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ロバート・デ・ニーロ
トミー・リー・ジョーンズ
モーガン・フリーマン

6月4日(金)から全国ロードショーとなる『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』

アカデミー賞俳優が揃い踏みする新作に、ワクワクしながら公開を心待ちにしている映画ファンも多いだろう。
だが、実は『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』は、出演者が豪華なだけの映画ではない。

ジョージ・ギャロ監督が学生時代に偶然観た『The Comeback Trail』という未完の16mmフィルム作品をリメイクしたという本作は、映画愛が溢れ、パロディ要素が天粉盛の、超絶娯楽大作に仕上がっているのだ。

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『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』ストーリー

映画プロデューサーのマックス(ロバート・デ・ニーロ)は、大ベテランだがB級作品ばかり製作している。
新作『KILLER NUNS』はボンデージルックのシスター達が悪人を血祭りにあげる内容で、敬虔なクリスチャンから大バッシングを受けていた。

この様子に、スポンサーであるギャングのレジー(モーガン・フリーマン)は激怒。
72時間以内に出資金の35万ドルを返さないと、マックスは殺されることになってしまう。

マックスは、かつての弟子である売れっ子プロデューサー・ジェイムズ(エミール・ハーシュ)を訪ねた。
金の無心には応じないジェイムズだが、マックスが温めていた映画製作の権利を買いたいと申し出る。

虎の子であるシナリオを売り渡したくないマックスを、甥でビジネスパートナーのウォルター(ザック・ブラフ)は説得し、120万ドルで契約を結ばせる。
しかし、主人公役のアクションスター・フランク(パトリック・マルドゥーン)の死亡事故が起き、撮影は中止となる。

莫大な保険金が下りる様子を偶然目の当たりにしたマックスは、「これだ!」と閃く。
マックスはレジーに映画製作を騙った詐欺を持ち掛け、まんまと更に100万ドルの借金をせしめる。

そして、マックスは一軒の老人ホームを訪ねる。
そこでは今まさに、かつて西部劇の大スターだったデューク・モンタナ(トミー・リー・ジョーンズ)が、拳銃自殺しようとしていた――。

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物語の舞台は、1970年代のハリウッド。
ロバート・デ・ニーロが扮するマックスにより、数々の「映画製作あるある」「ハリウッド作品あるある」が再現される。

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その上、老ギャング・レジーは映画マニアという設定。
数々の名作が、モーガン・フリーマンの口をついて出るという演出も堪らない。

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そして、トミー・リー・ジョーンズが素晴らしい。
親日家で有名なトミーは、日本の作品で目にすることも多いため忘れがち(失礼!)だが、本当に傑出した俳優なのだと再認識させられる。

ジョージ・ギャロ監督がノリノリで演出を付けた撮影現場を想像するだけで、ついつい口元が綻んでしまう。
「ルバートみたいな感じで……」
「バケット・リストを読むように……」
「ブリッグス登場シーンの雰囲気で……」
なんて言っていたのではないか……妄想は膨らむばかりだ。

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3人の強烈な個性を目の前にしても尚光る、ザック・ブラフ、エミール・ハーシュにも注目してほしい。
また、ケイト・カッツマンの魅力も堪能できる。

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散々褒めちぎった『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』だが、このようなサービス精神、パスティーシュ要素に溢れた作品は、時に敬遠されてしまう風潮があることもまた事実だ。

私たちは鑑賞作品の中にパロディを見つけると、往々にして元ネタを掘り下げたくなる。
そして、全てのオマージュを拾いきれていないのではないかと、不安に苛まれる。

だが、細部にばかり目を奪われて、肝心の作品鑑賞が疎かになっては目も当てられない。
枝葉を気にするあまり幹を見ないのは、本末転倒以外の何物でもないだろう。

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抑すべての映画作家は、過去作に何らかの影響を受けている。
漏れなく汲み取ることなど、出来はしない。

確かに、例えば『テッド』(2013年)は、事前に『フラッシュ・ゴードン』(1981年)を観ているに越したことはないだろう。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』(2017年)なら、TVシリーズ「ナイトライダー」を観ているのが理想だろう。

だが、その順番が入れ替わったところで、作品の魅力が色褪せることはない。
魅力的な映画に巡りあい、その元ネタを漁ることは、至極真っ当な姿勢だ。

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『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』でも、数多の名作が言及される。
『ガンガ・ディン』(1939年)、『死の接吻』(1947年)、『サンセット大通り』(1950年)、『黒い罠』(1958年)、『サイコ』(1960年)、『明日に向かって撃て!』(1969年)……
全てを網羅するのは、かなりの難題だ。

台詞には作品名だけでなく映画人も溢れ、トロマ・エンターテインメント映画やエドワード・ウッド Jr.(エド・ウッド)作品を彷彿とさせる演出も数限りなく登場する。
これはもう、全てをカバーするのは不可能だ。

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だから、何の気兼ねも蟠りもなく、只々『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』を楽しむのが正解だ。
そして、気になることがあったなら、後追っ掛けで調べてみると良い。

「『絞殺魔』なんて映画、よく知ってるね!」
「『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』で知って、観直したんだ」
今後、そんな会話が映画ファンの間で交わされることになるだろう。

『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』は、それほど面白く、力のある映画なのだから――。

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映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』

6月4日(金)〜
グランドシネマサンシャイン
ミッドランドスクエア シネマ
ほか 全国ロードショー!

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『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』公式サイト