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日本・フィリピン・シンガポール合作映画『ブルーイマジン』(英題“Blue Imagine”)が、2024年6月8日(土)シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8−12 アートビル 1F)で公開初日を迎えた。

今作は、「松林うらら」名義で俳優・プロデューサーとしても活躍する松林麗監督、初長編監督映画である。

『ブルーイマジン』ストーリー

俳優志望の斉藤乃愛(山口まゆ)は、弁護士の兄・俊太(細田善彦)と同居し、バイトしながらオーディションに明け暮れる毎日を送っていた。
ある日、親友でミュージシャン志望の東佳代(川床明日香)から、バンド仲間の西友梨奈(北村優衣)が性被害に遭ったことの相談を受ける。
3人はネットで情報を集め、巣鴨にある女性向けシェアハウス「ブルーイマジン」にたどり着く。
「ブルーイマジン」は、あらゆるハラスメント被害に遭った女性たちをサポートするための駆け込み寺だという。
管理人・巣鴨三千代(松林うらら)のカウンセリングを受けた友梨奈はブルーイマジンに引っ越すことを決め、乃愛もブルーイマジンに住み込みのアシスタントとして働き始める。
2ヶ月後、乃愛は三千代と共に、俳優の卵・真木凛(新谷ゆづみ)と面談する。
凛は、映画監督・田川実(品田誠)から性暴力を受けたと聞き、乃愛は衝撃を受ける。
2年前、乃愛は田川から凛と同じように性被害に遭っていて、俊太からの助言で誰にも打ち明けられずにいたのだ。
過去のトラウマと対峙する乃愛に、許しがたい知らせが届く。
性暴力が週刊誌の報道により明らかになったにも拘らず、田川の新作映画が公開されるというのだ――。

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『ブルーイマジン』でオリジナル長編映画の初メガホンを取った松林麗監督は、本作とテーマを同じくするオムニバス映画『蒲田前奏曲』(2020年)で出演・プロデューサーを務めたことで知られている。
そして、自身が性被害の当事者であることを明かしている。
松林監督にとっての「#MeToo」は、映画で意見を表明することなのだ。

6月8日(土)、シネマスコーレでの初日舞台挨拶を取材した。
登壇したのは、松林麗監督、そして『フィリピンパブ嬢の社会学』(2024年)原作者という縁で今作のフィリピン関連監修を務めた中島弘象さん。



どれだけ被害者が苦しんでいるかを当事者視点で描いた『ブルーイマジン』だが、青春映画として温かい気持ちで満たされる。
また、男性を置いてけぼりにしたり押し付けにならないよう注意したという松林監督の姿勢も窺える、娯楽群像劇に仕上がっている。

だが、作品が生まれた経緯を考えれば、やはり一種の居心地の悪さ、やり切れなさを感じざるを得ない。
ハラスメントが、暴力が、もし存在しなかったなら、『ブルーイマジン』は生まれなかったかもしれない……
そう考えると、あなたは複雑な気持ちになりはしないか。

だが……いや、だからこそ……
私たちはこの居心地の悪さを、複雑な気持ちを、広く、深く、共有していかねばならないと思うのだ。

それは必ずや、私たちが愛してやまない映画界を希望ある未来へ導くための一助になるはずだ。
そして、なん人たりとも自分の居場所を脅かされない社会をつくるための礎となるはずだ。

人は誰しも、被害者になることにまさるとも劣らぬほど、加害者になりうる存在に外ならないのだから――。

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映画『ブルーイマジン』公式HP:

https://www.blueimagine.net/

公式X(旧Twitter):

@blueimaginefilm

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公式Instagram:

@blueimaginefilm