
数多くの名作短編を撮り続け、国内の映画祭を中心にインディーズ映画界では名を知らぬ者はいない、木場明義監督。
6月11日(土)~17日(金)、『サイキッカーZ』『地元ピース! 幻想ドライビング』という2本の長編映画が、シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8−12 アートビル 1F)で日替わり上映される。
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『サイキッカーZ』に初めて触れたのは、いつのことだったろう。
「いつかこの映画を思い出しきっと笑ってしまう賞」を受賞した【MKE映画祭】だったか、はたまたそれ以前の特集上映だったか。
弊サイトを覗いてくださる方にご存知ない向きは少なかろうが、一応おさらいさせていただく。
そもそも『サイキッカーZ』は2016年に制作されたショートムービーで、世界征服を企む魔王と、超能力集団「サイキッカーZ」との対決を描いた。
この『短編版 サイキッカーZ』は大変な評判を呼び、2018年には続編となる『サイキッカーZ 新たなる脅威』が制作された。
今回シネマスコーレで上映されるのは、熱いサイキッカーZ待望論を受けて新たに制作された、『長編版 サイキッカーZ』である。
『サイキッカーZ』(長編版)ストーリー
特殊能力の持ち主たちの集団「サイキッカーZ」は、YouTubeでの地道なPRもあって、世間でも徐々に認知されていた。リーダーである「炎の使い手・アキラ(中山雄介)」らメンバーはインタビューを受けることになり、超能力者たちの生活が明らかになっていく。
そんなある日、アキラやサイキッカーZのメンバーら(吉見茉莉奈、鈴木まゆ、吉田蒼、貴玖代、ほりかわひろき、与古田千晃、タカ海馬)は、次々と襲撃を受ける。
謎の暴漢たち(小林四十、海雲千帆、篠原トオル、安楽涼)もまた、超能力の使い手なのであった――。

「サイキッカーZ」シリーズではお馴染みの面々、皆勤、連出、復活組……
米澤成美、秋田ようこ、木場光勇、小宮凜子、ほりかわひろき、与古田千晃、藤原未砂希、もりとみ舞、石尾恵達……とにかく、見逃し厳禁だ。
また、ニューカマーとして、吉見茉莉奈、鈴木まゆ、吉田蒼、嶋村太一、貴玖代、小島彩乃、美南宏樹らの存在感にも注目してほしい。

何より、主演の中山雄介の演技をたっぷりと堪能できるのが嬉しい。
『短編版』『新たなる脅威』は群像劇(?)だったが、今作は堂々の主役として光り輝き、『彼女の告白ランキング』(上田慎一郎監督)に変わる名刺代わりの作品を手にした感がある。
短編2作ではコメディ要素多めだった『サイキッカーZ』シリーズだが、長編版の本作ではしっかりとしたストーリー性を持った作品に生まれ変わっていることにも注目したい。
謎の集団「ダークネス」の行動原理には、ここ数年私たちが辟易した「自粛警察」を彷彿とさせる。
社会性、風刺性に富む作風も、木場明義監督作品の大きな魅力だ。
また、見落とされがちなところではあるが、ロケ地である河原にも着目したい。
『さよならファンタジー』『スリッパと真夏の月』などもそうだが、木場映画と河川敷には切っても切れない縁がある。
採石場がなければ東映特撮の隆盛はなかった(?)ように、河原がなければ生まれていないイナズマ社映画は数多ある。
『サイキッカーZ』シリーズは、その最たるものだ。
しかも、三密とは程遠い、コロナ(COVID-19)禍には打ってつけのロケーションである。
ちなみに、今作でも「ゴリ」は健在だ。
だが、特筆すべきは他のイナズマ社作品にも共通している、大いなる人間賛歌である。
シナリオに込められているのは、常に「自分らしく生きん」とする木場明義イズムだ。
エンディングの演出が雄弁に語っているので、どうかお見逃しなきよう。
シネマスコーレで6/11(土)、13(月)、15(水)、17(金)と日替わり上映される、長編版『サイキッカーZ』。
多くの心が鷲掴みにされるはずだが、そんな方は是非6/12(日)、14(火)、16(木)に上映される『地元ピース!幻想ドライビング』もご覧あれ。
通底する木場イズムを、まざまざと感じることが出来るはずだ――。

映画『サイキッカーZ』長編版
出演:中山雄介
吉見茉莉奈 鈴木まゆ 吉田蒼
小林四十 海雲千帆 篠原トオル 安楽涼
小島彩乃 美南宏樹 ほりかわひろき 与古田千晃 タカ海馬 朝木ちひろ 千倉里菜 嶋村太一 もりきよ
米澤成美 木場光勇 小宮凜子 秋田ようこ 木村文彦 ゼガ 大丸慎太郎 稲葉凌一 斎藤蒼空 清田美桜 高木美嘉
監督・脚本・編集:木場明義
プロデューサー:タカ海馬
撮影:名倉健郎
助監督:木村文彦 茅嶋直大 もりとみ舞
録音:石橋秀一朗 八木健太 大坪勇太
ヘアメイク:角口肇 原早織 天羽由貴子
音楽:伴正人
スチール:金田一元
アシスタントプロデューサー:アライ ジン
タイトルデザイン:土井翔史
特殊効果・カラーグレーディング:木場明義
車両:木場明義 中山雄介
宣伝美術:木場明義
製作・配給:イナズマ社
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