2025年1月25日(土)よりシネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)で公開中の、

『地獄のSE』

19歳で初監督した映画『散文、ただしルール』で【カナザワ映画祭 2022】「期待の新人監督」グランプリを獲得した川上さわ監督が、スカラシップ作品として撮りあげた初長編映画だ。

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『地獄のSE』ストーリー

海辺の街に住む中学生・天野モモ(綴由良)は、同じクラスの早坂にに子(海沼未羽)に恋をしている。
彼女に近付くため女子トイレに潜入する天野に、友達の吉行六鼓(わたしのような天気)はドン引きするが、実は早坂はそれに輪をかけた変態だった。
恋をする少年たちをよそに、周囲では死の影が色濃く蔓延していくーー。

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2月2日(日)、シネマスコーレで開催された舞台挨拶を取材した。

登壇したのは、川上さわ監督、綴由良(主演:天野 役)さん。

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川上さわ監督 スカラシップをいただいて何を作ろうかと思った時に、こんな自由に出来るなら色んなことを試したいと思い、映画の物語の「物語られ方」の幅を広げることを模索してみて作った映画です。
 「散文、ただしルール」は50分なんですけど、私は長編の方が得意なので「70分撮れる!」と思って嬉しかったです……(長編の方が)積み上げることが出来るので。
 
坪井篤史(シネマスコーレ支配人) 綴さんに出てもらいたいという思いは、最初からあったんですか?

川上監督 オーディションなんですけど、オファーした上でオーディションに来てもらいました。
 もう「天野」過ぎてびっくりしました。私の頭の中にあっただけで言語化できていない状態の言葉を、綴が引き出してくれたような感じで、一言を聞いただけですぐ決めました。

綴由良 ちゃんと台詞を読むようなオーディションは初めてで、周りに上手な俳優さんが沢山いるという……「経験としてメッチャ面白いぞ!」と思いながらやってました。まさか、そんな一瞬で決めてたとは思わなかったです(笑)。

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坪井 脚本は、どんな印象でしたか?

 ちゃんと面白くて……企画だっり、物語だったり。台詞やキャラクター像、そんな小さな部分にしても、嫌な感じな見せ方にはして来ないだろうって信頼があったので、その上で「ちゃんと面白い」と思いました。

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坪井 撮影現場は、如何でしたか?

川上監督 『地獄のSE』は絵コンテを1ミリも描いてなくて……脚本書く時に映像はあまり意識しないんです。脚本で書かれた文字情報をどうにか映像に変換する作業が現場で行われてました。
 動線なんかを私が指示したりする時も、綴(の演技)は私の思い描くものより広がる要素があったりするので、それが凄く面白かったです。

 監督の脳内イメージのやりたいことと、私が持ってる印象とをすり合わせる感じだったんです、演じること自体は。空っぽの人形になることは出来ないので、どうしても「自分」が残る……それを上手く生かしてくれたんじゃないかな、と思います。

川上監督 綴が今まで生きてきた中で培わられてきた癖とか、身振りとか、習慣が残る身体みたいなものを、フィクションに置き換えた時にどう必要とされるか考えてやってたので……声とか、滑舌とか、振る舞いとか、天野と地続きになるような演出が出来るだろうと、オーディションの時からそんなイメージがありました。

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坪井 川上さん自身のルールに従って撮ってる感じが、凄く面白かったんですよね。

川上監督 他の俳優さんだったら多分、本当に違う映画になってたと思います……台詞も、展開も変えたりしたんじゃないか、と。今ある状態は、私がワンマンで作った訳ではないんです。

 ほとんどの役者さんとは、その人(俳優)自身というよりキャラクターとして、例えば天野と吉行はそのキャラクターとして出会った感じです。

川上監督 ただ、私が最初に思い浮かべてるものをどうにか映像にしようと思っているので、教科書的な映画の撮り方でやりたいことが成されないなら、自分の思いに従うというルールはあったと思います。

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シネマスコーレでの上映は、2月7日(金)まで。

いま体感することにこそ価値がある72分の「狂い」を、目撃せよーー!

『地獄のSE』公式サイト

https://www.hell-of.se/