GOLDFISH_メイン写真②

学生時代、バイト先の社員さんが音楽好きで、よく店内に引いていた有線にリクエストさせられた。
電話口のオペレーターさんを悩ませる選曲も度々あったようで、その都度
「あの……『叫んでやるぜ』は、レコードが無いそうです」
「じゃあ、『シティ・サーファー』は無いか聞いて!」
などと、受話器を片手に伝言ゲームしたものだ。
彼は、大の「亜無亜危異」(=アナーキー)ファンだった。

その社員さんの影響で、私も亜無亜危異を聴くようになった。
ダサ坊なので『東京・イズ・バーニング』がカバー曲なんてことは知らなかったりしたが、『ジョニー・B・グッド』は今もアナーキーバージョンが一番好きだ。

デビュー42周年を迎えるパンクバンド「亜無亜危異」。
不動のギタリストとして亜無亜危異を支え続ける藤沼伸一が、初めて映画監督に挑戦した。
自分のすべてをモチーフにしたという映画『GOLDFISH』が、いよいよ公開される。

1680216370039

『GOLDFISH』ストーリー

イチ(永瀬正敏)は、アイドルに楽曲を提供したり、バンドを率いてライブ活動したりと、ギタリストとして音楽業界に身を置いている。
ある日、昔馴染であるアニマル(渋川清彦)から、パンクバンド「銃徒」(ガンズ)の再結成を提案される。
気乗りしないままアニマルに連れられ、ベースのテラ(増子直純)、ドラムのヨハン(松林慎司)に再結成を呼びかけるイチ。
だが、もう一人のギタリスト・ハル(北村有起哉)の消息がなかなか掴めない。
80年代、社会現象にもなったガンズだが、人気絶頂の最中にハルが起こした傷害事件により活動停止を余儀なくされたのだった――。

1680216526098

亜無亜危異のギター・藤沼伸一監督の分身とも言える主人公イチを演じるのは、『あん』(15)『パターソン』(16)『名も無い日』(21)の、永瀬正敏。
パンクバンドを組んだ経験もあるという永瀬の音楽シーンに目を奪われるが、今作ではストレートに感情を爆発させる場面もあり、その振り幅に是非とも注目してほしい。

1680216313884

ガンズのリーダーでボーカルのアニマルには、『そして泥船はゆく』(13)『お盆の弟』(15)の、渋川清彦。
『偶然と想像』(21)、『キングダム2 遥かなる大地へ』(22)と、どんな出演作でも独特の輝きを魅せる渋川から語られる「カリスマ論」は必見だ。

1680216500019

物語のキーパーソン・ハルには、『太陽の蓋』(16)『新聞記者』(19)『本気のしるし 劇場版』(20)の、北村有起哉。
いるだけで物語を一変させる存在感は今作でも健在で、登場シーンの少なさを感じさせない濃密な空気感を映画に纏わせる。

1680216479988

ヨハン役の松林慎司も見逃せない。
彼が見せる人生の葛藤は、『GOLDFISH』の大きなテーマの一つだ。
そして、ベースのテラ役を誰が務めているか、音楽ファンならずとも驚いただろう。
増子直純は、84年結成のロック・バンド「怒髪天」のボーカルだ。

1680216455920

増子だけでなく、今作にはミュージシャンが多数出演し、物語を彩っている。
KODOMO BANDのうじきつよし、頭脳警察のPANTA、G.D.FLICKERSの稲田錠(JOE)、ニューロティカの井上あつし(あっちゃん)、REGINAのRICO、WENDYの4人……そして、亜無亜危異!

1680216342646

謎の存在・バックドアガラス役には、INUの町田康。
音叉のA音は、登場人物だけでなく、観客の心にも共鳴する。

1680216424076

藤沼監督は初メガホンとなるが、プロデューサーに名を連ねる片嶋一貴のテイストが感じられることも『GOLDFISH』の魅力の一つ。
有森也実は、『たとえば檸檬』(12)『いぬむこいり』(17)に優るとも劣らぬエキセントリックな芝居を観せる。

1680216396095

藤沼伸一監督は、音楽に、特にロック、パンクに取り憑かれた者たちの「呪縛」を、ダイレクトに描いてみせる。
ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリクス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、そして、カート・コバーン……生き急いだミュージシャン達。
(ドアーズに『バックドアマン』というカバー曲がある)

亜無亜危異が、パンクロックが歌う楽曲には、いつも「あいつら」が登場するが、聴く者によって「あいつ」の正体は変貌する。
権力者、政治家、金持ち、社会、システム……そして、運命。

でも、たとえ「あいつ」が戦車に乗って来たって、
俺たちは戦うことを諦めちゃいない。

心の銃を、使って――。

1680216554513

3月31日(金)より全国ロードショーが始まる『GOLDFISH』。
名古屋ではセンチュリーシネマ(名古屋市中区栄3丁目29−1 パルコ東館)での公開となる。
センチュリーシネマでは4月2日(日)舞台挨拶が開催され、藤沼伸一監督RICO(REGINA)の登壇が予定されているので、是非お観逃しなきよう!

© 2023 GOLDFISH製作委員会

映画『GOLDFISH』公式サイト

https://goldfish-movie.jp/