
2025年9月13日(土)、シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)にて、
映画『ORLIK』
初日舞台挨拶が開催された。
『ORLIK』(オルリック)は、長編第1作『LUGINSKY』で世間の注目を集めたhaiena監督が、切り抜いたスチールなど複雑な素材を組み合わせて制作した映像に、動画化の技術やデスクトップアートの手法を加えたコラージュアニメーション映画。
ヌーベルバーグやアメリカン・ニューシネマに思いを馳せる主人公オルリックは監督自身の心情を投影する「分身」のようで、政府機関や反体制組織の思惑に翻弄されるさまが目眩く映像美によって描き出される。

『ORLIK』ストーリーインディペンデント映画監督クラレンス・オルリック(金子貴伸)は、貧困の日々を失意のうちに過ごしていた。
秘密警察官ミラー(黒崎純也)により内戦の前線へ送られようとする中、友人で映画の共同制作者・フジキ(haiena)は自己意識を映像化する装置「ボイルドブレイン」を完成させた。
予算ゼロで映画が撮れるとフジキに乗せられるまま装置を使ったオルリックは、副作用で時間の感覚を失い、記憶と空想が混ざり合う混沌とした神経状態に陥る。
装置に蝕まれたまま戦地に放り込まれたオルリックが見る「映画の夢」は、いつしか観る者をも未知の領域へと引きずり込む――。

TAMA NEW WAVE【ある視点部門】入選、西湘映画祭ではグランプリを獲得、2025年5月23日にUPLINK吉祥寺で劇場公開された『ORLIK』が待ちに待った名古屋初公開となった。
登壇したのは、本作の監督、原作、そして音楽まで手掛ける異才、haiena監督。
そして独特の映像美を創造した立役者、アートディレクターのジャン=ピエール・フジイ。
司会進行を務めたのは、配給を担当したユーステール代表・神原健太朗。

上映後のシネマスコーレは、『ORLIK』が持つ狂気と熱狂に当てられてか、いつもよりも空気が高密度だった。
裏話を交えながら映画の深淵へと誘うトークに、夜遅くまで映画館に残った観客は酔いしれた。
映画『ORLIK』は、観る者の記憶や体験を呼び覚まし、未だ知らない世界や見て見ぬフリをしている世界を広げる、まさに「映画の優しさと危なさ」を体現する作品だ。
この「世界観」に……否、「世界」に触れた貴方は、どんな「ORLIK」と出会うのだろうか。
謐(しず)かに胎動する狂気との邂逅……どうぞ、お観逃しなきよう――—!


©J&HFilms
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