映画『平坦な戦場で』遠上恵未監督櫻井成美佐倉萌初日舞台挨拶レポート@シネマスコーレ(2025.9.27) : ゴチソー尾張

2025年9月27日(土)、シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町８−１２アートビル 1F)にてロードショー初日を迎えた

映画『平坦な戦場で』

同日、初日舞台挨拶が開催された。

本作は、恋人として平穏な日常を送っていたはずの高校生の男女が性的搾取と遭遇するという、現代社会が抱える闇を突きつける問題作。
TAMA NEW WAVE入選、うえだ城下町映画祭・自主制作映画コンテスト大賞、さらにカナザワ映画祭で俳優賞を獲得した。

監督・脚本・編集を務めた遠上恵未監督は、2020年のPFFで入選した前作『遠上恵未（24）』でも知られる。
遠上監督は、長編初監督である本作で、その手腕を遺憾なく発揮した。

『平坦な戦場で』ストーリー

高校2年の早崎のぶえ(櫻井成美)と村木智也(野村陽介)は、周囲も羨やむ恋人同士。
両親が離婚しているのぶえは一緒に暮らす父(安藤チカラ)とのコミュニケーションが不足しがちだが、その日常は穏やかだ。
だが、そんな平穏な毎日は、ある事件によって一変する。
ある夜、親切心で手助けした中年女性(佐倉萌)が「お金を払うから抱いてほしい」と村木に迫ってきたのだ――。

主演二人、櫻井成美、野村陽介のナチュラルな演技に目を奪われる。
性的搾取がテーマと聞くと重たい作品を想像しがちだが、等身大の青春映画であり、コメディも交えたラブストーリーとしての一面すら持っている。

だが、そんな自然体な雰囲気はかえって闇の深さを思い知らされる。
思いがけず被害者にも加害者になりうる心の闇、人間の葛藤について、観る者は否応なく考えさせられることになる。
人は社会生活を営む中で、自分という存在を外部……外圧から、如何に都合よくカテゴライズされているかを、まざまざと実感させられる。

9月27日(土)の上映後に登壇したのは、

遠上恵未監督
櫻井成美(主演：早崎のぶえ役)さん
佐倉萌(森田幸子役)さん

三人は、制作の裏側や作品に込めた熱い想いを語り、一言ひとこと深まっていく作品世界を、客席を埋めつくした観衆は食い入るように聴き入った。

観る者の心に深い問いを投げかけ、日常と非日常とが紙一重であることを知らしめる、『平坦な戦場で』。
この「戦場」に触れたあなたは、どんな現実と向き合うのだろうか。
どうぞ、お観逃しなきよう――。