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2021年、横浜市で行われた市長選に全国から耳目が集まっていた。
争点となったのは、統合型リゾート(IR)の誘致案、すなわちカジノ誘致の是非である。

2017年の市長選でIR誘致の白紙撤回を掲げて当選した林文子市長(当時)が、一転して誘致に賛成を表明したのが、2019年8月。
市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」は直ちに署名活動を行い、2ヶ月間で住民投票条例の請求に必要な法定数の3倍以上にあたる19万筆に及ぶ署名を集めた。
ところが2021年1月、自民・公明が多数派を占める市議会で住民投票を行うための条例案が否決。
「カジノの是非を決める横浜市民の会」としては、8月の市長選がカジノ誘致にNOを突きつける最後の機会として、政界では無名の存在と言っていい横浜市立大学医学部教授・山中竹春氏を候補者に擁立した。

カジノ誘致の反対運動の中枢にいたのは、「ハマのドン」こと藤木幸夫氏、齢九十余歳。
地元政財界の顔であり、与党幹部はじめ総理経験者、広域指定暴力団・山口組組長とも太いパイプを持つ、保守の重鎮だ。
父子二代で山下埠頭の荷役業務を仕切ってきた港湾の生き字引で、通り名のにある“ハマ”が背負うのは横浜だけでなく港そのもの、正真正銘「津々浦々の首領」である。

そんな裏の権力者、保守の重鎮たる藤木氏が公然と弓を引く相手は、政権与党党首であり内閣総理大臣(当時)菅義偉その人であった。
菅総理といえば神奈川県第2区の選出、藤木氏とも浅からぬ因縁があった――。

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『ハマのドン』は、テレビ朝日が手掛けた初めてのドキュメンタリー映画。
監督は、「報道ステーション」プロデューサーを務めた松原文枝氏。
プロデューサーは、「テレメンタリー」の江口英明氏と、民教協(公益財団法人 民間放送教育協会)の雪竹弘一氏が務めた。

5月20日(土)、名古屋シネマテーク(名古屋市千種区今池1丁目6−13 スタービル2F)にて『ハマのドン』ロードショー公開が始まった。
公開初日、登壇した松原文枝監督の舞台挨拶を取材した。


民主主義って、機能するんだ。
監督の言葉ではないが、『ハマのドン』を観て、そう思った。

そして、映画って、捨てたもんじゃないんだ。
名古屋シネマテークに通い、そう思った――。

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映画『ハマのドン』公式サイト

http://hama-don.jp/

名古屋シネマテーク公式サイト

http://cineaste.jp/