ホゾを咬む……「臍(ほぞ)を噛む」とは、後悔するという意味を持つ慣用句。
臍とはすなわち「ヘソ」のことだから、ヘソを噛んだ、もしくは噛もうとした人は、さぞや後悔したということなのだろう。
その人は、他人のヘソを咬みたいという誘惑に抗えず、人生を棒に振ってしまったのだろうか?
はたまた、自分のヘソを咬んでみたいという好奇心に動かされ、腰の骨でも折ってしまったのだろうか?
おおよそ理解の範囲を逸した他人の行動原理を知らんとする時、人はしばしば自分の想像力の乏しさに絶望する。
だが、不図としたことから共感の糸口を掴んだ時、得も言われぬ満足感が心に溢れる。
映画『ホゾを咬む』は、まさしくそんな作品だ。
『夜のスカート』で主演とプロデューサーを兼任した小沢まゆさんは、シネマスコーレでの舞台挨拶で
「作る喜びを知ってしまった」
と語った。
そんな小沢まゆさんが、再びプロデューサーとヒロイン役を務めたのが、『ホゾを咬む』という訳だ。
メガホンを取るのは、『サッドカラー』などの短編映画が国内外の映画祭で多数入選・受賞している新鋭・髙橋栄一監督。
小沢まゆとは『サッドカラー』でも監督・主演コンビを組んでいる。
『ホゾを咬む』ストーリー
不動産会社に勤める茂木ハジメ(ミネオショウ)は、絵本翻訳家の妻・ミツ(小沢まゆ)と一軒家に暮らししている。気ままで突飛な行動をする同僚・月見里(木村知貴)、一風変わった双子の客(ミサ・リサ)など、ハジメは仕事で心を擦り減らす毎日を送っている。
ある日、仕事中に見たこともない出で立ちで街を歩くミツを見掛ける。
ミツの知らない一面を監視したい気持ちに支配されたハジメは、自宅に火災報知機に偽装した監視カメラを設置する。
疑念がエスカレートするまま、監視カメラは一台、また一台と数を増やしていく。
そして遂に、ハジメはミツを尾行するに及ぶのであった――。
7月20日(土)、シネマスコーレ(453-0015 愛知県名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)で『ホゾを咬む』公開初日を迎えた。
舞台挨拶に登壇したのは、髙橋栄一監督、ミネオショウ(主演:茂木ハジメ役)さん、小沢まゆ(ヒロイン:ミツ役/プロデューサー)さん。
『ホゾを咬む』上映が始まったばかりのシネマスコーレでは、7月21日(日)も舞台挨拶が開催される。
なんとこの日は小沢まゆさん主演『少女 an adolescent』(監督:奥田瑛二/2001年)が特別上映される。
髙橋栄一監督が「衝撃を受けた」という映画、どうかお観逃しなく。
また、今回のシネマスコーレ『ホゾを咬む』公開に合わせ、シアターカフェ(名古屋市東区白壁4-9)で【小沢まゆ特集上映】が組まれている。
舞台挨拶でも話題に上った『夜のスカート』(2022年)や、髙橋栄一監督&小沢まゆさんがコンビを組んだ『サッドカラー』(2023年)が上映されているので、こちらもご注目を。
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