今年で開廊16年目を迎えるという、「gallery N」(名古屋市千種区鏡池通3-5-1)。

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シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8−12 アートビル 1F)で開催された、『ギャラリーN映画展』。

そして、去年の秋に開催された、三木瑠都(Rutsu Miki)個展【眺望と陰影】。

ギャラリーN主催のイベントに足を運ぶのは、これが3度目となる。

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1月14日(土)、初日を迎えたのは

宮内由梨 個展【Scar Script】

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国際芸術祭【あいち2022】プレイベント【ARTS CHALLENGE 2022】で若手作家8組の中の1人に選出され、審査員賞を獲得した宮内さん。
長野県生まれの彼女は、京都、沖縄、ロンドンと場所を問わず創作を続け、現在では横浜を拠点に活動している。

【Scar Script】は、宮内由梨さんにとって名古屋での初個展となる。

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【ARTS CHALLENGE 2022】選出作「A Red Life」を彷彿とさせる、ガーゼを貼ったポストカード作品。

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ポストカードの発展形とも言える、ガーゼに草木染めで色付けした層状絵画。

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表層から内面へと表現の幅を広げた、陶芸作品。

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モデルの背に描かれた四線譜の掻き跡があたかも音符のような、シンボリックな写真作品。

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そして、掻き跡のようでも、縫合跡のようでもあるスクリプト(手書き文字)が刻まれた、絵画。

文字通り、宮内さんの皮膚感覚から生まれた表現は、実に多層的な広がりをみせる。

表層から発した感覚は、内面を、そして精神を通り、今回の【Scar Script】ではまさに共通言語を持つに至った。

宮内さんにしか分かりえない痒みが、観客の目を、精神を通して、痛みとして知覚される、唯一無二の鑑賞体験がギャラリーNを満たした。

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1月14日は初日ということで、19時よりオープニングトークが開催された。

トークゲストは、あいち2022プロジェクトマネージャーを務めた、学芸員の鵜尾佳奈さん。
【ARTS CHALLENGE 2022】のキュレーターでもあった鵜尾さんは、言語化が非常に困難な宮内さんの作品世界に、鋭くも温かいメスを入れた。



かくという快感が、痒みという不快感を凌駕する瞬間……
いつか、宮内由梨さんの作品から、そんな感覚を得る時が来るかもしれない。

共通言語が共通認識となった時、人はそれを共感と呼ぶ。

不可逆な時間の中、取り返しのつかぬ人生を送る私たちには必要なのだ……アートという名の、平和をもたらす共通言語が――。

宮内由梨 個展【Scar Script】1月29日(日)まで「gallery N」で開催中。


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