ドラマ、CM制作広告、企業ブランディング、CDジャケット……アートディレクター・千原徹也は、様々な分野で才能を発揮している。
そして遂に、映画製作を手掛けた。
千原徹也氏に、いや、千原徹也監督にとって映画とは、デザインを志す原点であり、長年の夢だったという。
初監督、そしてエグゼクティブプロデューサーを務めるその映画は、『アイスクリームフィーバー』。
芥川賞作家・川上未映子の短編「アイスクリーム熱」(講談社文庫「愛の夢とか」収録)を原案とした群像劇に、綺羅星の如きキャスト陣が集結した。
主演を務めるのは、『ハケンアニメ!』(2022)『つむぐもの』(2016)などヒット作、話題作で活躍ぶりが目覚ましい吉岡里帆。
彼女が演じる常田菜摘が働く「シブヤミリオンアイスクリーム」は、様々な人々がすれ違う交差点のような、物語の重要ポイント。
千原監督とのコラボ経験が豊富な吉岡は、繊細な表現で見事に難役をこなした。
アイスクリーム屋に通い始める女性・橋本佐保を務めるのは、女優、ファッションモデルのモトーラ世理奈。
『少女邂逅』(2016)『恋恋豆花』(2020)など、唯一無二の輝きを放ち続けるモトーラは、今作でもミステリアスなエッセンスで作品を彩る。
菜摘の後輩アルバイトの桑島貴子役には、音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」のボーカル・詩羽。
今作が映画デビューとは思えない存在感で、ダンスシーンにも注目だ。
アイスクリーム屋の近所に住む高嶋優役には、『雨に叫べば』(2021)『夜、鳥たちが啼く』(2022)の松本まりか。
仕事に邁進しつつも過去から抜け出せずにいる優というキャラクターがいたからこそ、『アイスクリームフィーバー』はダブル、トリプルのような重層なドラマたり得たのだ。
脇を固めるのも、MEGUMI、コムアイ、片桐はいり、安達祐実といったバラエティに富んだメンバーとなっている。
そして、こちらも映画初出演、南琴奈にご注目。
2023年8月5日(土)、センチュリーシネマ(名古屋市中区栄3-29-1 名古屋パルコ東館8F)に、大ヒットを記念して千原徹也監督が駆けつけた。
客席からの質問に直接答えるティーチインは、大いに盛り上がった。
冷たくて、甘い。
そんなものがあってこそ、乗り越えられるものがある。
熱くて、苦しい、人生ってものが――。
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