「掖済(えきさい)」という言葉を認知する人は、それほど多くないはずだ。
なにせ、辞書を紐解いても「掖済」という言葉は見つからない。

「掖」は腋(わき)に手を添えることを表し、「済」は救い助けることを表す。
すなわち、「掖済」とは傍に寄り添い助けることを意味するという。

掖済という用語が使用されたのは、明治13年に創立された「日本海員掖済会」が初出らしい。
日本海員掖済会は船員に対する支援を目的とした組織で、診療所も併設されていた。
そんな診療所が医療機関として独立したのが、各地に点在する「掖済会病院」という訳だ。

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愛知県には、「名古屋掖済会病院」がある。
工業港屈指の荷揚げ量を誇る名古屋港に近い立地の名古屋掖済会病院は、「入船町」という地名にも創設の理念が垣間見えるようだ。

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設立までの経緯が影響しているのか、名古屋掖済会病院は「断らない救急」をモットーとしている。
院内のER(救命救急センター)は、救急車の受け入れ台数が愛知県内随一で、年間なんと1万台という。

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医学を志す者にとって、数多ある専門医ではなく、救急救命の道を目指す者は、ごく少数であるという。
ドキュメンタリー映画『その鼓動に耳をあてよ』では、医学生の頃から救命医を目指していたという「レアドクター」を中心に、名古屋掖済会病院ERの「日常」を克明に追った。

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専門医とは違い、様々な病傷を経験できるのが、救命医である。
だが、年齢、性別のみならず、国籍や生活環境も様々な人々を診るということは、各人が抱える社会的な問題をも背負うことを意味する。

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ERに配属された研修医は、一日当たり救急車30台弱、365日不休という救急救命の現実に直面する。
そして、世界的パンデミックとなった新型コロナウイルス(COVID-19)が、日本、愛知でも猛威を振るう。

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病床は日に日に埋まり、とうとう空きベッド数は「ゼロ」(どころか、「マイナス」)となる。
ERに、来てはいけない「非日常」がやって来る。

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連日過去最多を更新し続ける、救急車の受入れ要請。
救命救急センターが非日常のキャパオーバーに見舞われた時、「断らない救急」の実践者たちはどんな決断をくだすのか――。

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『その鼓動に耳をあてよ』は、数々の傑作を世に送り出し続ける東海テレビ製作のドキュメンタリー。
プロデューサーは、『ヤクザと憲法』『さよならテレビ』の阿武野勝彦圡方宏史
監督を務めた足立拓朗は、今作が映画初挑戦となる。

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名古屋での公開初日となる3月16日(土)は、足立拓朗監督、阿武野勝彦・圡方宏史プロデューサー両氏、そして本作に出演した北川喜己医師、蜂矢康二医師、櫻木佑医師が舞台挨拶に立つ予定だ。

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上映館は、ナゴヤキネマ・ノイ(名古屋市千種区今池1丁目6−13 今池スタービル 2F)。

旧・名古屋シネマテークの跡地に新設された名古屋でいちばん新しい映画館が、いよいよ幕を開ける――。


『その鼓動に耳をあてよ』

音楽:和田貴史
音楽プロデューサー:岡田こずえ
撮影:村田敦崇
音声:栗栖睦巳
TK:清水雅子

音響効果:宿野祐
編集:髙見順

プロデューサー:阿武野勝彦 圡方宏史

監督:足立拓朗

製作・配給:東海テレビ放送
配給協力:東風

2023年|日本|95分|

©東海テレビ放送

【公式HP】https://tokaidoc.com/kodo/
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ナゴヤキネマ・ノイ公式サイト

https://nk-neu.com/