
9月15日(金)からロードショー公開が始まったフランス映画『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』は、ミステリーのようでもあり、コメディのようでもある、ちょっと洒落た家族の物語だ。
『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』ストーリー
明るく周囲から愛される姉・アリス(マリオン・コティヤール)と、繊細で芸術家肌の弟・ルイ(メルヴィル・プポー)。幼い頃から仲の良かった二人だが、ルイが初めての詩集を出版した時、女優となったアリスが「大嫌い」と口にした時から、お互いの内に秘めていた憎しみがあらわになる。
あからさまにルイを無視するようになったアリスは、ルイがフォニア(ゴルシフテ・ファラハニ)と結婚し、子どもをもうけても会いに来ることはなかった。
ルイは息子の葬儀にやっと現れたアリスに憎しみを隠そうとせず、話もせず追い返した。
フランスの南部、馬でしか行けないような山の中で隠者のように暮らすルイは、姉への憎悪に溢れた本を出し、アリスは激しく打ちのめされる。
ある日、ルイとフォニアの家に、友人であるズウィ(パトリック・ティムシット)が訪ねてくる。
ルイの両親が交通事故に遭い、危険な状態だというのだ。
帰郷することを、ルイは渋る……父母には会いたいが、姉には会いたくない――。
姉・アリス役には、『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(2007)『たかが世界の終わり』(2016)の、マリオン・コティヤール。
弟・ルイ役には、『夏物語』(1996)『Summer of 85』(2020)の、メルヴィル・プポー。
そして監督は、『そして僕は恋をする』(1996)『あの頃エッフェル塔の下で』(2015)の、名匠アルノー・デプレシャン監督。

9月18日(月・祝)、伏見ミリオン座(名古屋市中区錦2丁目15−5)の舞台挨拶に登壇したアルノー・デプレシャン監督を取材した。
結局のところ、運命の鎖とは自分自身でしか断ち切ることが出来ないのかもしれない。
ルイが、衣服を脱ぎ捨て、憎悪から抜け出したように。
アリスが、すべてを捨て去り、魂を解放したように。
そして、アルチュール・ランボーが、砂漠を彷徨った後に「イリュミナシオン(Les Illuminations)」を紡いだように――。


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