ミッドランドスクエアシネマと映画パーソナリティ松岡ひとみさんとの名物コラボ企画【松岡ひとみのシネマコネクション】、11月5日(日)ミッドランドスクエアシネマ(名古屋市中村区名駅四丁目7番1号 ミッドランドスクエア商業棟5階)で【VOL.50】が開催された。 なんと、11月3日【VOL.49】、11月4日【VOL.51】に引き続いて、3日連続の開催である。 そして、なんとなんと今回の上映作品は、【松岡ひとみのシネマコネクション】記念すべき第50回に相応しく
『ゴジラ-1.0』
トークゲストは、こちらもメモリアルに相応しく、山崎貴監督。 『ゴジラ-1.0』は、ゴジラ生誕70周年のメモリアル作品とあって、記念碑ずくめのトークイベントとなった。『ゴジラ-1.0』ストーリー
焼け野原となった故郷・東京に復員した敷島(神木隆之介)は、両親を空襲で亡くしたことを知る。 絶望の中、敷島は闇市で典子(浜辺美波)と出会う。 明日をも知れぬ絶望の中、何とか生活を営む彼らに、突如として巨大生物・ゴジラが襲来する。 敷島は、戦地での悪夢が甦る――。上映後、観客席からは自然と拍手が起こった『ゴジラ-1.0』。
山崎貴監督と、映画パーソナリティ松岡ひとみさんによる舞台挨拶も、本編に双肩するほどの白熱したトークショーとなった。
松岡ひとみ 大ヒットおめでとうございます。そして、名古屋にも来てくださり、ありがとうございます。
山崎貴監督 昨日の夜も鰻を食べました。今日のお昼も鰻を食べました(笑)。
松岡 コロナもありましたし、名古屋でのキャンペーンは久しぶりでは?
山崎監督 そうですね……撮影で来たのが最後って感じですかね。(撮影で)だいぶ名古屋ではお世話になっています。
松岡 ご贔屓にしてくださって。
山崎監督 なんせ、鰻があるんで(笑)。僕はひつまぶしが凄く好きなんですよ。なので、「名古屋と他の所とどっちが良いですかね?」って言われると、「こっち(名古屋)の方が良いんじゃないか」って、ロケ地を決めるのにやや乗っかっちゃってる感じがありますよね(笑)。
松岡 監督は、元々ゴジラが大好きなんですよね?一番最初にゴジラに出会ったのは、どの作品なんですか?
山崎監督 僕は(長野県)松本の出身なんですが、雨が降ると野球中継が中止になって「雨傘番組」をテレビ局が流すんですけど、それが夏休み期間になると割りと怪獣映画を流してくれる率が高くて。多分それで観てたのが、怪獣映画の最初の出会いだと思うんです。
松岡 それで『ゴジラ』も好きになり?
山崎監督 そうですね。で、ある日家のお風呂が壊れまして、銭湯に行きました。そこにポスターが貼ってあったんですよ。『三大怪獣(地球最大の決戦)』の(ポスターで)下に「キングギドラ、松本城に襲来!」って書いてあったんですよ。これ行かなきゃな、と思って。親に本当に泣きながら「お願いだから、これを観せてください!これさえ連れてってくれたら、もう一生映画に連れてってくれなくて良いから」と頼んで。そしたら連れてってくれて、そして一生映画に連れてってくれなくなったんです(笑)。
松岡 それで、映画を作る方になったんですね。
山崎監督 そう、そうです(笑)。多分あの日が映画を作る仕事に向かわせたのかもしれないです。クラス中の男子が全部「『ジョーズ』を観た!」って言ってる時に、僕だけ観てないんですよ……なぜなら、一生連れてってくれないから。だけど、話に入りたいじゃないですか。だから色んな「スクリーン」とか「ロードショー」とかの雑誌を本屋さんで立ち読みして、知識を仕入れて、観たかのように「あの、やっぱサメがさ!背ビレがさ!」って(笑)。『キング・コング』も『タワーリング・インフェルノ』も観れなかったし……毎年お正月映画で名作がやって来てた時も、親に(連れてってって)言えないんですよ(笑)。その時、友達と話す為に、物語(作り)の練習をしたんですよ。ちょっとしかない情報をつなぎ合わせて、「こういう話に違いない!」って。で、冬休み明けの学校で、「観た?観た?凄いよね!」って(笑)。
松岡 その時点で、まさか「ゴジラを撮りたい!」とは思ってないですもんね?
山崎監督 そうですね。「いつか怪獣映画を作る人になりたい」って感じでしたね。
松岡 それが、いよいよ来ましたね。
山崎監督 結構チラチラと言われてたんてすよ、僕東宝の作品やらせてもらうことが多いんで。事あるごとに「『ゴジラ』どうなんですか?」って。凄くやりたいんだけど、技術が追いついてないんで、ゴジラをお迎えするならば、ベストな状態でお迎えしたかったんですよ。やりたいことが全部できるような状況で。でもCGの進化ってどんどん進んでいくんで、一所懸命僕らも進化するんですけど全然追いつかなくて。なかなか「『ゴジラ』やります!」って言えない状況でいたら……『シン・ゴジラ』ですよ(場内笑)。「えー!?」って思いました。「俺じゃねえの?」って(笑)。そして、出来たの観たら、あれじゃないですか!
松岡 『シン・ゴジラ』の後で、プレッシャーみたいなものはありました?
山崎監督 なんで、よりによって『シン・ゴジラ』の後なんだよ!?って。「まだちょっと早い」とか言ってる間に、エラいことになっちゃったなっていう(笑)。
でも、まあまあCG周りの環境も整ってきて、ゴジラ様をお迎えする体制が整ってるかなと思ったんで、今やっとかないと……また違う人が良いやつ作っちゃったら大変じゃないですか。僕は相当挑戦者な方ですけど、『シン・ゴジラ』の後に下手したら誰もやらないんじゃないか……普通ちゃんとした人は、やらないですよね。だから、ちょっと馬鹿な奴がやっとかないと、って(笑)。
松岡 いやいやいや……
山崎監督 いや、そうしないと、『ゴジラ』の文化が途切れちゃう訳ですよ。酷すぎて途切れることはよくあることなんだけど、良すぎて、凄すぎて途切れるのは悲しい話じゃないですか。
松岡 人間ドラマの部分もしっかり描かれてましたね。
山崎監督 僕は初代(『ゴジラ』1954年)が凄く好きなんです。三人(河内桃子、平田昭彦、宝田明)の三角関係がゴジラの物語と拮抗し合って、映画を豊かにしてるじゃないですか。ある人間の視点から、どうゴジラに絡めていくかということは、凄く意識してやりましたね。
松岡 脚本は、相当前から温めていらっしゃったんですか?
山崎監督 そうですね。『三丁目(の夕日)』を作る前くらいから、「妄想ゴジラ」は昭和を舞台にしてました。今回作らせてもらえることになった時、昭和と言っても長いんでどこにしようか?という時に、戦後すぐだったら武器も何も無いし、皆ボロボロになってるし……あの時代にゴジラが来たら良いなって思ったんですよ。それを言ったら、ザワついて……「初代より前をやるんですか!?」って(場内笑)。タブーだったらしいんですよ、東宝の中で。そんなつもり全然なかった……そこが良いんじゃね?くらいの軽い気持ちで言ってたんですけど。「でも、面白いかもしれないですね」って言われて、「良かった……」って(笑)。
最初はオープンセットで撮ろうと思ってたんです。皆走り回るシーンはカメラが動き回るから、CGで出すのはめちゃくちゃ面倒なので。ところが、助監督の見つけてきた写真と同じ1947年の状態のオープンセットが無いんです。「オープンセットで再現するの、無理じゃん」って言ったら、「CGですかねえ」って……「いや、簡単に言うけどさぁ!」って(笑)。
現場に行ったら露店と歩道だけ並んでて、後ろにデカいグリーンバック……「後はよろしく」みたいな状態になってる訳ですよ。カメラの人たちは「ここ、やっぱり緊迫感ですよね!」って、ガンガン(カメラを)揺らしちゃって……画が全部ブレてるんですよ。そこにCGを入れるのが、どれほど大変か(笑)!どんなソフトを使っても全然追っかけられなかったんですが……(白組に)1人、モーションマッチの天才くんがいたんですよ。一昨年入ったばかりの若い人が「俺できるかもしれません」って、全カットやってくれたんですよ(笑)。
松岡 凄い!
山崎監督 天才がゴロゴロしてるんですよ、調布スタジオに。最近入ってくる若い子たちが天才すぎて、中堅の人たちが皆恐れ慄いてますね(場内笑)。生まれた時からコンピュータがあるデジタルネイティブは、途轍もないんですよ。
水の表現も難しいんですが、会社にコンポジット(合成)で入ってきた若い子が、「趣味でシミュレーションやってるんです」って……家で、会社にあるスーパーマシンより凄いマシンを自分で組み立てて、夜な夜なシミュレーションしてたらしいんです。「最近ちょっと波できるようになったんで」って見せてもらったら、途轍もない波で。一人ハリウッドみたいな奴がいたんですよ。彼はコンポ(ジット)なんだけど、今回だけ波チームに入ってもらって(笑)。昔からやってる人たちは、1カットに1テラ(バイト)も使えば「大変なことをやってしまった」ってなるんですけど、その新人くんに「これ、どのくらいキャッシュ使ってるの?」って聞いたら、全然悪びれもせず「5テラですかね」って……もう、ネイティブ達の異常な単位感たるや(笑)。
松岡 今回のゴジラさん、本当に怖かったです。
山崎監督 ゴジラの声を録るのに、音響部が物凄い力を入れて。「ゴジラの声は、響きが良くないと」って言って、何するかと思ったら、野球場を借り切りやがりまして。ZOZOマリンスタジアム借り切って、そこにあるデカいスピーカーから流した音の反響を拾うって言うんです。東京中の録音部が全員集まって、10数人の人たちがマイク出して、ゴジラの鳴き声を流して、反響音を全部拾って、それをそれぞれのスピーカーに入れてるんです。ゴジラの声の反響音は、ZOZOマリンスタジアム産なんですよ。でも、凄い苦情の電話があって……「怪獣鳴いてるんだけど、どういうこと!?」って(場内笑)
松岡 周りに住んでる人たちは、本当にゴジラがやって来たんじゃないか、と……
山崎監督 それは思わないですよ(笑)!録音部と最後に音を調整するダビングって作業があるんです。ある日、録音部の人たちが作業してるところに行って、僕の机に戻ったら、凄い太い筆で「世界が待ってる」って書いてあったんですよ。皆こういう気持ちでやってたのかと感動して、それならマリンスタジアムもしょうがないな、と。
CGも仕上がってくると、僕は全部を仕上げなきゃならないんで、「これでもう充分だから。こっちもやらないとダメじゃん」って言うと、「いや、山崎さん……世界が待ってるんですよ」って(笑)。
でも、アメリカ公開も決まって(場内拍手)。しかも、1500館以上ですよ。日本で「500(館)強なんで大変ですよ」って言ってるのに、アメリカで1500……「ちょっと待って、1500!?」って浮かれてたら、「ただ、アメリカの劇場は日本の10倍あるんで」って言われて(笑)。
松岡 でも、凄いことです。世界に行ったら、ハリウッド映画のお声も掛かるんじゃないですか?
山崎監督 「『スター・ウォーズ』撮りませんか?」なんて……
松岡 ……来たら、どうしますか?
山崎監督 え!?やるに決まってんじゃないですか(場内笑)!!
松岡 『ゴジラ』はずっと観てきた方も大勢いらっしゃいますけど、若い方にも観ていただきたいですね?
山崎監督 でも、最初に狙うは団塊の世代ですよ……700万人いらっしゃいますからね(笑)。生まれた時からゴジラと共に過ごしてきた人たちに、まず観ていただいて。
松岡 キャストのこともお聞きしても良いですか?神木(隆之介)さんと、浜辺(美波)さん……
山崎監督 「らんまん」コンビですね。
松岡 でも、(『ゴジラ-1.0』のキャスティングが)先なんですよね?
山崎監督 当たり前じゃないですか(場内笑)!本当、声を大にして言いたいんですけど(笑)。あらゆる所で「僕らが先です」って言ってるのに、ちょいちょい「「らんまん」観て決めたんですか?」って言われるんです。声は、届かないもんだなぁ、って(場内笑)。
松岡 監督は(NHKの)朝ドラを観てキャスティングすることもあると聞いたんですが、今回は違うんですね?
山崎監督 今回は、違います(笑)!違いますが……(『ゴジラ-1.0』のキャストに)朝ドラ率の高いこと(笑場内)!
松岡 ファンも多いですからね、年齢層も幅広いですし。
山崎監督 そんな邪なことは考えてないです(場内笑)。
松岡 名古屋(出身)の山田(裕貴)くんも。
山崎監督 そうそう。山田くん、これ決まった時はまだオーディションですから。コロナでちょっと(撮影が)延びたんですよ。そしたら、どんどん出世して……「これ、出てくれるかな?」って、ちょっとドキドキしましたね。
松岡 吉岡(秀隆)さんも、佐々木(蔵之介)さんも、素敵でした。最初からお決めになってたんですか?
山崎監督 そうですね。神木くんと浜辺さんを決めたところで、バランスを考えて。「吉岡くん、髪の毛も白っぽくなってきたし、そろそろ(野田役を)演れるかな?」とオファーしてみたら、「『ゴジラ』良いですね!」って。結構皆、「『ゴジラ』に出れるとは思ってなかった」って言ってたんですよ。
蔵之介さんは、(試写を観て)椅子から立ち上がれなくなっちゃって。あんまりこういうタイプの映画に出ないじゃないですか。「えらいことになってますねぇ……ちょっと立てないです。しばらくここにいさせてください」って。
松岡 最後に一言、お願いいたします。
山崎監督 こんなに沢山の人達の前で、観ていただいた後にこういうお話が出来て、とても楽しかったです。皆さんの口コミで広がっていくものだと思いますので、是非よろしくお願いいたします。本当に、今日はありがとうございました(場内拍手)。
映画『ゴジラ-1.0』公式サイト
https://godzilla-movie2023.toho.co.jp/
ミッドランドスクエアシネマ公式サイト
http://www.midland-sq-cinema.jp/top
松岡ひとみのシネマレスト
https://cinemarest.com/
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