
2025年8月30日(土)、シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル)にて、
『INTER::FACE 知能機械犯罪公訴部
ペルソナ』
コメンタリー付き上映会が開催された。
コメンテーターとして下向拓生監督をはじめ、裁判長役の荻下英樹、裁判官役の涼夏、リモートでAIカナエ役の合田純奈という豪華な面々が登壇し、作品の深い裏側を語り尽くした。

『INTER::FACE 知能機械犯罪公訴部 ペルソナ』は、平成39年の日本を舞台とし、2018年の前作『センターライン』の続編に位置付けられる。
物語の冒頭、津田寛治と大前りょうすけが登場する岡崎市の旧本多忠次邸のシーンは、元々台本にはなく、後から追加撮影されたものだと明かされた。
下向監督は海外ドラマ風の雰囲気や、センターラインからの続編として吉見茉莉奈・星能豊の二人が帰ってきたことを表現するため、敢えて顔を見せない登場シーンにこだわったそう。
主人公の米子(吉見茉莉奈)は、第三部『faith』で重要人物となる二人と、旧本多忠次邸で「ニアミス」していたのだ。
『INTER::FACE』シリーズに何度も登場し印象的な愛知地方検察庁は、一宮市役所が撮影地。
だが、米子検事が新しく配属された「知能機械犯罪公訴部」は、実は秋葉原がロケ地だと言う。
地下のスペースにダンボールなどを持ち込み作り込んだそうで、撮影場所へ向かうバスの中で手書きした書類を貼るなど、限られた時間の中で小道具の工夫がなされた。
2022年9月の連休に撮影された地下のシーンは、台風と雨に見舞われ、エアコンのない蒸し暑い環境だったため、小道具の紙がベタついてめくれにくくなるという苦労もあったとか。

主人公・米子の相棒となるスマートバッジ「テン」は3体製作されたものの、うち1体は「機嫌が悪く」、ほぼ1台体制で撮影が行われたそう。
テンの外観デザインは監督自身が手がけ、動きの部分は電子工作が得意な後輩の協力で実現した。
特徴的なテンの「まぶた」は3Dプリンターで作られた樹脂製で、「まばたき」はプログラム制御だとか。
AIカナエの衣装は合田純奈の自前の服が多く、彼女は『ペルソナ』本編を観ていると「自分のクローゼットを覗いているよう」とコメントした。
対して大山真絵子演じる阿倍野の服は、彼女の個性が強い私服ではなく、スタイリストが用意した衣装。
監督のリクエストは、「少しずれているオフィスカジュアル」だったそう。
作中で難しいとされる説明部分は、AI同士の会話形式で描かれ、世界観を壊さずに情報を伝える工夫が凝らされた。
また、劇中で登場する仮想通貨ラウンドコインの開発者「サトシ・ナカモリ」は、ビットコイン開発者の「サトシ・ナカモト」という実在の人物から着想を得ており、ここにも世界観を崩さない一工夫が見られる。
新たなキャラクターとして登場する三国検事(長屋和彰)は、情報量が少なくなって飽きさせないためにも物語の後半で投入された。
一宮市役所からの美しい風景が印象的なシーンだが、照明などの工夫で作られた夕景だそう。
それもそのはず、トラブルが発覚したため急遽撮り直したとか。
米子検事のジャケットに、付ていないはずの「テン」が装着されていたのに後から気付いたのだという。
エンディングテーマは、実はこの作品のために作られたものではなく、作曲家が以前にSF刑事ドラマをイメージして作った曲を採用したもので、エンディングのタイミングに奇跡的に合致したという。
荻下英樹から、特に繋がりの強い第一部『ペルソナ』と第三部『faith』を繋げての再編集版を提案された下向監督は、既に海外向けに再編集していることを明かした。
コメディシーンが削られ、よりシリアスな2時間超の作品になりそうだとか。
現在、脚本家としても活動している合田純奈は、自分の考えを文章で書くことが得意だと語り、今回のAIカナエ役は、自分で脚本を書く立場として、自分のイメージとは異なる役を演じられたことが新鮮だったという。
彼女は『INTER::FACE』シリーズ全体が好きだが、特に1部と3部との繋がりが深いため、前作『センターライン』も観てほしいと強く勧めた。
このコメンタリー付き上映会は、作品の細部へのこだわりや、制作の裏側を知る貴重な機会となった。
特に役者として出番の無い時はスタッフとして現場に常駐することが多かった涼夏が場面場面で下向監督に質問を向け、興味深い回答を引き出した。
観客は、『ペルソナ』だけでなく『INTER::FACE』シリーズが持つ深い洞察に強く魅了された。
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