止めた。
脅された末子と朔人は、渋々アコの言うことに従うのだが――

次世代の才能とベテランが織りなす「広島の熱量」
本作の魅力は、可能性を秘めたキャストと実力派スタッフの化学反応にある。
主人公・末子には、『ろくでなし』(17/奥田庸介監督)『かぞくへ』(18/春本雄二郎監督)でヒロインを務めた遠藤祐美。
冴えない日常を生きる女性を等身大かつ魅力的に体現し、圧倒的な力量で観る者を魅了する。

もう一人の主人公・朔人には、俳優に専念するためにYouTuberを引退したという異色の経歴を持つ、仲野温。
特撮ドラマ「牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者」映画『OUT』海外ドラマ「TOKYO VICE season2」とすべてオーディションでメインキャストを勝ち取ってきた実力を遺憾なく発揮した。

また、本格的な演技が初めてとは思えない森美雨、広島県出身の塚本恋乃葉らフレッシャーズたちが放つ輝きも観逃せない。
さらに、広島出身のベテラン・東ちづるが居酒屋の女将役として脇を固め、作品に深い説得力を与えている。

「自分を知る」ための旅と、圧倒的な肯定感
監督は、上海国際映画祭ノミネート『キヲクドロボウ』(07)、『僕らは動物探検隊』(14)『三十路女はロマンチックな夢をみるか?』(17)『ディープロジック』(20)と、自主・メジャーを問わず活躍する山岸謙太郎。脚本は、NHK土曜ドラマ「3000万」を手掛けた注目の脚本家弥重早希子。
広島大学出身の弥重が描く物語には、その土地の空気が色濃く反映されている。

映画に散りばめられているのは、虚無感、過干渉といった現代を生きる者たちが漠然と、しかし深刻に抱える「生きづらさ」の数々。
そして、解決することが困難な日常の中での「気づき」が、ロードムービー風に繊細かつ爽やかに描かれる。
広島のテレビでもお馴染みの近藤夏子が書き下ろしたテーマソング「Good day by day」のポジティブな歌声が、彼らの旅路を鮮やかに彩る。

スクリーンの向こう側に広がる「明日の自分」
「これまでの自分よりも、これからの自分の方が少しだけ素敵だと思える」そんな祈りにも似たメッセージが込められた本作は、単なるご当地映画やロードムービーの枠を越え、観る者の「虚しさ」を優しく包み込む。
『シケモクとクズと花火と』は、美しく軽やかで風変わりな、ちょっと毛色の違う青春映画に仕上がった。
広島の美しいロケーションとともに、日常の延長線上にある小さな奇跡を、ぜひ劇場で受け取ってほしい。
闇の中のスクリーンに浮かび上がるのは、明日からのあなたの姿なのかもしれない――。

『シケモクとクズと花火と』
2026年1月31日(土)より池袋シネマ・ロサ
ほか全国順次公開
出演:遠藤祐美 仲野温 森美雨 塚本恋乃葉 GIN / 東ちづる
監督:山岸謙太郎
脚本:弥重早希子
製作・配給:えびふらいレコーズ
97分
©えびふらいレコーズ
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