2025年10月10日(金)、
『愚か者の身分』
10月24日(金)全国公開に先駆け、ヤングプレビュー試写会がミッドランドスクエアシネマ(名古屋市中村区名駅四丁目7-1)にて開催された。
現代社会に潜む闇と若者の絆を描き、国際的な舞台で最高評価を受けた世紀の一作が、ここ尾張の地で逸早く観客を熱狂の渦に巻き込んだ。
上映後のスクリーンに登壇したのは、主演の一人であるマモルを好演した林裕太さんと、本作で初の男性が主人公の映画に挑んだ永田琴監督。
満員で膨れ上がった観客席を前に、釜山国際映画祭「最優秀俳優賞」受賞という輝かしい実績を背負った二人が、本作に込めた熱い魂を語った。
本作は、社会問題となっている「闇ビジネス」から抜け出そうと藻掻く若者3人の3日間の逃走劇を描いた、トリッキーで予測不能なサスペンス大作。
タクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)は劣悪な環境で育ち、SNSで女性を装って個人情報を引き出し、戸籍売買を行う組織の手先となっていた。
タクヤを組織に引き込んだ梶谷(綾野剛)も巻き込み、息もつかせぬギリギリの逃避行が3つの視点を巧みに交錯させて描写される。
永田琴監督は、岩井俊二監督の助監督を長らく務めた実力派で、深みを持たせた人物の描き方に定評がある。
『愚か者の身分』は、現代日本の社会問題を露わにしつつ、エンターテイメントとして極限まで高めた渾身の一作となった。
若者たちの貧困や闇ビジネスの深淵といった社会的テーマに切り込みながらも、登場人物それぞれの揺れ動く心情に丁寧に寄り添い、互いを想い合う気持ちの深さに心揺さぶられる展開が待ち受ける。
林裕太演じるマモルは、等身大の繊細な表情で観客の心を鷲掴みにし、その瑞々しい輝きは綾野剛から「光を切り開く者」と評された。
原作は、第二回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説。
原作者の西尾潤は、スクリーンに現れたタクヤ、マモル、梶谷を、原作者の中で動いていた時よりも遥かに魅力的な「愚か者」と絶賛した。
闇に身を落とした若者は、ある者は光を失い、ある者は光を諦める。
だが、それでも光を求める。
バイオレンスアクションにしてヒューマンドラマという異彩を放つ本作は、それが決して愚かな選択ではないと教えてくれる。
釜山国際映画祭で北村匠海、林裕太、綾野剛の主演3人全員が「最優秀俳優賞」を揃って受賞した直後ということもあり、この日の舞台挨拶は祝福の熱気に包まれた。
林裕太さんは、国際的な舞台での受賞について「役者俳優だけでなく映画も愛された証拠だと思うので、すごく嬉しい」と喜びを噛みしめた。
永田琴監督は、主要キャストの魅力を詳らかにしつつ、観終わった後の余韻を持ち帰ってほしいと語った。
矢継ぎ早の質問が途切れることなく飛び交う中、真摯に回答する林さん、永田監督の姿に、観客は『愚か者の身分』本編に優るとも劣らぬ感銘を受けた。
動画で紹介するので是非とも御覧あれ。
司会進行は、映画パーソナリティーの松岡ひとみさん。
この作品は、愛を知らずに育った若者たちの青春と、友との絆を描く逃亡サスペンスである。
そして、「3つの世代の想いのリレー」が結実し、観る者の心に突き刺さるヒューマンドラマである。
映画『愚か者の身分』は、2025年10月24日(金)より全国公開。
どうぞお観逃がしなきよう――。
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