
『湯を沸かすほどの熱い愛』、『浅田家!』をヒットさせ、多くの映画賞を獲得、映画界にその名を轟かせた、中野量太監督。
中野監督は、長編デビュー作の『チチを撮りに』も合わせ、一貫して「家族」の姿を描き続けてきた。
そんなファミリー・ムービーの大家・中野量太監督が、満を持して世に送り出す5年ぶりの新作
『兄を持ち運べるサイズに』
翻訳家で作家の村井理子が実際に体験した数日間を綴ったノンフィクションエッセイ「兄の終い」が原作の本作。
疎遠だった兄の急死でバラバラになっていた家族が後片付けに奔走する4日間を描いた実話を、中野量太監督の脚本により笑って泣けるロードムービーに仕上がった。
原作者の村井も『兄を持ち運べるサイズに』はお気に入りのようで、公開に先駆けて実兄への手紙風のメッセージを寄稿している。

『兄を持ち運べるサイズに』ストーリー
ある夜、作家の理子(柴咲コウ)が知らない番号の着信に出てみると、兄(オダギリジョー)の急死を知らせる警察官からの電話だった。兄とは疎遠で、調子の良い理由で金の無心ばかりしてくるメールにも理子は無視を決め込んでいた。
理子は、兄が住んでいた東北の警察署で兄の元嫁・加奈子(満島ひかり)と娘の満里奈(青山姫乃)と7年ぶりに再会。
兄と同居していた息子の良一(味元耀大)は、一時的に児童相談所に保護されていた。
兄を荼毘に付した理子は、加奈子、満里奈と共に兄と良一が住んでいたアパートの片付けを始める。
ただでさえゴミ屋敷も同然の部屋は、兄の死後5日を経過して悪臭漂う修羅場と化していた――。

主人公の理子を演じるのは、名女優・柴咲コウ。
想像力豊かだが常に物事を俯瞰するクールな一面を持つ村井理子という難役を、見事に演じ切ってみせた。
マイペースで自分勝手な兄に幼い頃から振り回されてきた妹だが、観る者は時にトリッキーな行動をする理子に笑って泣いて振り回される。

映画史上稀にみる「ダメ兄」を演じたのは、オダギリジョー。
前半と終盤で印象の変わる振り幅の大きな役どころは、彼でなければ成立しなかったであろう。
物語を引っ掻き回す元凶である兄は、観客の心をも搔き乱す。

さらに、兄と離婚した元嫁・加奈子役の満島ひかりが、抜群の存在感を見せつける。
主要人物の中で理子と血の繋がりがない唯一の存在である加奈子が、「家族とは?」という主人公の疑問に一番の回答をぶつける。
車中にせよ処理場にせよ、理子と加奈子ふたりのシーンはどれもこれも名場面だ。

そして、忘れてはならないのが、理子の姪・満里奈役の青山姫乃と、甥・良一役の味元耀大の名演。
『湯を沸かすほどの熱い愛』にしても『チチを撮りに』にしても、配役の裏表はあれど中野量太が描く家族は、いつでも子どもたちが主役だ。
親が遺したものを、子どもはどんな風に受け止めるのだろうか……ファーストシーンとラストシーンは、是非とも刮目して観てほしい。

「めっちゃ面白い映画を作ったので観てね!」
監督がこんなことを訴える映画は、滅多にお目に掛かれるものではない。
映画作家・中野量太監督は、自分が「面白い」と思う原作から、自分が「面白い」と思う脚本を作り、自分が「面白い」と思う家族を描いた。
映画を観るあなたと、「面白い」を共有したくて。
映画を観たあなたは、一体どんな「面白い」を持ち帰るだろう。
持ち帰った「面白い」を、今度はあなたが共有してほしい。
大切な人と……できれば、家族と――。
『兄を持ち運 べるサイズに』
11月28日(金)〜TOHOシネマズ日本橋
ミッドランドスクエアシネマ
ほか全国ロードショー
【出演】柴咲コウ オダギリジョー 満島ひかり 青山姫乃 味元耀大
斉藤陽一郎 岩瀬亮 浦井のりひろ(男性ブランコ)足立智充
村川絵梨 不破万作 吹越満
【脚本・監督】中野量太
【音楽】世武裕子【原作】村井理子「兄の終い」(CEメディアハウス刊)
【製作】崔相基 小林敏之 和田佳恵Eric Le Bot高丹篠田学
【エグゼクティブプロデューサー】後藤哲【企画プロデュース】小川真司
【プロデューサー】片山武志 若林雄介 久保田恵
【アソシエイトプロデューサー】黃茂昌 黃寶嫻
【配給】カルチュア・パブリッシャーズ
『兄を持ち運べ るサイズに』公式サイト
https://www.culture-pub.jp/ani-movie/©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会
コメント