「人類の歴史は過ちの繰り返しだ。
だからこそ知らなくてはならない。
凝視しなくてはならない」
こう語るのは、『A』シリーズ、『FAKE』で名を馳せたドキュメンタリー映画の名匠・森達也監督だ。
その森達也監督がメガホンを取った初の劇映画が、関東大震災から100年後2023年9月1日(金)よりロードショー公開されている。
『福田村事件』が、それだ。
映画『福田村 事件』ストーリー
「デモクラシー」が流行語となった大正10年代、澤田智一(井浦新)は、故郷の千葉県東葛飾郡福田村に妻・静子(田中麗奈)を伴い帰ってきた。20年ぶりの福田村では、同級生である在郷軍人会の長谷川(水道橋博士)や村長の田向(豊原功補)から教師に復職するよう切望されるも、智一は百姓を始める。
智一は、日本統治下の京城で、静子にさえ言えぬ秘密を抱えていた。
同じ頃、沼部新助(永山瑛太)率いる薬の行商を生業とする香具師の一団が、遠く関東へと出稼ぎに出発する。
故郷の讃岐(香川県)を離れれば、半年は帰らぬ長旅だ。
そして、大正12(1923)年9月1日11時58分、関東大地震が発生した――。
2023年9月2日(土)、『福田村事件』公開二日目を迎えたシネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F)を取材した。
この日は舞台挨拶があるということもあり、シネマスコーレ開場を待つ観客は、映画館の在る一丁角を一周せんかの勢いで取り囲んだ。
登壇したのは、森達也監督、そして主演の井浦新さんだ。
大写しされたスクリーンの惨劇を如何すことも出来ない客席の、そこかしこからすすり泣きが聴こえてきた。
物語の誰かに(それはきっと、役名も付かない村人の一人に)成り代った観客は、己の力の無さを嘆き声にならない阿鼻叫喚をあげていた。
私たちは、知ってしまった。
ところで、あなたは――。
映画『福田村事件』公式サイト
https://www.fukudamura1923.jp/
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