
2025年12月20日(土)、「インディーズ映画の聖地」シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町)にて
【第11回 モーレツ!原恵一映画祭in名古屋】
が開催された。
今回の上映作品は、1998年公開
『映画 クレヨンしんちゃん
電撃!ブタのヒヅメ大作戦』
公開から27年を経てなお色褪せない名作を、フィルムが「ピンピン」の極上状態で鑑賞するという、シネフィル垂涎の贅沢な一夜となった。

「名古屋に来ると飲んじゃうから」原監督欠席の裏事情
今回、原恵一監督本人は惜しくも欠席となった。その理由は「健康診断」とのことだが、その裏には「名古屋に行くと(楽しくて)どうしてもお酒を飲みすぎてしまう」という、監督らしい愛知への信頼と、診断直前の自制心があったようだ。
監督から「あとは任せた」と公認で全権を委託された、映画祭スタッフの柴田英史(組長)と高橋義文(園長)の両氏が登壇し、監督不在を感じさせない濃密な「公認」トークを展開した。
アクション映画の先取りと「お色気」という母親像
トークでは、本作がいかにアクション映画として先駆的であったかが語られた。『ミッション:インポッシブル』シリーズに先んじて「意思を持つコンピューターウイルス」を扱っている点など、現代の視点から見ても驚きが多い。
また、キャラクター「お色気」の造形についても深い考察がなされた。
彼女は単なるエージェントではなく、しんちゃんの突飛な行動を引かずに笑って受け止める「母親」としての器量を持って描かれている。
原監督によるキャラクターの性格づけの細やかさと丁寧さが、作品の強度を支えているのだ。
やりたい放題の2作目と「ブリブリざえもん」の正体
長編1作目『暗黒タマタマ大追跡』での制作の苦しさを経て、2作目となる本作では監督の力が抜け、「やりたい放題」にオマージュを詰め込んだ感がある。脚本なしでいきなり絵コンテに入るという原監督独特のスタイルが、後半の怒涛の展開を生んだ。
物語の鍵を握る「ブリブリざえもん」については、1997年に発売された野原しんのすけ名義の絵本がヒントになっているという秘話も披露された。
原作者・臼井儀人先生が劇中でカラオケを歌い、しかも殴られるというメタ的なギャグも含め、当時の熱量がスクリーンから溢れ出していた。
チラシで振り返る原恵一の軌跡と「これから」
イベント後半では、原恵一監督の劇場映画デビュー作『エスパー魔美 星空のダンシングドール』から最新作『かがみの孤城』まで、当時の貴重なチラシを見ながらのフィルモグラフィー紹介が行われた。宣伝文句の変遷や、キャラクターデザインへのこだわりなど、ファンには堪らないエピソードが次々と飛び出した。
原監督は現在、次回作に向けて着々と準備を進めており、脚本は概ね上がって「動きまくっている」状況だという。
健康診断を無事に終え、再び元気な姿で名古屋に現れるその日を、我々「帝国民」は待たずにはいられない。
この映画祭を追体験することは、常に効率や理屈を求める現代の我々に、失われつつある「純粋な創造のエネルギー」を補う大きな一助となるはずだ。
気が付けば10年以上続いている(!!)この映画祭は、単なる上映会を超え、監督の魂と観客が共鳴する場所として、これからもシネマスコーレの歴史に刻まれ続けるだろう。




モーレツ!原恵一映画祭in名古屋 公式Xhttps://x.com/hara_eiga758
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