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フリーランスでドラマの演出、プロデュースを手掛け、短編映画の監督としても名高い、湯浅典子
国内外の映画祭で17冠を受賞した『空っぽの渦』(2015/20分)も記憶に新しい。

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そんな湯浅監督の故郷・岡山県を中心に撮影された長編映画が、2023年より岡山メルパでの特別先行上映を皮切りに、大阪アジアン映画祭、JAPAN CUTS映画祭(アメリカ・ニューヨーク)、トリポリ国際映画祭(レバノン)、十三下町映画祭(大阪)と立て続けに国内外の映画祭で上映、大好評を受けた。
そして、2024年11月22日(金)新宿武蔵野館から全国一般公開がスタート。
2025年4月12日(土)、待望の名古屋公開がシネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1階)で始まった。

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自主制作映画としては異例の国際共同制作(日本・スペイン・シンガポール)となった長編映画のタイトルは、『Performing KAORU's Funeral』。
日本国内では、邦題

『カオルの葬式』

としてロードショー公開されている。

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『カオルの葬式』ストーリー

東京で暮らす横谷(関 幸治)は、派遣型風俗店のドライバーとして何とか生計を立てている。
ある日見知らぬ着信に出てみると、それは葬儀屋の社長・橘(足立 智充)からの訃報であった。
10年前に離婚した鷲巣カオル(一木 香乃)が交通事故で亡くなり、横谷を葬儀の喪主に指定する遺言書が残されていたと言う。
カオルの故郷・岡山に着くと、親友だと名乗る者、マネージャーの女性、先輩脚本家、地元の名士一家、葬儀を執り行う互助会の面々などが葬儀場である寺院に集まっていた。
デビュー作が賞を受賞し一躍売れっ子脚本家となったカオルに、横谷が知るかつての人間関係は存在しなかった。
その極めつけが、薫(新津ちせ)。
​小学3年生で、カオルの一人娘という――。

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完全オリジナル脚本である『カオルの葬式』が扱うテーマは、実に明快だ。
それは「死」であり、「生」だ。

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叙事的であるにも拘らず、実に抒情的。
群像劇に見えて、特定の人物の心象に寄り添う物語。
関幸治新津ちせという主人公たちを輝かせ、光を放つからこそ黒沢あすか滝沢めぐみ川島潤哉蔵本康文といった脇を固めるキャスト陣が綺羅星となる。

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そして、極めて主観的かと思いきや、カメラは思い出したように俯瞰を取る。
あたかも『カオルの葬式』という物語自体が、足立智充が演じる葬儀屋が語る笑い話や、原田大二郎が演じる住職の説法なのかと錯覚させられる。

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作品が多層的なのと同様に、「死」と「生」もまた多層的なのだ。
だからこそ、すでに死者であるはずの一木香乃が扮するカオルから、誰もが生きる力をもらう。
物語を生きる者も、物語を観る者も。

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4月12日(土)、シネマスコーレにて開催された湯浅典子監督の初日舞台挨拶を取材した。


 いつ消えるかも知れない余命の蝋燭を手に全力疾走する……
生きるというのは、そういうことなのかも知れない。

生命の灯は、どんな原因で消えるのだろう?
蝋燭が尽きるのか……
予期せぬ雨に当たるのか……
自らの息に吹かれるのか……

自分の死因に想像を巡らすことは出来ずとも、いつ不意に生命が尽きようと後悔なく生きることなら出来る……
少なくとも、不可能ではない。

誰かの死に直面すること……
それは、悔いなく生き切ることに思いを馳せる機会なのかも知れないーー。

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『カオルの葬式』公式サイト

https://yuasan1203.wixsite.com/pkfppartners
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