シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)で4月に公開したばかりだから記憶に新しい、緒方貴臣監督の最新作『シンデレラガール』。
『シンデレラガール』は、ほぼ全ての役柄がオーディションにより選出され、応募総数は2000人以上だったという。
どんな映像作品にも、選ばれた者、選ばれなかった者が存在する。
完成した作品を「表」とするならば、観客が見ることの出来ない「裏」側にも様々なドラマがあるはずだ。
5月12日(日)よりシネマスコーレで公開が始まる『私が私である場所』は、緒方貴臣監督『シンデレラガール』の裏側に、主に俳優の目線で肉薄したドキュメンタリー映画。
短編映画『猫、かえる Cat's Home』(19/主演:モトーラ世理奈)を監督し、ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」ディレクターである今尾偲監督が、撮影も務めた。
「売れるとは、何だろう?」
俳優であり、プロデューサー業も手掛ける、杉山晴香。
俳優だが、興味を持ったなら裏方もこなす、アライジン。
一口に「俳優業」といっても、作品への関わり方は千差万別だ。
三人は、緒方貴臣監督の長編映画『シンデレラガール』に参加する。
オーディションには2000名を超える俳優が応募し、主演・音羽に伊礼姫奈が、マネージャー唯役に辻千恵が、同級生・朱里役に佐月絵美が、それぞれ選出される。
杉山はアシスタントプロデューサー兼任で、アライは制作部兼任で、それぞれキャストを務める。
伊藤由紀も、小道具兼任で看護師役を務めることになるのだが――。
『シンデレラガール』を観た方は、幸運だ。
作品の余韻そのままに『私が私である場所』を鑑賞することは、それぞれの映画を2倍にも4倍にも、それこそ立体的に味わえるはずだ。
そして、『シンデレラガール』を観ていない方も、幸運だ。
先入観を極力抑えて『私が私である場所』を鑑賞することは、今作の持つ普遍的な価値に逸早く気付くことが出来るはずだ。
そう。『私が私である場所』は、緒方貴臣監督『シンデレラガール』のメイキング映像とか特典映像の類いに留まる作品では、断じてないのだ。
今尾偲監督が写し撮ったのは、自分の居場所を追い求め、日々渇望する人たちの悲喜こもごもなのだ。
人々はみな例外なく、自らの価値を発揮できる場所を欲する。
自分を認めてくれる居場所を求める。
俳優業とは、本当に特殊な職業である。
携わった一つの作品がアップしたなら、すぐさま次の作品を見付けないことには、自分の居場所は定まらない。
あるweb統計によれば、日本における俳優人口は24000人だそうだ。
『シンデレラガール』へのオーディション総数は2000人強……日本の俳優の12~3人に1人が参加を希望したと考えれば、注目の高さが窺える。
『私が私である場所』が単なる『シンデレラガール』のメイキングに留まらない理由は、ここにある。
このドキュメンタリー映画は、日本で俳優業を営む者らの縮図である。
そして、自分の居場所を希求し続ける者とは、なにも俳優に限ったことではない。
社会生活を営むすべての人々……そう、私たち一人ひとりもまた、居場所を求める者に他ならない。
ドキュメンタリー『私が私である場所』は、心を熱くする映画でも、心を揺さぶる映画でもない。
観ている誰もが、他人事ではいられない。
『私が私である場所』は、心を刺す映画だ。
最後に、余談を一つ……『私が私である場所』の題字を注視して、その奇妙なフォントに気付いてほしい。
「自分の居場所」「本当の自分」に恋い焦がれ、追い求め、しかし揺れ動く、熱情が込められている気がしてならない――。
『シンデレラガール』は、ほぼ全ての役柄がオーディションにより選出され、応募総数は2000人以上だったという。
どんな映像作品にも、選ばれた者、選ばれなかった者が存在する。
完成した作品を「表」とするならば、観客が見ることの出来ない「裏」側にも様々なドラマがあるはずだ。
5月12日(日)よりシネマスコーレで公開が始まる『私が私である場所』は、緒方貴臣監督『シンデレラガール』の裏側に、主に俳優の目線で肉薄したドキュメンタリー映画。
短編映画『猫、かえる Cat's Home』(19/主演:モトーラ世理奈)を監督し、ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」ディレクターである今尾偲監督が、撮影も務めた。
『私が私である場所 』作品解説
舞台から映画へと活動の場を広げる俳優・伊藤由紀は考える。「売れるとは、何だろう?」
俳優であり、プロデューサー業も手掛ける、杉山晴香。
俳優だが、興味を持ったなら裏方もこなす、アライジン。
一口に「俳優業」といっても、作品への関わり方は千差万別だ。
三人は、緒方貴臣監督の長編映画『シンデレラガール』に参加する。
オーディションには2000名を超える俳優が応募し、主演・音羽に伊礼姫奈が、マネージャー唯役に辻千恵が、同級生・朱里役に佐月絵美が、それぞれ選出される。
杉山はアシスタントプロデューサー兼任で、アライは制作部兼任で、それぞれキャストを務める。
伊藤由紀も、小道具兼任で看護師役を務めることになるのだが――。
『シンデレラガール』を観た方は、幸運だ。
作品の余韻そのままに『私が私である場所』を鑑賞することは、それぞれの映画を2倍にも4倍にも、それこそ立体的に味わえるはずだ。
そして、『シンデレラガール』を観ていない方も、幸運だ。
先入観を極力抑えて『私が私である場所』を鑑賞することは、今作の持つ普遍的な価値に逸早く気付くことが出来るはずだ。
そう。『私が私である場所』は、緒方貴臣監督『シンデレラガール』のメイキング映像とか特典映像の類いに留まる作品では、断じてないのだ。
今尾偲監督が写し撮ったのは、自分の居場所を追い求め、日々渇望する人たちの悲喜こもごもなのだ。
人々はみな例外なく、自らの価値を発揮できる場所を欲する。
自分を認めてくれる居場所を求める。
俳優業とは、本当に特殊な職業である。
携わった一つの作品がアップしたなら、すぐさま次の作品を見付けないことには、自分の居場所は定まらない。
あるweb統計によれば、日本における俳優人口は24000人だそうだ。
『シンデレラガール』へのオーディション総数は2000人強……日本の俳優の12~3人に1人が参加を希望したと考えれば、注目の高さが窺える。
『私が私である場所』が単なる『シンデレラガール』のメイキングに留まらない理由は、ここにある。
このドキュメンタリー映画は、日本で俳優業を営む者らの縮図である。
そして、自分の居場所を希求し続ける者とは、なにも俳優に限ったことではない。
社会生活を営むすべての人々……そう、私たち一人ひとりもまた、居場所を求める者に他ならない。
ドキュメンタリー『私が私である場所』は、心を熱くする映画でも、心を揺さぶる映画でもない。
観ている誰もが、他人事ではいられない。
『私が私である場所』は、心を刺す映画だ。
最後に、余談を一つ……『私が私である場所』の題字を注視して、その奇妙なフォントに気付いてほしい。
「自分の居場所」「本当の自分」に恋い焦がれ、追い求め、しかし揺れ動く、熱情が込められている気がしてならない――。
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