全国でロードショー公開された短編映画『片袖の魚』(2021年)が国内外の映画祭で10冠を獲得するなど、その作家性・映像美で観る者を魅了し続ける、東海林毅監督。

『老ナルキソス』は、東海林毅監督にとって初の長編作品だ。

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『老ナルキソス』ストーリー

ゲイの老ナルシスト・山崎(田村泰二郎)は、若き日の自分自身を思わせる美貌の持ち主・レオ(水石亜飛夢)と出会う。
絵本作家の山崎は長らく新作を出せずいるが、レオから自作の愛読者だったと知らされ、スランプから抜け出す切っ掛けを掴もうとする。
客とウリセンボーイという関係と知りつつ、山崎はレオに入れ込んでいく。

レオは、彼氏・隼人(寺山武志)と一緒に暮らしている。
付き合って2年になる二人は、隼人の家族にも公認だが、レオは何となく倦怠期を感じている。
そんなレオの気持ちを知ってか知らずか、隼人は自治体のパートナーシップ制度を申請して、レオと家族になろうと提案する。
レオは隼人を愛しつつ、山崎に父の面影を重ねていた――。

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『老ナルキソス』には2017年に短編版(21分)が存在し、これがまた傑作だった。
いわば、過去の名作を満を持してセルフリメイクした作品が今作『老ナルキソス』(110分)である。

短編版『老ナルキソス』が傑作だったからこそ、ハードルを低くして臨んだ長編版『老ナルキソス』だったのだが、大変な誤りだったと打ちのめされた。

長編版『老ナルキソス』は、短編版に優るとも劣らぬ……否、凌駕する傑作だった。

『老ナルキソス』という映画の初体験組は、言わずもがなの素晴らしい鑑賞体験ができると断言する。

そして、短編版『老ナルキソス』を観たことのある観客は、大変に質のいい『老ナルキソス』二部作を観たような印象を受けるはずだ。
しかも、短編版『老ナルキソス』とはまた違った味わいの「新シリーズ」だ。

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『老ナルキソス』は、名古屋シネマテーク(名古屋市千種区今池1丁目6−13 スタービル 2F)では、6月17日(土)に初日を迎えた。
東海林毅監督、大木隼人役の寺山武志さん、そして名古屋シネマテークと東海林監督、双方に縁のある映画監督・福島拓哉さんをゲストに初日舞台挨拶が開催され、大盛況となった。

長編版『老ナルキソス』が傑作との認識は福島監督と同じなようで、上映後は大変に熱の入ったトークが展開された。
取材することができたので、動画で紹介する。



『老ナルキソス』、名古屋シネマテークでは6月23日(金)まで連日19:50〜の上映となる。

6月18日(日)にも東海林毅監督による舞台挨拶が開催されるので、是非とも名古屋シネマテークへ足を運んでほしい。

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映画『老ナルキソス』公式サイト

https://oldnarcissus.com/

名古屋シネマテーク公式サイト

http://cineaste.jp/