BAD CITYメイン

1962年生まれの人たちは、昨年60歳となった。

1962年といえば、映画界では是枝裕和監督が昭和37年生まれ。
また、劇作家の平田オリザも同い年だ。

俳優でいうと、豊川悦司、三上博史、筧利夫、風間トオル、渡辺いっけい、宇梶剛士、高木美保と、錚々たる顔ぶれが並ぶ。
また、寺脇康文、六角精児、神保悟志、山西惇と、特定の刑事ドラマを思い起こさせる名前が顔を揃えるのも面白い。
海外では、トム・クルーズ、ジョディ・フォスター、ジム・キャリーあたりが同年齢だ。

全体の印象としては、若々しい60歳、といったところか。
「この人、そんなに歳なの?」と驚かれた向きも多いだろう。

そんな中、年相応に齢を重ね、見事に年を取った俳優がいる。

1962年6月19日生まれの、小沢仁志だ。

説明不要とは思うが、小沢といえば、「顔面凶器」「Vシネの帝王」「肉弾派スター」など、数々の異名を持つ大ベテラン。
そんな俳優・小沢仁志の「還暦記念映画」が公開となった。

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タイトルは、『BAD CITY』。
「OZAWA」名義で製作総指揮として企画段階から携わり、自らオリジナル脚本を書き上げた『BAD CITY』は、主演として「俳優人生で最後の無茶」だという。

その看板はまさしく偽りなしで、今作は本格アクション娯楽大作に仕上がっている。
徹底したトレーニングを課して撮影に臨んだ小沢仁志は、なんと100人以上を相手にCG・スタントなしの肉弾線を繰り広げる。

監督・アクション監督は、『HYDRA』(監督)『ベイビーわるきゅーれ』(アクション監督)など、自身のスタント経験を活かしキレキレのアクション映画を創出する、園村健介。
小沢仁志の無茶に応えたアクションシーンは、園村監督でなければ生み出せなかっただろう。

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『BAD CITY』ストーリー

カジノ誘致を巡り、何かと火種を抱える「開港市」は、巨悪蠢く犯罪都市として悪名を馳せている。

ある夜、温浴施設を借り切って寛いでいた桜田組の組長以下構成員が、武闘派マフィアの金数義(山口祥行)と側近ハン(TAK∴)により惨殺される。
金が幹部を務める韓国マフィアと黒い繋がりが疑われる、五条財閥の会長・五条亘(リリー・フランキー)は裁判で無罪が確定し、次の市長選出馬を表明する。

検事長の平山(加藤雅也)は、五条の検挙のために特捜班を結成。
公安0課の小泉(壇蜜)の元に、所轄の警察官・熊本(勝矢)、西崎(三元雅芸)、野原(坂ノ上茜)が召集される。

そして、実行班班長には、ヤメ検で警察官となった変り種の警部・虎田(小沢仁志)。
だが、虎田は留置所に拘留中の身であった――。

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娯楽映画に限ったことではないが、面白い物語には欠かせない要素が二つある。
その一つは、成長だ。
『BAD CITY』は、虎田警部の元に集う若者が成長していく物語である。

熊本刑事を演じる勝矢は、頼りになる先輩として、重厚な存在感を見せる。
西崎刑事を演じる三元雅芸は、戦闘を貫徹し、逆境を跳ねのける。
野原刑事を演じる坂ノ上茜は、新米を返上し、一人前の警察官となる。
また、波岡一喜が演じた村田は、チンピラから侠客へと変貌を遂げる。

そして、ぶっきらぼうで厳しい中に垣間見せる、優しく温かい虎田の眼差しを、小沢仁志は見事に表現する。
アクション作品の中にあって些細なやり取りだが、それはきっと壇蜜が演じる小泉とは築けなかった信頼関係であり、ベテランの域に至っても尚成長し続ける虎田の人間性を感じさせる。

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面白さに欠かせない要素、その二つ目は、対立だ。
『BAD CITY』で主人公と対峙する敵たちの、圧倒的な悪役っぷりを堪能してほしい。

TAK∴が演じたハンは、飛び道具なしなら間違いなく劇中で最強の敵だ。
主人公・小沢仁志を、二人がかりの三元雅芸と坂ノ上茜を、追い詰めるTAK∴の「ウェイブ」のキレを見よ!

山口祥行が演じた金数義は、勝つため、生き延びるために手段を選ばない。
保身のため家族まで切り捨てる冷酷さと、クライマックスの戦闘シーンでのキレっぷり、その振り幅が堪らない。

そして、巨悪の根源、ラスボスが、リリー・フランキー演じる五条会長。
こんな人が出馬したなら票を投じてしまいそうだと観る者に思わせてしまう凄味が、スクリーンから滲み出てくる。

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小沢仁志の還暦記念映画『BAD CITY』最大の魅力は、登場人物が暴れまわる「開港市」そのものにある。
悪の芽を摘まんと加藤雅也が目を光らせ、かたせ梨乃がビルの高層階から路地裏を見下ろしている、そう思わせる実在感がこの犯罪都市にはある。

還暦記念といわず、小沢仁志、OZAWAには、開港市シリーズを今後も撮り続けてほしい。
続編でも、スピンオフでも……ずっと開港市という犯罪都市を、“BAD CITY”を観ていたい――。

舞台挨拶情報

ミッドランドスクエアシネマ(名古屋市中村区名駅四丁目7番1号 ミッドランドスクエア商業棟5階)

1月28(土)17:55上映回

登壇予定:小沢仁志 小沢和義

映画『BAD CITY』

2023年1月20(金)〜
新宿ピカデリー
ミッドランドスクエアシネマ

ほか全国絶賛公開中

小沢仁志

坂ノ上茜 勝矢 三元雅芸

諏訪太朗 島津健太郎 友和 桐生コウジ 浜田 晃 松永有紗 許 秀哲 圭叶 桑田昭彦 福田健次
中野英雄 小沢和義 永倉大輔

山口祥行 本宮泰風 波岡一喜 TAK∴
壇蜜 加藤雅也 かたせ梨乃 リリー・フランキー

製作総指揮・脚本:OZAWA
監督・アクション監督:園村健介

主題歌:クレイジーケンバンド「こわもて」(doublejoy international/UNIVERSAL SIGMA)

配給:渋谷プロダクション

© 2022「BAD CITY」製作委員会

映画『BAD CITY』公式サイト

https://www.badcity2022.com/index.html