2023年9月2日(土)、「gallery N」(名古屋市千種区鏡池通3-5-1)を取材した。
この日、初日を迎えたのは、愛知県立芸術大学修士課程を日本画領域にて修了した、前畑裕司さんの個展。
ただ、前畑さんの作品は、「所謂日本画」とは趣きが違う。
gallery Nでも何度か個展を開催し、精力的に作品を生み出している前畑さんは、既存の日本画の枠組みを考えさせるような絵画を制作。
インターネットに溢れるイメージや、リサイクルショップで見つけたポストカードや掛軸などレディメイド製品を再構築し、絵画の概念に疑問を投げかける作品へと展開している。
今回開催されている個展
【富士の美 Ⅱ】
は、謂わば「シミュレーション・アーティスト前畑裕司」の現在地と言える。
オープニングトークの様子を動画でレポートする。
ゲストは、美術編集者で批評家、著作者の楠見清さん。
富士山が世界遺産に登録されて、今年で10周年。
(「信仰の対象と芸術の源泉」として)
だがしかし、前畑さんが富士登山をすることは今後も無いのであろう。
登ってしまえば、肝心の富士山を自身の目で眺めることが出来ないのだから。
そしてこれは、前畑さんがイメージの源泉とした「名もなきポストカード画家」も、同様なのかもしれない――。
前畑裕司 個展【富士の美 Ⅱ】は、9月17日(日)まで「gallery N」で開催中。
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