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2025年12月12日(金)から12月17日(水)にかけて愛知県名古屋市で開催されている

【あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル】
(ANIAFF)


招待上映作品の一つとして、世界的巨匠・山村浩二監督の長編アニメーション

『幾多の北』

上映前トークショーが、12月14日(日)ミッドランドスクエアシネマ(名古屋市中村区名駅4-7-1 5階)にて開催された。

ゲストとして登壇したのは、監督・脚本・作画を務めた山村浩二(アニメーション作家)監督と、愛知県立芸術大学のALIMO(有持旭)教授という豪華な顔ぶれ。

世界を制した山村浩二監督!受賞歴155を超える「孤高の詩人」

本作『幾多の北』は、2021年に日本とフランスで制作された長編アニメーション。

山村監督は、1987年に東京造形大学を卒業したアニメーション界の巨匠であり、その功績は凄まじい。
『頭山』(02年)は第75回アカデミー賞にノミネートされ、「今世紀100年の100作品」の1本にも選出された。
さらに『カフカ 田舎医者』『幾多の北』など、監督作はアヌシー、オタワ、ザグレブ、シュトゥットガルトといった世界最高峰のアニメーション映画祭で155以上の賞を受賞している。
2024年には『とても短い』がカンヌ監督週間公式セレクションに選出され、絵本「おやおや、おやさい」は50万部を超えるロングセラーとなるなど、その活躍は多岐にわたる。
監督ご自身も紫綬褒章を受章し、東京藝術大学教授も務めるなど、その地位は揺るぎない。

記憶の断片と世界の認識を問う「北」の記録

『幾多の北』は、詩的で内省的な言葉で、世界の普遍的な孤独を表現する。

主人公が
「これから話すのは、私が北で出会った人々の記録だ。ただ記憶は断片的で、まったく要領を得ない。
 今はこれが徒労ではないかと焦り始めている」
と語る物語は、「北はどこの北も淋しい」「此処はどこも北なのだ」という静かな問いかけから始まる。
まるで世界の実存を認識させられるような、胸の鈍い知覚に訴えかけるような、そんな映像詩である。



上映前トークでは、山村監督自身が作品に込められた制作意図や、アニメーションという形式を通じて表現したかった断片的で要領を得ない「北」の記録、すなわち世界のありようについて深く語られた。
愛知県立芸術大学客員教授も務める山村監督と、同大学教授のALIMO氏との対談は、この哲学的な作品世界を紐解く上で、観客にとって貴重な機会となった。

トーク後の本編上映では、観客は静かに山村浩二が問いかける世界の「北」の意味に刮目した――。