当サイトではすっかりお馴染み、映画パーソナリティー・松岡ひとみさんと、地元密着シネコン・ミッドランドスクエアシネマによるタッグプログラム【松岡ひとみのシネマコネクション】。
今回レポートするのは「vol.8」なのだが、ちょっと何やらいつものシネマコネクションとは様子が違っていた。
ミッドランドスクエアシネマ2(名古屋市中村区名駅4丁目11−27 シンフォニー豊田ビル)のロビーは、まるでコロナ(COVID-19)禍以前を思い起こすような……否、それ以上の熱気で、女性ファンでごった返していた。
てっきりこの喧騒は、折から公開が始まっていた話題のライブフィルム『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM "Record of Memories"』(監督:堤幸彦)に並ぶ列かと思いきや、上映時間を考えるにどうやら違うようだ。
そうか。
今回の「vol.8」で上映される映画は、『黄色い涙』(2007年)。
伝説の漫画家・永島慎二の「黄色い涙シリーズ 若者たち」を原作に、TVドラマ化した銀河テレビ小説「黄色い涙」(脚本:市川森一/1974年)を、嵐の5人を主演に映画化された作品だ。
活動休止からそろそろ1年が経とうとしているが、まったく翳りを見せない嵐の人気の凄さを実感した。
【松岡ひとみのシネマコネクションvol.8】は、映画『黄色い涙』の犬童一心監督をゲストに迎え、今回も素晴らしいトークを聞くことが出来た。
今回の「vol.8」は記念すべき20周年を迎えた名古屋のフィルムコミッション【なごや・ロケーション・ナビ】との共同企画ということで、当時の貴重な写真、映画で実際に使われた美術なども交え、犬童一心監督の珠玉の言葉を引き出すという、大変に素敵なトークショーとなった。
満員札止となった観客席を埋めた女性ファン達も、映画の魅力、作品を覆う空気感に酔いしれたに違いない。
なごや・ロケーション・ナビの全面サポートにより、甦った昭和の街並み。
裏路地に陰を作る、月色の街灯。
祭りの露店を彩る、橙色のカーバイド。
未舗装の道路に踊る、黄土色の砂塵。
四畳一間で米を炊く、アルマイトの鍋。
金は無いが夢はあった、クチナシ色の二級酒。
ちょっとツンとしたような、赤玉パンチのオレンジ色のラベル。
緑なす田畑に霞がかる、黄金色の朝靄。
『黄色い涙』には、まるで阿佐谷のケヤキ並木のような、様々な黄系の色が溢れている。
それは、フィルムだからこそ写る色彩だ。
VTRやデジタルでは写らない、とは言わない。
だが、フィルムなら例外なく色を留めることが出来る。
そして、犬童一心監督をはじめ、撮影の蔦井孝洋氏、照明の疋田ヨシタケ氏ら、全スタッフによる凝りに凝った技術が、黄色のみならず全ての色彩を、フィルム撮影に相応しい最高の状態に引き上げた。
さらに、二宮和也、相葉雅紀、大野智、櫻井翔、松本潤という嵐が一丸となって、名演技を魅せた。
『黄色い涙』は、様々な人々によるプロフェッショナルな技が積み重なり出来上がった、映画のマジックに溢れた傑作となった。
今後は劇場での上映機会も増えそうな、『黄色い涙』。
素敵な5人に会いに、また映画館へいらっしゃいませ――。
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