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『カミハテ商店』(12/山本起也監督)『嵐電』(19/鈴木卓爾監督)など、エンターテインメント、アートの枠に留まらない良作を次々と世に出し続ける、京都芸術大学(旧名称:京都造形芸術大学)映画学科による、プロのスタッフと学生による映画製作プロジェクト【北白川派】。


その第七弾作品は、熊本県 天草市を舞台にした『のさりの島』。


島根県隠岐郡海士町で撮影された『カミハテ商店』の山本起也監督が、メガホンを取った。



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『のさりの島』ストーリー

オレオレ詐欺で旅費を稼ぎつつ、西へ西へと逃避行を続ける若い男(藤原季節)は、熊本・天草にたどり着く。

「銀天街」という寂れた商店街の看板の中から「山西楽器店」の電話番号を見つけると、手慣れた素振りでスマホを操る。

電話に出た艶子(原知佐子)に、男は言う。

「もしもしばあちゃん、俺だけど……」


天草のコミュニティFM「みつばちラジオ」でパーソナリティを務める堀川清ら(杉原亜実)は、ゆかり(中田茉奈実)、村本(宮本伊織)、陽介(西野光)ら仲間たちと、商店街の映画館で上映会を企画しているが、なかなか肝心の映像が集まらない。

銀天街の昔の様子を写した8mmフィルム、写真を探す清らは、ある日山西楽器店を訪ねる。


実家が天草でイルカウォッチングを営む久美子(小倉綾乃)は、夜になるとストリートでブルースハープを演奏している。

久美子のブルースハープが奏でる音色は、いつしか銀天街の風景と同化する――。


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主人公・山西艶子を演じたのは、原知佐子。

 1970年代に「赤いシリーズ」、そして何より『あさき夢みし』(1974年)『D坂の殺人事件』(1998年)『姑獲鳥の夏』(2005年)など夫である故・実相寺昭雄監督作品の常連として名高い。

2020年1月19日に上顎がんで逝去した原は、『のさりの島』が遺作となった。


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物語のアウトサイダーであり、もう一人の主人公には、藤原季節。

『止められるか、俺たちを』(2018年/白石和彌監督)『his』(2020年/今泉力哉監督)『佐々木、イン、マイマイン』(2020年/内山拓也監督)『くれなずめ』(2021年/松居大悟監督)など、次々と良作に出演している藤原は、今作でも繊細な演技で謎の多い若い男を表現している。

徐々に変化していく艶子との掛け合いは、必見だ。


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強力に脇を固めるのは、柄本明、吉澤健、野呂圭介、水上竜士、外波山文明ら。

シャッター商店街である銀天街に、天草に根ざす人々の日々の生活を、ベテラン俳優たちはこの上ない存在感でスクリーンに映し出す。


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【北白川派】映画で毎回楽しみなのは、プロの俳優・スタッフに囲まれて輝きを放つ、京都芸術大学の学生キャスト達である。

『のさりの島』では、杉原亜実、中田茉奈実、宮本伊織、西野光の4人を覚えてほしい。


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そして、もう一人のフレッシャー、小倉綾乃にも心を打たれるはずだ。

演技だけでなく、ブルースハープの演奏に度肝を抜かれると良い。


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今回、山本起也監督にお話を聞く機会に恵まれた。

単独インタビューを取ることが出来たので、動画で紹介する。



インタビューにもあったが、天草市が出身の小山薫堂プロデューサーによってタイトルを命名された『のさりの島』。

“のさり”とは、「いいこともそうでないことも、自分の今ある全ての境遇は、天からの授かりものとして否定せずに受け入れる」という天草弁だという。

新型コロナウイルス(COVID-19)による災禍の真っ只中を生きる私たちにとって、今いちばん必要な言葉かもしれない。


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ロケ地である天草市、本渡第一映劇で5月1日(土)より先行上映が始まった『のさりの島』は、東京 ユーロスペースでは5月29日(土)から公開予定となっている。


東海地方では、


愛知 名演小劇場 6月19日(土)~

静岡 静岡シネ・ギャラリー 7月2日(金)~

三重 進富座 7月17日(土)~

愛知 刈谷日劇 7月23日(金)~

静岡 シネマイーラ 7月23日(金)~


という公開スケジュールだ。


コロナ禍でも、映画館は万全の感染防止対策を敷いた上で、素晴らしい映画を上映し続けている。


あなたも劇場で、

「のさってきゃあ!」


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映画『のさりの島』

藤原季節 原知佐子

杉原亜実 中田茉奈実 宮本伊織 西野光 

小倉綾乃 酒井洋輔 kento fukaya 水上竜士 野呂圭介

外波山文明 吉澤健 柄本明


プロデューサー:小山薫堂 

監督・脚本:山本起也


撮影:鈴木一博 照明:守利賢一 録音:吉田憲義 美術:丸山裕司 装飾:嵩村裕司

編集:鈴木歓 スタイリスト:浜井貴子 衣裳:藤林さくら ヘアメイク:近藤美香

VFX:西尾健太郎 タイトル:酒井洋輔 グレーディング:関谷和久

ラインプロデューサー:大日方教史 ロケーションプロデューサー:小山 真一

キャスティング:小林良二 監督補:毛利安孝 制作担当:後藤聡

音楽:谷川賢作 小倉綾乃 藤本一馬


製作/配給:北白川派 製作協力:熊本県天草市 京都芸術大学

宣伝協力:天草ケーブルネットワーク株式会社

協賛:天草信用金庫 ホテルアレグリアガーデンズ天草

後援:JCBA九州コミュニティ放送協議会


2020年/ DCP/5.1ch/129分/ビスタサイズ/日本


2021/5/29(土)より ユーロスペース

2021/6/19(土)より 名演小劇場

ほか 全国順次公開


天草、熊本にて5月先行公開

         

©北白川派


『のさりの島』公式サイト