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三輪神社(名古屋市中区大須3-9-32)を訪ねた。

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神社の由来によると、元亀年間(1570~1572)の建立で、清浄寺(名古屋市中区大須4-1-32)あたりに位置した小林城城主・牧若狭守長清(まき わかさのかみ ながきよ/織田家家臣。信長の妹婿にあたる)が、故郷の大和三輪山(奈良県桜井市)を偲び、大物主神(大国主神・大黒天)を祀ったものとか。
牧長清は永禄13(1570)年2月没とされている(永禄13年4月に元亀へ改元)ので、三輪神社の創建は長清の没後なのかもしれない。

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鳥居は、明神造りの両脇に鳥居をもつ、珍しい「三輪鳥居」。
8の字くぐり(通称「三輪くぐり」)で入れば、御利益は3倍だとか。

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御祭神は、大物主神。
尾張徳川家の庇護も篤く、明治時代には十六代藩主・義宣公が合祀されている。

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宝物殿。

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拝殿。
切妻造りの御屋根が美しい。
 
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昨年、御社創建450年記念事業として、本殿、拝殿、宝物殿の御屋根が63年ぶりに葺き替えられた。

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ちなみに、葺き替えられたばかりの11月は、こんなに光り輝いていた。
  
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末社は、白龍社、福光稲荷社、幸宮社(秋葉社、天王社、猿田彦社を合祀)がある。

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主祭・大国主大神の「因幡の白兎」の逸話に因み、三輪神社ではウサギが神様の御使いとして尊ばれている。

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境内には、そこかしこにウサギがいる。

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絵馬掛所も、掛けられるのは絵馬ならぬ「絵兎」。

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寛文8(1668)年尾張2代藩主・徳川光友が、神社境域に蓮華王院にある三十三間堂の長廊に似せた弓道場を造らせた。
尾張藩には、寛文2(1662)年に三十三間堂(距離120m)において一昼夜(24時間)で6666本もの矢を通した、星野勘左衛門という弓の名人がいた。
勘左衛門は、光友公が新設した弓道場で修練したこともあり、寛文9(1669)年には通し矢8000本を達成し、其の名を遺すことになる。
この弓道場が現在の「矢場町」という地名の由来で、三輪神社は今でも弓道、アーチェリー、射撃の競技者にとって聖地となっている。

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さて、拝殿の東にある御神木の「九寿の木」(楠)は、祭神が縁結びで名高い大物主神様であることから、『縁結びの木』と呼ばれている。
樹齢推定450年というから三輪神社の歴史と共にある御霊木で、定期的に剪定が行われる。

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今月、縁結びの木の剪定作業を行ったところ、遥か上方の枝にカラスの巣が見つかった。

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神職の方にお話を聞くと、卵があったとのことで、巣立ちを見守ることにしたそうだ。
よく見ると、親ガラスの尾羽が確認できる。

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ずっと様子を見ていると、卵を抱いていたカラスが姿を見せた。
下で見上げている記者を警戒したのだろう……申し訳ないことをした。

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シルエットから察するに、どうやらハシブトガラスと思われる。
カラスは抱卵の段階からつがいで子育てするそうなので、雄か雌かは分からない。


「剪定の最中、本当に物凄く揺らされてたんですが……親鳥は、ずっと巣から動かないんです!人間なら、逃げ出すかもしれないですね」

宮司の春さんは、そんな風に笑った。

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三輪神社は、美しくて可愛いアーティスティックな御朱印でも有名だ。

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新型コロナウイルス(COVID-19)の平癒を願い、こんな御朱印も。

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また、御朱印を拝受すると頂ける挟み紙も、今は疫病退散にご利益があるアマビエのデザインとなっている。

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「縁結びのカラス」に因んで、こんな御朱印も。
そう、カラスが温めている卵は、4つなんだとか。

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とは言え、今は緊急事態宣言の真っ只中。

いつもの混雑からは程遠い三輪神社だが、三密を避けて神社を訪れることが困難な方も多いだろう。
そんな方のために、神社では御朱印の郵送対応を行っているので、公式ホームページやTwitter(@miwajinnjya)をご確認あれ。

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もう一つ、ご注意を……カラスは雛が孵る頃、最も攻撃的になる。
親カラスが甲斐甲斐しく子カラスに餌を運ぶ様子は微笑ましいが、あまり近付かないようにしたい。

そして、雛鳥が巣立つ頃には、現在の災禍が収束に向かっていることを祈らずにはいられない――。

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