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実際のニュースから着想を得た外山文治監督オリジナル脚本による社会派群像劇『茶飲友達』

2023年2月4日、渋谷ユーロスペース1館から始まったロードショーは、公開から3ヶ月足らずで74館という驚異の拡大上映を続ける怪物映画に成長した。

「お客様の感想をお聞きしますと、皆さんそれぞれの登場人物に自分の思いを馳せ、家族のことだったり、老人の性についてだったり、それぞれ感想が違っていらっしゃいます。私どもはそれを聞かせていただき、「あぁ、そういうことだったのか」と逆にお客様から教えていただいてます」

そう壇上で語ったのは、2023年4月29日(土・祝)名古屋シネマテーク(名古屋市千種区今池1丁目6−13 スタービル 2F)の初日舞台挨拶に駆けつけた、カヨ役の岬ミレホさん。

『茶飲友達』は、「ENBUシネマプロジェクト」から生まれた映画だ。
ENBUシネマプロジェクトといえば、第7弾作品がご存知『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督/2018年)。
ちなみに岬ミレホさんは第8弾『お嬢ちゃん』(二ノ宮隆太郎監督/2019年)で登壇して以来、名古屋シネマテークでの舞台挨拶は二度目という。

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『茶飲友達』は「ENBUシネマプロジェクト」第10弾という節目の作品だったことから、ワークショップの規模も大きくなったのだそう。

「667人の方がワークショップに応募されまして、107人が書類を通って、5つのグループに分かれて各クラス2日ずつのワークショップをして、外山(文治)監督がオーディションをしました。
 私のクラスには、マナ役で主演を務めた岡本玲さんや、作品の中で私が演じたカヨと印象的なやり取りをする鈴木武さんがいらっしゃいました。
 鈴木さんは最初ちょっと怖そうな印象でしたが、実際お芝居してみるととても繊細で優しい方でした」


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『茶飲友達』は群像劇ということで、外山文治監督から台本をもらい「それぞれ、役を作ってください」と言われ、岬さんはA4用紙3枚ぎっしり書いて提出したという。

「私だけでなく、出演者みんなが役の裏側とか事細かく書いて。監督は「合ってる」「こうじゃない」とか言う訳じゃなかったので、それに沿って役を作りました。
 私は他のティーガールズの方とはちょっと離れた立ち位置の役でしたので、ティーガールズ皆さんには私がどんな人生を送ってきたかは言わないようにしました。
 ただ、「マナちゃんだけには言った」ということにして、岡本玲さんには(カヨの履歴を)渡しました」


監督はキャスト陣に「皆さんそれぞれが主役」と言っていたそうで、それぞれに用意された見せ場に向かっていけたという。

「カヨは若い人に対して
「傷つきたくない奴っていうのは、何もしない癖に、いつの間にか傷ついていくんだよ」
 という台詞をポロッと言うんです。
 今の若い方の閉塞感を表す言葉を、どうしようもないカヨが言うことに意義があるんだと、監督は仰ってました」


観る者によって視点を変えることが出来るのが、群像劇の特徴だ。
そして、観る度に新たな発見があることが、『茶飲友達』の強みだ。

その発見を、気付きとして学ぶのか、絵空事として諦めるのか、それは受け手次第だ。

作り手の何倍、何万倍、何億倍もの人々の、目を、耳を、心を通して、徐々に完成されていく。
それが、映画というものだ――。

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映画『茶飲友達』公式サイトhttp://teafriend.jp/

名古屋シネマテーク公式サイト

http://cineaste.jp/