東日本大震災の直後に立ち上がった「陸前高田災害FM」は、徹底的に地元の人々に寄り添うコミュニティFMだ。
市内に住む人々を取材し、復興の経過をレポートし、お祭りの現場から生放送をする。
そして、毎月11日には、黙祷放送を行っている。
番組のパーソナリティを務めた阿部裕美さんの日々を丹念に追った珠玉のドキュメンタリー映画『空に聞く』が、名古屋シネマテーク(名古屋市千種区今池1丁目6−13 スタービル 2F)で公開初日を迎えた。
監督・撮影・編集を務めたのは、小森はるか監督。
ボランティアとして訪れたのを切っ掛けに東北に移り住んだ、映像作家だ。
『the place named』(2012年/36分)、『息の跡』(2016年/93分)と自身の映画が掛かっている名古屋シネマテークの公開初日、小森はるか監督は舞台挨拶に立った。
舞台挨拶の後はロビーでサイン会が行われ、観客は密を避けつつ、思い思いに感想を届けていた。
小森はるか監督の映画には、報道ドキュメンタリーには無い「作家性」が宿る。
いつかまた、『the place named』のような劇映画も観られるだろうか……そんな妄想も、膨らんでくる。
次回作『二重のまち/交代地のうたを編む』も、本当に楽しみだ。
小森はるか監督の映画は、過去を慈しみ、今を丹念に紡ぎ、未来に目を向ける。
それは、「映画」という総合表現の本質なのではないだろうか……そんなことに、気付く――。
映画『空に聞く』
全国順次公開中
監督・撮影・編集:小森はるか
撮影・編集・録音・整音:福原悠介
特別協力:瀬尾夏美
企画:愛知芸術文化センター
制作:愛知県美術館
エグゼクティブ・プロデューサー:越後谷卓司
配給:東風
2018年/日本/73分/DCP
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