
「百景借景」は、名古屋を中心に活動する音楽ユニットで、「ひゃっけいしゃっけい」と読む。
ボーカル、ギター、シンセサイザー、ヴァイオリンなどを担当する河合愼五が主宰する、ジャンルレスの4人組。
浅野紘子が、フルートを。
桜井達也が、ワイゼンボーン、バンジョーなどを。
篠田淳が、コントラバスを、それぞれ務める。
河合愼五は、「カタリカタリ」や「しょうにゅうどう」で。
浅野紘子は、「The pyramid」で。
桜井達也は、ソロ、DJとして。
篠田淳は、天竜四季の森音楽団、ジリリタなど、それぞれマルチに活動する実力派だ。
2024年2月11日(日 祝)、「Radical Humanism」「富山優子トリオ」と共に、ThereeMan-LIVEがブラジルコーヒー(名古屋市中区金山4丁目6−22金山コスモビル 1階)で開催された。
百景借景はトップでステージに上がり、
待宵月
無題
イルミネーションゴールド(Guiroカバー)
今日の雨
世界の時刻
七面鳥を食べた夜
ロドリゴ
と、7曲を披露し、観客から大きな拍手を送られた。
今回のThereeMan-LIVEを企画したRadical Humanism春日井直人が「念願かなって出演となった」と前回のライブで聞いていたので、初めて聴く百景借景のサウンドを楽しみにしていた。
そんな前のめりな姿勢でブラジルコーヒーの最前列を陣取ったところ、フロントマンがずらりと4人横並びする立ち位置は、撮影するのに写角を取るのが難しく、少し後悔した。
だが、そんな気持ちは演奏が始まると即座に吹き飛んだ。
百景借景のアコースティックなサウンドを間近で感じて、様々なことが分かった。
コントラバスの音圧は、凄い。
特にピチカートではなくボウイングで生み出される音のうねりは、靴底越しに床から伝わってくるかのような迫力だった。
フルートは、意外とビブラートが響く。
空気の震えが直接耳に届くと、フルートは繊細な音色を楽しむ楽器だという先入観は打ち砕かれた。
ワイゼンボーンには、この上なく癒される。
恥ずかしながら、スティール・ギターはエレキしか聴いたことがなかったので、まるでハープのような音は衝撃だった。
そして、アンサンブルが素晴しい。
素敵なサウンドが重なり合い、百景借景にしか出せないサウンドが生まれる。
『待宵月』、『今日の雨』、カバー曲の『イルミネーションゴールド』と、ボーカル曲も多いのだが、河合のバリトンボイスもまた楽器の一つのようだ。
合奏の音と声の響きとの調和を最優先しているかのように、ボーカルは前に出ずアコースティックサウンドの一部となる。
せっかくアンサンブルと融合しているボーカルだけを聴くのは野暮に感じて、歌詞の意味を追うことを放棄していた。
ボーカル曲なのにインスト曲を聴くかのような感覚は、抽象絵画を鑑賞する時の心の動きと似ていた。
まるで、絵画から具象の要素を消し「抽象絵画」の概念を生んだワシリー・カンディンスキー(Wassily Kandinsky)の絵を観ているように。
ステージのラスト、『ロドリゴ』の「旅に出かけよう」というフレーズで、突如として明確なイメージが浮かんできた。
絵画から具体的なイメージを廃したはずのカンディンスキーの絵から、強烈なインスピレーションを受け取る時のように。
「百景借景」の音楽は、カンディンスキーの絵と似ている――。
ブラジルコーヒーThreeMan-LIVE
RadicalHumanism富山優子トリオ
coming soon
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