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昨日のレポートに引き続き、【おおぶ映画祭2022】2日目をレポートする。


3月20日(日)は、セレクト作品が5本が上映された。


※よろしければ、こちらもどうぞ※



『みなさまにだいじなおしらせがございます』(監督:道上寿人/14分)

ショート部門

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女子高生インフルエンサーのルルは、緊急事態宣言中にショッピングしながらLive配信したことで大炎上。謝罪配信を行うが、コメントは誹謗中傷の嵐。母は問いただす。「あなた、一体誰に謝ってるの?」

『MIA』(監督:FOREST Hunting One/13分)

ショート部門

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歳を取り施設で過ごすジュディは、毎日会いに訪れる夫のニックを見て、ふと違和感を感じる。何かを思い出そうとするジュディ。人は忘れてしまったことをどうやって思い出すのか。

『ライフライナーズ』(監督:菅原稜祐/38分)

ショート部門

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ガス代集金員の煙山は急いでいた。アイドルの配信があるのだ。だがガス代滞納者の家を訪れると、水道局員・電力会社員と鉢合わせ。料金を滞納し、誰か1人に払う分のお金しかなかった。集金を終え配信を見ることができるのか?!

舞台挨拶レポート①



『AFTER DREAM』(監督:松本優/48分)

映画の可能性部門

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祭の夜、突如町を襲った大地震。その日青波の最愛の人ハルキは姿を消した。3年後の現在、恋人と生活する青波。二人は青波の故郷に旅立つがそこに失踪したはずのハルキが現れる。ハルキの存在を受け入れた瞬間、物語は再びはじまる。

舞台挨拶レポート②



『メモリードア』(監督:加藤悦生/96分)

映画の可能性部門

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サラリーマンの和也は、“聞き分けのいい子”だ。親の敷くレールに乗り、安定した未来を歩むはずだった… ある日、偶然カフェで働く令子の秘密を目撃し、心が動き出す。和也は様々な人との出会いと経験を重ね、真実の愛に気付く。 上映後、加藤悦生監督、辻しのぶ、小林萌夏が登壇。 辻しのぶ(令子 役)認知症というイメージだけで演じないように心がけました。
 素敵な映画、そして役に出会えたと思っています小林萌夏(梨花 役) 「普通とか普通じゃないとか、差別していないつもりでも、行動に出てしまうことがある。  いくら家族でも完全に理解することはできないけれど、一生懸命心で通じあおうとすることが大事なんだと、この映画を通して私が気付かされました」 加藤悦生 監督 「今作は、認知症だって良いじゃないかという映画です。そこを酌み取っていただけたらと思います」

すべての上映が終わると、この日も恒例の監督たちによるトークセッションが行われた。
【おおぶ映画祭2022】も、いよいよオーラスを迎えた。

トークセッション

テーマ①「表現で大切にしていることは?」
テーマ②「あなたにとって、映画監督とは?もしくは、映画とは?」
テーマ③「コロナ禍だったから出来たこと、プラスに働いたことは?」
テーマ④「映画人、職業病あるある」
テーマ⑤「これからの動き、次作の計画はありますか?」
テーマ⑥「おおぶ映画祭は、どんな印象ですか?」
テーマ⑦「最後に、一言お願いします」

道上寿人

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『みなさまにだいじなおしらせがございます』監督

説教臭くならないことは、意識しています。自分の伝えたいことよりも、まずは楽しんでもらって、その結果として何か持ち帰ってもらうような。気づいたら、何か気付かされてるような作品になれば良いかな、と。ちゃんとエンターテイメントとして楽しんでもらった上に、ちゃんと伝えたいことが乗っかっているということを意識しています。

凄く安っぽい言い方ですけど、映画監督は「ヒーロー」です。子供の時、本当に救ってくれたのが映画だったので、それを作ってる人が格好良くて、憧れでした。今でも、尊敬する映画監督が沢山います。

コロナ禍に限らないかもしれないですけど、これだけ一つのテーマを世界共通で感じたり考えたりすることは、なかなか無いんじゃないかと思ってます。各国が、各県が、まったく同じ課題で悩んでるなんて、意外とそんな世界は無いな、と。ある意味、作品を作る上では、皆が抱えてる背景や文脈が共通だったりするので、逆に刺さる作品作りが出来るのかなと思っています。

作品を観る時、何かもうピュアな気持ちで観れないんだろうなって思います(笑)。映画やドラマを観ても、照明のことが気になったり、撮影事情を気にしたり、だとか……そういう、ちょっと穿った観方でしか観れない、戻れないと感じたりします(笑)。でも、それでもやっぱりそれを乗り越えて、時間も忘れて観てる作品もあるんですよね。

今回の作品は14分くらいの短い作品だったんですけど、他の作品も拝見して40分とか90分あると観ごたえもあったので、もう少し長い尺の、大きい規模の映画も出来ればと思います。自分は今、北海道の札幌市を拠点にしてるんで、愛知県の皆さんにも知っていただけるような作品を出していきたいと思ってます。

会場(もちのきホール)が、めっちゃ広いなと思いました。今まで映画祭は何度か行ったんですけど、こんな広い所で観させていただくことはなかったです。

本日は、ご覧いただきましてありがとうございました。また札幌という遠い所からですけど、皆様に観ていただける作品を本州に持ってこようと思ってますので、よろしくお願いします。

森りょういち

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『MIA』製作総指揮/FOREST Hunting One代表

僕らが作るのは、実写ではなくアニメーションなので、ゼロから何でもかんでも自由に作れちゃいます。何か一つ突出したクオリティよりも、全体のバランスを整えること、完成度を心がけています。例えば、CGアニメーションの勉強してる方なんかの作品を見ててちょっと惜しいなと思うのが、リアルなキャラクターを頑張って作っても、それだけで息切れしてしまって、いざ動画にしたら動きがショボショボってことが多いんです。だったら、キャラクターをシンプルにした方が、まだ観れるものになるんですよね。

一つは、「出会い」だと思います。やっぱり映画は一人じゃ作れない……一人で作る方もいなくはないんでしょうけど、やっぱり多くの方が、知恵を、時間を出し合い、作る。そこでまず出会いがあります。そして、観ていただくお客さんとの出会い、他の作り手さんとの出会い……これは、映画を作らないと出来ないことです。
もう一つ、対照的かもしれないですけど、「暇つぶし」……これは、観る方にとってのことです。昔、映画しかなかった頃は物凄く光る崇高な存在だったと思うんですけど、今、映画、映像の作り手が戦うべき相手が滅茶苦茶増えてるじゃないですか。人々に娯楽として如何に映画を観てもらうか、作り手としてしっかり考えていかなきゃならないと思います。

今回上映していただいた『MIA』に関しては、存在そのものがコロナ禍だったから出来た作品です。幸か不幸かコロナのおかげで決まりそうな案件が延びたり、会社としては良くない訳です……暇になったんですね。それで、何かしよう、と。するんだったら、やりたいことを考えて、アカデミー賞を目指しちゃおうよ、という感じでした。これがコロナもなく滅茶苦茶忙しい状況だったら、多分この発想って生まれてないんだと思います。

制作費とか考えちゃいますね(笑)。特にCGアニメとかだと、エンドロールまで観て、「こんな人数いるんだ、やっぱり日本とは市場が違うな」とか考えちゃいます。

次回作を作るべく、まず会社(FOREST Hunting One)の体制を整えようとしてますね。もっと会社が稼いで、かつ時間も手に入るように、社内で改革を打ち立ててるところです。そこから第二弾、第三弾と、少しずつハリウッドに近付けるように思ってます。

こういう場をやっていただけて、本当にありがたく思います。作って、YouTubeに上げても、そんなに再生される訳でもないですし。作り手がこうして大きなスクリーンで観れるだけでもワクワクしますし、こんなに音の迫力があるんだと驚きましたし。スタッフの方が楽しんでやられてる印象は、他の映画祭とは違うかなと思います。

今日は作品を観ていただいて、ありがとうございます。僕も、遠く離れた……(札幌と)逆の福岡でやっておりますので、もし九州に来られる際は、思い出していただけると良いなと思います。また、勇気を持って連絡していただけると、会社見学もいたしますので、ぜひ仲良くしてください(笑)。これからも頑張ります。ありがとうございました。

菅原稜祐

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『ライフライナーズ』監督

僕は、照明とか、メイクとか、音とか全然わからなくて……バランス感覚が物凄く悪いのを自覚してるので(笑)、自分に出来ることで戦うしかないな、と思っています。映画の先人たちは滅茶苦茶いっぱいいるので、自分が拘れるところで勝負することを、僕は心がけています。

映画監督は、「凄く楽しいことをずっとやってる人」ってイメージです。映画って観るのも凄く楽しいですけど、僕は撮るのも凄く楽しいと思っています。もちろん辛いことも一杯あるんですけど、出来上がったあと観てみると、やっぱり楽しかったなって思えるので。

『ライフライナーズ』は男ばっかりが一つの部屋に集まる作品だったので、とにかく密が怖くて、フェイスシールドをしてマスクを着けた状態で、リハーサルを何回もやったんです。それを取って、仮の映像を作り、さらに新しい仮の映像を作った上で、本番を撮影する……みたいな感じで、何回も何回も繰り返していたんです。コロナだったからこそ、今まで自分が脚本上だと表現できなかったことも試せたと思います。

自分が生きてて、本当に嫌なことがあった時に、泣きながら「あ、でもこれネタになるな」って思います(笑)。彼女に振られても、ボロボロ泣きながら「振られた時の脚本のネタに出来るな」とか、上司に怒られた時も、「この感情って、今まで感じたことなかったな」って日記に書いたりします。

社会派コメディみたいなのを作りたいと思っていて、テーマで認知症を考えてたんですけど……今回、凄いのがあると分かって、どうしようかなってなってます(笑)。

コロナで、映画祭で上映していただけることになっても、直接行ける機会がそもそもなかったので、今回こんな大きなスクリーンで上映していただけて本当に嬉しいです。あと、心温まる作品が多くて、純粋に感動しました。

今日は本当に、来てくださってありがとうございました。これからも、もっともっと面白い作品を作って行けるように精進して、もっともっと菅原という名前が有名になっていくように頑張っていきますので、引き続きよろしくお願いします。

松本 優

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『AFTER DREAM』監督

大学の先生に言われたことでときめいたのは、「カメラが演技しないといけないんだ」という言葉でした。被写体が良く見えるかどうかは、カメラがどうするかで決まる。それで映画が良くなるということで、凄く勇気づけられた言葉です。役者さんが演技してる時、撮ってる自分も演技しようとしています。

映画は、不特定多数の人たちで、一つのイメージを共有できます。これって、素晴らしいことじゃないですか。この細分化されてる時代で、違う職業、違う国という多くの人と同じ物語を共有することって、なかなか無いと思うんですよ。そこでコミュニケーションも生まれることは、映画の凄いところだと思います。

コロナの影響で、ダイナミックなことがしづらくなってるじゃないですか。アウトドアなこともしづらくなってると思うので、室内劇であったり、物語性が強いものが凄く発展する気がするんですね。どこかが無くなる分、どこかがグンと伸びるんじゃないかなと期待しています。

友達とかに恋愛相談されたりすると、その返答に「これで、こうなって、こうなる主人公って、どう?」とか言っちゃいます(笑)。

引き続き、映画を作りたいと思っています。出来るだけ多くの人に観てもらえるような、エンターテイメントを作りたいと思ってます。なので、次回作も観ていただけたらと思います。

おおぶ映画祭が盛り上がれば、映画祭という存在そのものが凄く盛り上がっていくんだろうなと思います。凄い意味合いのある映画祭だと思うので、どんどんこんな映画祭が出来れば良いのに。

ご視聴いただき、ありがとうございました。ここにいる皆さんが後々、「松本の初期の作品『AFTER DREAM』観たんだぜ」って自慢してもらえるように、面白い映画をどんどんこれから作っていけたらなと思っています。これからも、よろしくお願いします。


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映画祭の挨拶で良く聞かれる、
「次回もまた戻ってきます!」
という決り文句。

【おおぶ映画祭】は、そんな台詞を真実に思わせる、不思議な可能性を持っている――。

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