佐藤二朗といえば、情に厚い三枚目役や、コミカルなアドリブで知られる、映画館やお茶の間の人気者だ。
人は彼のことを、鬼才俳優と呼ぶ。
「鬼才」の通り名が誠にしっくり来る、そんな佐藤二朗を堪能できる映画が公開され、話題になっている。
福田(雄一)組の映画などと違い、一切のコメディ要素を排したその作品は、『はるヲうるひと』。
佐藤二朗が主宰する演劇ユニット【ちからわざ】で絶賛された舞台の映画版である。
『はるヲうるひと』ストーリー
本土との行き来は渡し舟のみという、離島「千鳥嶋」。
島に住む男たちは、原発の誘致を含めた再開発の反対運動に精を出している。
そして、女たちは、島に点在する売春宿で体を売って生計を立てている。
島で生まれ育った真柴三兄妹は、置屋「かげろう」を営んでいる。
長男・哲雄(佐藤二朗)は、すぐキレる上に見境がない凶暴な性格で、置屋を仕切っている。
次男・得太(山田孝之)は、とある事件のトラウマを抱え、哲雄から目の敵にされている。
長女いぶき(仲里依紗)は、島いちばんの美人だが身体が弱く、客も取らずに酒に溺れている。
かげろうでは、峯(坂井真紀)、純子(今藤洋子)、りり(笹野鈴々音)、さつみ(駒林怜)という4人が働いている。
かげろうには、本土からの買春客だけでなく、島の住人(太田善也)、開発のため出張してきたサラリーマン(向井理)ら、様々な客が訪れる。
遊女たちは、哲雄を憎み、得太を蔑み、いぶきを妬みつつ、今日も客を取るのだった――。
原作・脚本・監督・出演と、なんと4役をこなす佐藤二朗。
構想5年という映画化への情熱に、豪華キャストが応えた。
舞台版から引き続き出演するのは、今藤洋子(『すばらしき世界』(21)『朝が来る』(20)など)、笹野鈴々音(『樹海村』(21)『血を吸う粘土2』(19)など)、太田善也(『memo』(佐藤二朗監督/08)など)、大高洋夫(『いぬやしき』(17)『くも漫。』(16)など)、兎本有紀(『ミュージアム』(16)『君がいなくちゃダメなんだ』(15)など)ら。
そして、映画版オリジナルキャストには、主演の山田孝之(『ステップ』(20) 『新解釈・三國志』(20)など)はじめ、仲里依紗(『トロールズ ミュージック★パワー』(20)『モテキ』(11)など)、坂井真紀(『燃えよ剣』(21)『惡の華』(19)など)、向井理(『ザ・ファブル』(19)『RANMARU 神の舌を持つ男』(16)など)らが集まった。
そして、オーディションを見事に勝ち抜いた駒林怜が、ほぼ初という商業作での演技で輝きを放っている。
6月12日(土)、センチュリーシネマ(名古屋市中区栄3−29−1)で行われた、佐藤二朗監督の舞台挨拶をレポートする。
佐藤二朗監督は、愛知県出身。
しかも、『はるヲうるひと』は、全編を南知多町でロケーション撮影した映画である。
佐藤監督にとっても、映画『はるヲうるひと』にとっても、今回の舞台挨拶は凱旋公演ということになる。
新型コロナウイルス(COVID-19)による緊急事態宣言を受け感染症対策を徹底中の劇場には、大勢の映画ファンが駆けつけた。
司会進行は、飯塚達介プロデューサーが務めた。
「口幅ったいんですけれど……」と照れつつ、「何かを感じていただけると思って作った」と佐藤二朗監督は言った。
それはきっと、魂に他ならないと思った。
泣くも、笑うも、
憎むも、許すも、
心を、体を動かすものは、魂に他ならないと――。
映画『はるヲうるひと』
2020年6月4日(金)〜
テアトル新宿
センチュリーシネマ
ほか全国公開中
山田孝之
仲里依紗 今藤洋子 笹野鈴々音 駒林怜 太田善也
向井理 坂井真紀 佐藤二朗
原作・脚本・監督:佐藤二朗
制作プロダクション:ラインバック
企画・配給:AMGエンタテインメント
配給協力:REGENTS
製作:AMGエンタテインメント/ハピネット
© 2020「はるヲうるひと」製作委員会
『はるヲうるひと』公式サイト
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さて、動画を観てくださった方は、佐藤二朗監督のトークを充分に堪能してくださったはずだ。
ここから下は、是非とも『はるヲうるひと』鑑賞済みの方のみに読んでいただきたい。
上映後の舞台挨拶ということで…
公開後一週間が経過しているので……
監督の出身地で、しかもロケ地のよしみで………
佐藤二朗監督の舞台挨拶は、映画のネタバレを含む内容も、存分に語られたのである。
以下の動画は、佐藤監督のトークの中でも、特にネタバレ要素の強い箇所を集めた特別編だ。
致命的なネタバレは無いものの、言うまでもないことだが『はるヲうるひと』未鑑賞の映画ファンにとっては猛毒なので、ブラウザバックを乞う。
『はるヲうるひと』を観了された方、とても興味深いトークが聴けるので、是非ともご覧あれ。
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