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世界の映画ファンから「新世代Jホラー」と大絶賛され、東京・大阪と国内ロードショーを果たした

『NEW RELIGION』
(ニューレリジョン)

が、いよいよ10月3日(金)ミッドランドスクエアシネマで公開初日を迎える。
スタッフ、キャスト共に名古屋のクリエイターを中心に制作された『NEW RELIGION』にとって、凱旋上映という訳だ。

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凱旋公開直前、本作で長編デビューを果たしたKeishi Kondo監督、『きまぐれ』『はらむひとびと』と主演作の公開が続く瀬戸かほ(主演:雅 役)にインタビューすることができた。

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・名古屋のクリエイターたちによって制作された『NEW RELIGION』が、いよいよ地元名古屋で凱旋公開されます。今どんなお気持ちですか?

(Keishi Kondo監督)
ようやく撮影した名古屋に戻ってくることができ、今とても嬉しいですし、スタッフ、キャスト、そして様々なご協力いただいた方……地元の方々にリスペクトを払える機会がようやく到来したことで、とても安心すると共にワクワクしています。

・瀬戸さんにとっても名古屋は地元です。
 瀬戸さんはこれまで様々な映画を経験されていますが、撮影現場や制作過程で、名古屋ならではというエピソードは何かありましたか?


(瀬戸かほ)

あ、そうですね……名古屋という か愛知が地元になったのは本当ここ数年なんです。
従来だと例えば1週間だったら1週間まるまるずっと撮影を続けるっていう中で私は今まで撮影してきたんですけど、『NEW RELIGION』関しては、土曜日と日曜日を使って……月から金までは皆さん働いてらっしゃるので、金曜の夜にリハーサルして土日撮影というのを3ヶ月ぐらい行ったんです。
私の中の「名古屋ならでは」は、そんな「土日を使う」という風になってしまってるんですけど……おそらく(質問の答としては)間違ってるとは思いますが、これが「名古屋スタイル」です(笑)。

(Kondo監督) 

いや、合ってます。嘘です、嘘でした、すいません(笑)。
でも、ノビノビとやらせていただきました。

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・監督は「世界に通用する映画産業を名古屋に創り出す」という夢をお持ちだそうですが、世界の映画祭や、東京、大阪でのロードショーを通じて、『NEW RELIGION』が夢への「はじめの一歩」となった手応えはありますか?

(Keishi Kondo監督)

名古屋のスタッフメインで作らせていただいて、イギリスの【フライトフェスト(Arrow Video FrightFest)】で凄く感動して泣いてるお客さんだったり、意味とか文脈とか凄く読み解いてくれるお客さんが沢山いて、凄く「通じた」っていう感じがしたんですよね。あ……なんだ、もう名古屋のスタッフで世界に通用するもの撮れるじゃん、撮っていけるじゃんって、その時に確信を得て。
それから映画が世界にどんどん広がっていって、その確信がより深まってきて、夢というよりは普通に目標……到達可能な目標っていう風により固まっていった感覚があります。

・今後、具体的な展望はお持ちですか?

(Kondo監督)

まず10月の半ばぐらいにスペインの【シッチェス映画祭(Festival Internacional de Cinema Fantàstic de Catalunya)】に行きます。「シッチェスファンピッチ」っていう業界のプロデューサーやインベスター、色々な人に企画をピッチする機会というコンテストに私の新作プロジェクトが日本人唯一で選出されまして。
『NEO FOREST』っていう新しい作品で、三池崇史監督『オーディション』のヒロインしいなえいひ(椎名英姫)さんと組んで今その映画を作ってます。
色んな業界の人と出会い、より大きなスケールで映画作りができるような土台をつくるキッカケが生まれたらと思っています。

・ちなみに、シッチェス映画祭ということは、次回作もホラーですか?

(Kondo監督)

そうですね。
『NEW RELIGION』はサイコロジカル・ホラーというか……「見せない美学」っていうものがあったんですけど、その美学をさらに徹底するのと、「より見せていくスタイル」を同時に撮ろうと思っていて…… ホラー・バイオレンス・スリラーみたいなものになると思います。
よりエンタメに振ります。

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・瀬戸さんは、娘を不慮の事故で喪った「雅」という、非常に複雑な内面を持つ役柄でした。
 孤独や絶望、そして劇中での変化と、とてもチャレンジングな表現が多かったと思いますが、役作りで苦労された点は?


(瀬戸)

内面的な部分の苦労、悩みというものはあんまりなくて……「雅」というキャラクターが 何を考えてるのか分からないから、それを分かろうとするっていう部分の凄い苦労がありました。
けど、それよりも『NEW RELIGION』という世界の構造を理解するまでがちょっと、Kondoさんにお話を聞いたりして理解に少し時間がかかったという印象です。

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・奇妙な客・岡は雅を撮影しますが、このシーンに臨んだ心境、また撮影時のエピソードがあれば教えてください。

(瀬戸)

何回か部屋に行った後のシーンで台詞を小さい声で言い続けるところがあって、そこは多分私の中で一番テイクを重ねた記憶が凄くあります。出力の仕方……言葉の、声の加減が凄く苦戦したことを今思い出しました。
あの部屋は心理的にも凄く圧迫感があって、いい意味で負荷がかかってたんで、結構そこは挑戦をしたかなという形でした。
あと、そのフィルムがどういう風に上がってくるのかわからないので、映り方的に美しく写真が見えていると良いなという部分は気にかけていましたね。

(Kondo監督)

今の「フィルム」っていうのは、ポラロイドフィル厶ですか?それとも普通に映像っていう意味?

(瀬戸)

ポラロイドフィル厶です、実際に岡が(劇中で)撮ってる。
そこも大事かな、と。

(Kondo監督)

そのシーン、撮影が2日か3日じゃなかったかと思います、土日とかで。
だんだん、あの赤いシーン……赤い部屋にずっといると頭おかしくなってくるんですよ(笑)。窓がなくて、暗いし、赤いし。それに3日間撮り続けて、その部屋の空気もどんどん薄くなっていって、だんだん息苦しくなってきて。
ただ、同時にこの息苦しさっていうのが絶対に画面に定着するって、凄く楽しんでたんですよね。自分も辛いし、瀬戸さんもやっぱり辛そう、みたいな。

(瀬戸)

そうですね。夏にエアコンなくてっていうのはありましたね(笑)。

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(Kondo監督)
これは何でしょうね?良い映画って撮影がおかしかったって言うじゃないですか。
『悪魔のいけにえ』とか、めちゃめちゃ暑い中で気が狂いそうになりながら動物の死体に囲まれながら撮ったっていうエピソードがあったりとか。
「あ、それに近いことできて楽しいな」っていう本当にただの映画マニアみたいな感覚あったし、遊び的な部分で作品を作り上げていく上で、赤い色とか息苦しさを日々見てたんで、色んな意味で楽しかったですね。
ま、辛かったですが(笑)。

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(瀬戸)
それで言うと、私あの海辺を歩くシーンがあるんですけど……あれ、多分撮影の初日ですよね?あの夏の浜辺を裸足で歩くのは大変だったってことを思い出しました!

(Kondo監督)

「熱い!」って言ってましたね。

(瀬戸)

そうです。「ギャー!」って初めに言ってましたね。

(Kondo監督)

その時に、みんなの瀬戸さんに対するキャラクターが固まったんですよね。ああ、こういう人なんだって。

(瀬戸)

我慢できなかったですもん(笑)。

(Kondo監督)

そういう色々な体験がありましたね……ありがとうございます。

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・『NEW RELIGION』は「horror」というよりは「terror」、「戦慄」よりも「恐怖」を描いた映画だと感じました。
 「恐怖」の演出について、特にこだわった点があれば教えてください。


(Kondo監督)

ちょっと難しい質問で……
ホラー映画を撮ろうと思って現場にいた訳ではなくて……もちろん書いてる時に「これはホラーになるぞ」っていうある種の確信が生まれて、そっちに舵を切ったんですけど。
ホラーというか既にあるものをなぞるよりも、まだ存在していない感覚をどうやったら表現できるだろう……今この場に写ってるものと、自分の目の前に広がってるもの……「何か気持ち悪いな」という自分の感覚……夢と現実を撮影しながら編集していく、その「迷宮感」に楽しみを覚えていったんです。
「怖い」っていう既にあるものをなぞるっていうよりは、自分が興味深いと惹かれていくものに従っていた結果、ホラー映画になった感じなんです。

・そのラビリンスに付き合わされたのが、瀬戸さんって訳ですね?

(瀬戸)

そうですね(笑)。
想定していた私の知ってるホラーではなかったっていうのもあるんですけど、洗脳というか精神的な恐ろしさを撮影中は感じていましたね。
なので、キャラクターとして色々苦しい人生を生きるのは他の映画でもあるんですけど、それとはちょっとまた違う内側から知らない間に犯されているような恐怖を凄く撮影では感じました。

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・名古屋の観客に向けて、メッセージをお願いします。

(Kondo監督)

この映画には名古屋城だったり、テレビ塔だったり、久屋大通公園だったり……いわゆる名古屋のランドマークは出ていないとはいえ、今池の繁華街だったり北区のマンションやアパート群だったり、私たちが普段目にしてる風景は沢山あって、その何気ない風景のすぐ横には他の世界、赤い世界が広がってるかも……みたいな妄想をしながら日々の生活の中にちょっとずつ染み込んでくる『NEW RELIGION』的な感覚を持ち帰ってもらって、日常を悪夢と共に生きて欲しいなと思います。

(瀬戸)

撮影したのが5年前なんですけど、やっとお客様に観てもらえる機会があってとても嬉しく思います。
ホラーが苦手な方も観ていただいて……やっぱり「怖い」っていう風には言っていただくんですけど……怖さよりも感じていただけることがその方々にもあったみたいで。
何か感じていただけることがあればとても嬉しいことなので、是非スクリーンで観ていただければ嬉しいです。

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さて、ミッドランドスクエアシネマでの公開も1週間を切った。

凱旋公開ということもあり、連日ゲストを迎えての舞台挨拶が開催される。

詳しくは、公式サイトを要チェックだ。

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映画『NEW RELIGION』

10月3日(金)~ミッドランドスクエアシネマ

『NEW RELIGION』公式サイト

https://the-newreligion.com/
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