『人形たち~Dear Dolls』というオムニバス映画が、2023年4月8日(土)より池袋シネマ・ロサで、4月15日(土)より大阪シアターセブンで公開される。
『人形たち~Dear Dolls』は4人の女性監督による短編映画をオムニバス形式にした83分の作品で、東京、大阪の公開では短編映画『Bird Woman』(監督:大原とき緒/21分)の同時上映が決まっている。

女性映画監督による短編映画と言えば、2008〜13年に開催された企画上映【桃まつり】が想起される。
女性監督によるオムニバス映画といえば『21世紀の女の子』(監督:山戸結希ほか/2019年)があるが、【桃まつり】の方を思い出したのは、『人形たち~Dear Dolls』は1作ごと特徴が際立っており、まるで映画祭を観ているかのような感想を覚えたからだ。

静かに語る声と、響き渡る音楽、幻想的な舞踏は、古代からのメッセージなのか。
11才の少女・ちひろ(華月)は、田園を臨む丘の上で、女性を象った土偶を見つける――。
大原とき緒監督『Doll Woman』

河原にテントを立てて暮らしている女性・トキ(大原とき緒)は、捨てられた人形を集め、愛している。
ある日耳の不自由なホームレス(廣末哲万)と出会いお互い惹かれあうが、彼が大事にしている人形が彼女に語り掛けてきて――。
海上ミサコ監督『怒れる人形』

アンティーク雑貨店で働くナズナ(奥野みゆ)は、姉サラサ(紀那きりこ)が上司からのハラスメント行為で苦しんでいることを知る。
姉にもらった人形のケンジになりきりサラサの上司への復讐を誓うナズナに、店長(皆木正純)はカウボーイの衣装を手渡す――。
吉村元希監督『オンナのカタチ ヒトの形をして生まれながらも存在消されしモノの情景』

吉村元希は、自身の体験を語る。それは、社会が持つ「女性性」への固定概念に対する疑問を浮き彫りにする。
カップル(福島拓哉、田中玲)の対話は何かを示唆しつつも掴みどころがなく、観る者は思索の渦の只中にあることに気付く――。

オムニバス映画『人形たち~Dear Dolls』は構成作品が多彩で、一つひとつの短編映画がそれぞれ際立っている。
観客は、まるで映画祭で数多の短編作品を観たかのような鑑賞感を味わうことになる。
一本のオムニバス作品と呼ぶには、振り幅が大きすぎるのだ。

だが、その振り幅の大きさこそが、『人形たち』の本質である。
今作は、生きづらさを感じている女性たちの物語である。

パターナリズム(家父長制)が未だに蔓延る現代社会、無自覚的に繰り返される偏見、差別、セクハラ、パワハラ、ミソジニー、性被害……
女性が日々感じる生きづらさは、多岐にわたる。

だからこそ、生きづらさを表現する作品も多岐にわたる。
アート性あふれる寓話……
アイロニーを含んだラブストーリー……
ウィットに富んだ風刺活劇……
虚実を行き来する映像作品……
映画は、自ずと多彩となる。

そして、多彩な4篇の短編映画を、企画上映といった興行とせず、一本のオムニバス作品に仕上げたことこそが、『人形たち~Dear Dolls』最大の特徴であり主張だと思う。
発起人・大原とき緒の呼び掛けに応えた、海上ミサコ、西川文恵、吉村元希……
集った四人の女性監督は、作品の個性を活かしつつも、分断することを好しとせず、一本の映画として融和することを選んだのだ。

生きづらさ溢れる社会に生きる者を「人形」と喩え、自らも「まだ人間になっていないもの=人形」と名乗る四人の女性監督たち。
だが監督たちは、生きづらい世の中を、そこに生きる人形たちを、なお愛することを選ぶのだ。

親愛なる人形たちの、主張と融和に、傾聴せよ。
自由と解放を、目撃せよ。
ところで、あなたは――。
参加監督:海上ミサコ、大原とき緒、西川文恵、吉村元希
エンディング曲「ヒトトシテ」作詞・作曲・歌:いわさききょうこ
MA:吉方淳二/タイトルデザイン:鈴木規子
プロデューサー:大原とき緒/製作・配給:movies label will
【公式サイト】
https://deardolls.wixsite.com/movie
【公式Facebook】https://www.facebook.com/deardolls2023
【公式Twitter】https://twitter.com/DearDolls2023
【公式Instagram】https://www.instagram.com/deardolls2023
『人形たち~Dear Dolls』は4人の女性監督による短編映画をオムニバス形式にした83分の作品で、東京、大阪の公開では短編映画『Bird Woman』(監督:大原とき緒/21分)の同時上映が決まっている。

女性映画監督による短編映画と言えば、2008〜13年に開催された企画上映【桃まつり】が想起される。
女性監督によるオムニバス映画といえば『21世紀の女の子』(監督:山戸結希ほか/2019年)があるが、【桃まつり】の方を思い出したのは、『人形たち~Dear Dolls』は1作ごと特徴が際立っており、まるで映画祭を観ているかのような感想を覚えたからだ。
各話解説
西川文恵監督『JOMON-わたしのヴィーナス』
静かに語る声と、響き渡る音楽、幻想的な舞踏は、古代からのメッセージなのか。
11才の少女・ちひろ(華月)は、田園を臨む丘の上で、女性を象った土偶を見つける――。
大原とき緒監督『Doll Woman』

河原にテントを立てて暮らしている女性・トキ(大原とき緒)は、捨てられた人形を集め、愛している。
ある日耳の不自由なホームレス(廣末哲万)と出会いお互い惹かれあうが、彼が大事にしている人形が彼女に語り掛けてきて――。
海上ミサコ監督『怒れる人形』

アンティーク雑貨店で働くナズナ(奥野みゆ)は、姉サラサ(紀那きりこ)が上司からのハラスメント行為で苦しんでいることを知る。
姉にもらった人形のケンジになりきりサラサの上司への復讐を誓うナズナに、店長(皆木正純)はカウボーイの衣装を手渡す――。
吉村元希監督『オンナのカタチ ヒトの形をして生まれながらも存在消されしモノの情景』

吉村元希は、自身の体験を語る。それは、社会が持つ「女性性」への固定概念に対する疑問を浮き彫りにする。
カップル(福島拓哉、田中玲)の対話は何かを示唆しつつも掴みどころがなく、観る者は思索の渦の只中にあることに気付く――。

オムニバス映画『人形たち~Dear Dolls』は構成作品が多彩で、一つひとつの短編映画がそれぞれ際立っている。
観客は、まるで映画祭で数多の短編作品を観たかのような鑑賞感を味わうことになる。
一本のオムニバス作品と呼ぶには、振り幅が大きすぎるのだ。

だが、その振り幅の大きさこそが、『人形たち』の本質である。
今作は、生きづらさを感じている女性たちの物語である。

パターナリズム(家父長制)が未だに蔓延る現代社会、無自覚的に繰り返される偏見、差別、セクハラ、パワハラ、ミソジニー、性被害……
女性が日々感じる生きづらさは、多岐にわたる。

だからこそ、生きづらさを表現する作品も多岐にわたる。
アート性あふれる寓話……
アイロニーを含んだラブストーリー……
ウィットに富んだ風刺活劇……
虚実を行き来する映像作品……
映画は、自ずと多彩となる。

そして、多彩な4篇の短編映画を、企画上映といった興行とせず、一本のオムニバス作品に仕上げたことこそが、『人形たち~Dear Dolls』最大の特徴であり主張だと思う。
発起人・大原とき緒の呼び掛けに応えた、海上ミサコ、西川文恵、吉村元希……
集った四人の女性監督は、作品の個性を活かしつつも、分断することを好しとせず、一本の映画として融和することを選んだのだ。

生きづらさ溢れる社会に生きる者を「人形」と喩え、自らも「まだ人間になっていないもの=人形」と名乗る四人の女性監督たち。
だが監督たちは、生きづらい世の中を、そこに生きる人形たちを、なお愛することを選ぶのだ。

親愛なる人形たちの、主張と融和に、傾聴せよ。
自由と解放を、目撃せよ。
ところで、あなたは――。
映画『人形たち~Dear Dolls』
2023年/83分/カラー/ステレオ参加監督:海上ミサコ、大原とき緒、西川文恵、吉村元希
エンディング曲「ヒトトシテ」作詞・作曲・歌:いわさききょうこ
MA:吉方淳二/タイトルデザイン:鈴木規子
プロデューサー:大原とき緒/製作・配給:movies label will
【公式サイト】
https://deardolls.wixsite.com/movie
【公式Facebook】https://www.facebook.com/deardolls2023
【公式Twitter】https://twitter.com/DearDolls2023
【公式Instagram】https://www.instagram.com/deardolls2023
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