「アリラン」(아리랑、阿里郎)は、「トラジ」と共にもっとも有名だと言われる朝鮮民謡の代表曲。
アリランとは、伝説の峠を指すという。
短調で哀愁漂う「アリラン」を高らかに唄い、踊るのは、日本による植民地支配時代から神奈川県川崎市に暮らすハルモニ(할머니:おばあさん)たち。
映画『アリラン ラプソディ〜海を越えたハルモニたち〜』は、デビュー作『花はんめ』(2004年)から四半世紀に亘り川崎に通い詰めた在日二世の映画監督・金聖雄(きむ そんうん)による、125分のドキュメンタリー映画だ。
二度の戦争に翻弄され、生きるために日本に辿り着いたハルモニたちは、静かに暮らしている。
川崎での日常、そして故郷である朝鮮半島と同じように戦争に蹂躙された沖縄のおばあとの邂逅など、金聖雄監督のカメラはハルモニたちに温かく寄り添う。
「あなたの夢は?」と聞かれたハルモニたちは、いったい何と答えるのか?
そして、日本全土に吹き荒れたヘイトスピーチの波は、川崎市にも押し寄せる――。
7月20日(土)よりシネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)で始まった、『アリラン ラプソディ〜海を越えたハルモニたち〜』初日舞台挨拶を取材した。
登壇したのは、金聖雄監督だ。
「美しいもの以外は撮ろうと思わなかった」
という金聖雄監督が、危機感と使命感を持って作りあげた『アリラン ラプソディ』。
ハルモニたちから元気をもらうだけでなく、そんな金監督の思いも受け取って、よりよい社会を築いていきたい。
争いのない世界を、夢で終わらせる訳にはいかないのだ――。
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