※新型コロナウイルスの影響により、3/14、15に開催予定の【おおぶ映画祭 2020】は、6月6日(土)7日(日)に延期となりました※

今年で3回目の開催となる【大府ショートフィルムフェスティバル】は、【おおぶ映画祭 2020】として生まれ変わった。

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3月14日(土)15日(日)に開かれる本祭に先駆け、【プレ上映会】が愛三文化会館(大府市明成町1丁目)で行われた。

2月15日(土)に開催された【プレ上映会 part2】は【part1】(1月26日)に劣らぬ盛況ぶりで、【おおぶ映画祭】本祭への期待の大きさを窺わせた。

今回の【part2】、非常にチャレンジングな企画であったにも拘らず満員の観客を集めたことは特筆して良い。
チャレンジングなのは、特に2点。
まず、【part1】と違い入場無料ではなかった(500円)こと。
そして何より、上映作品が問題作揃いだったこと。

『repeat in the room』(監督:長谷川汐海/30分)

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長谷川汐海監督 本日はご来場いただきありがとうございます。大学の卒業制作として作った映画です。映画はカットとかシーンとかバラバラのものを繋いで一つのものを作るので、その中で時間とか空間を重ねたり、超えたりすることが出来るのではないかと思って、制作しました。大学で映画を勉強してきて、映画のこういうところが面白くて、私は他の表現でなく映画を選ぶんだと思います。

辻卓馬(映画祭プロデューサー) 時計が逆転するシーンもありましたよね。

長谷川監督 映画を観ている時って、時計が故意に写らないと時間を深く意識しないと思うんです、「どれくらい時間が経ってるのか?」って。(劇中の)最後の日は、リピートを29分から30分までの1分間の間に閉じ込めてしまいたかったので、そんなことが出来るのも映画の面白さではないかと思っております。

辻 この映画は何回も観てるんですけど、未だに新しく気付かされることがあります。

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星能豊(主演) 本日はお越しいただき、ありがとうございます。脚本をもらって台詞を覚えてて、初めは「少し難しいな」と思うところもあったんですけど、撮影をしながら、また撮影前に僕が住んでる金沢にわざわざ名古屋から会いに来てくれて話をしたり、そういうディスカッションは重ねてました。同じように進むはずの時間を、映画を使ってこれだけ面白い表現が出来るのは、出来上がったものを観て凄く面白かったです。出演して改めて、映画の表現、可能性を面白いと思いました。皆、生まれるのが先とか後とか関係なく、今動いてる時間は同じな訳で、その中で映画体験を共有できるということで、僕も一緒に観させていただきました。

辻 この映画は、今週(2/11)シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町)で【星能豊 特集上映】でも上映されています。

星能 でも、尺が……

辻 短かったですよね?

長谷川監督 最初作った時は38分だったんですけど、火曜日(2/11)から30分バージョンになっております。

辻 まさに、時間に遊ばれてましたね。

星能 前に比べて、音の入り方も含めて観やすくなってましたね。

辻 この映画は色々な映画祭でも評価されてまして、有名な方でいうと俳優さんが……

長谷川監督 ……はい。俳優の齊藤工さんに観ていただく機会がありまして、気に入っていただき、「映画秘宝」という雑誌の齊藤工さんの連載で褒めていただきました。凄い、夢のようです。

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辻 大府での映画祭は3回目なんですけど、作品を募集すると関東からの応募が多いんです。それが地場にいながらもどかしいと思っていて……愛知県とか岐阜県、三重県の監督さん達にも出てもらいたいなって。その中で、長谷川さんですよ。

長谷川監督 この映画が完成したのは去年の1月なのでちょうど1年くらいなんですけど、2019年中は東海圏での上映はほとんど無かったです。やっと今年になって、この辺でも上映できてます。

辻 そもそも私たち3人が仲良く喋ってるというのも、映画祭がなかったらありえなかったんですよね。昨年の【大府ショートフィルムフェスティバル】で星能さんと初めてお会いして、ある監督を介して長谷川さんの存在も知って。監督の名前は、何でしたっけ?

長谷川監督 永岡俊幸監督です。

辻 映画は人を繋ぐんですよね。実は我々3人は、なんと永岡監督が島根県で撮った『クレマチスの窓辺』という映画に全員関わっているんです。


長谷川監督 辻さんはプロデューサーで、私は助監督、星能さんは出演されています。

辻 『クレマチスの窓辺』も、地域と映画を考えた作品です。実は【おおぶ映画祭】3月15日(日)にプレミア上映するので、是非ご覧いただきたいと思います。出演してる役者さんも若手ぞろいのヴァカンス映画で、注目株の方もいらっしゃいます。実はここで、特別ゲストとして永岡俊幸監督をお呼びします。彼が来るのを知ったのは、朝9時という(笑)。

星能 危ない……「ただの酒飲みだ」って言おうと思ってたんで(笑)。

永岡俊幸監督 意外と辻さん溜めるな、って(笑)……

辻 どこで出るか分からなくて、何回か出そうになってるのを見てました(笑)。

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永岡監督 僕は去年【第2回 大府ショートフィルムフェスティバル】で『オーロラ・グローリー』を上映していただいて、そのご縁で星能さんとお会いできました。そんな星能さんが出られてるということで、長谷川さんの卒業制作『repeat in the room』を観させていただいて。そんなご縁で、去年の秋に地元・島根県で『クレマチスの窓辺』という作品を、星能さん出演、長谷川さん助監督、辻さんプロデューサーでやらせていただきました。映画は本当に人を繋いでくれてるんだと、改めて思いました。『repeat in the room』は、30分バージョンの方が良いんじゃないかと思いました。

長谷川監督 ありがとうございます。25分を目指しておりまして、ちょっと時間の都合で編集できなかった部分を今後編集して、更に短くしていこうと思っております。また是非、別の作品として観ていただけたらと思っております。

永岡監督 告知というものが得意じゃない……と言うか、壇上があんまり得意じゃないので……済みません(笑)。

星能 こんな感じの方ですが、映画は素晴らしいです。是非観ていただきたいと思います。

永岡監督 『クレマチスの窓辺』は、星能さんが出演されています。長谷川さんも参加されてて、『repeat in the room』のような美術が観れます。それは今日観に来てくださった方にしか出来ない観方だと思いますので、【おおぶ映画祭】3月15日『クレマチスの窓辺』、是非観に来てください。

『國の狗』(監督:小山亮太/22分)

『平らな和』(監督:小山亮太/40分)


辻 まず『國の狗』からお話しいただきたいと思うんですが、まあ強烈でした。

小山亮太監督 皆さんどういった気持ちで観てたのか、聞きたいです。後ろ姿だけ見てると、皆じっとしてましたもんね(笑)。飽くまでフィクション、僕としてはブラックコメディとして観ていただいて全然良いんです……「こち亀」みたいな。別に、警察に思いを寄せた訳でもないです。単に、食べ物を粗末にしてる、隠し撮りしてTwitterにあげちゃう、そんなのが嫌いなんです。そんな人をぶん殴りたいなと思ってるけど出来ないから、「高田」にやらせたんです(笑)。警官の高田は僕で、万引きGメンの理論も僕の考えです。交通の取り締まりなんか、もっと分かりやすい所でやれば皆守るのになと思います。覆面パトカーなんか、覆面を被る意味が分からないんですよね。これを観て「不快に思う」意見と、「清々しかったよ」って言う人と、結構分かれますね。冷たい言い方をすると……僕の理論ですけど、割りと真面目にやってる人ほど碌な死に方をしない方が多い気がして。僕が勝手に思ってる摂理なんですけど、良い人ほどツイてないですよね(笑)。「本当はダメだけど、分かる」っていうのを狙ってる気はします。「押しちゃダメだよ」ってボタンは、押したくなるじゃないですか。僕は学生の時、いつも火災報知機との戦いでしたもん(笑)。

辻 あのプレート割るかどうかで、人生が変わりますもんね(笑)。『平らな和』も、とても皮肉な話でした。

小山監督 そうですね……あれはちょっと好き勝手やりすぎましたね(笑)。やりたいことを詰め込みました。

辻 私たちは狂気と紙一重のところに生きてる感じがしました。

小山監督 まさしく、そういうことです。これも僕の勝手な摂理なんですけど、平和と危険は表裏一体というか。平和と言われてる日本だけど、実は色々起きてるんですよ。そんなことを面白おかしく描けたらと思ったんです。コメディとバイオレンス、どっちを撮ろうかと思ってて、「どっちもやるか」って感じで(場内笑)。大丈夫ですか、皆さん(笑)?でも、こんなに観に来ていただいて、嬉しいですね。

辻 そうなんですよ。大府という町で、こういうかなりチャレンジングな作品は観れないんです。

小山監督 僕も、あんまり映画祭に呼ばれないんで(場内笑)。作品がこれなので(笑)、やってくれた勇気に感謝します。

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辻 小山さんが仰る「僕の摂理」じゃないんですけど、映画ってそれで良いと思うんです。誰に気を遣って作るのか、と。

小山監督 僕は、皆が笑ってくれる映画が撮りたいんですけどね(場内笑)。老若男女が(笑)。

辻 (笑)。今日は、下は中学生から観てますからね。

小山監督 本当ですか!?あの……親に言わないでね(笑)。

辻 小山さんは、どうして映画を撮ろうと思ったんですか?

小山監督 元々、何か物を作りたいっていうのはあったんですよ。24~5歳くらいまで建築の仕事をしてたんですけど、「ちょっと、これじゃねぇな」ってなって。昔から映画ばっかし観てたし、業界にも興味はあったんです。芸人になりたいと思ってたくらいお笑いも好きだし、映画も好きだったんです。子どもを養いつつも自分のやりたいことをやろうと映像学校に行ったのが、映画を撮る切っ掛けですかね。僕は本業で、映画やドラマの助監督をやってるんです。ちゃんとしたやつもやれますからね、僕は(場内笑)。おかしな人じゃないんで。

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辻 「まともか?」って言ったら、まともですか?

小山監督 僕は、真面目ですよ(笑)!僕の作品を上映してくれるディレクターとか、ネット配信の局の方とか、メチャクチャ気を遣うんですよ「こいつ、やべぇ奴なんじゃないのか?」って。「こういう形で上映させていただくのは、よろしかったでしょうか?」みたいな。僕は、「全然大丈夫ですよ」「OK、OKっす」って(笑)。

辻 でも、今回もTwitterのDM数回のやり取りで快諾いただき、わざわざ大府まで来てくださり、人間性も良くてお話も面白く、その上表現が素晴らしくて、本当に学ばせていただきました。

小山監督 ありがとうございます。女の方なら、抱きしめたいですね。

辻 いや、好きな人が女性とは限らないじゃないですか。

小山監督 おっと、そういう作品が控えてるんですね?
 

『老ナルキソス』(監督:東海林毅/22分)


東海林毅監督 皆さん今日は最後まで観ていただいて、ありがとうございました。

辻 今日は4本全てチャレンジングな内容で、最後に『老ナルキソス』ということで。

東海林監督 そうですね。正直、冒頭のシーンの時点で撥ねられる映画祭も無くはないですね。『老ナルキソス』は今回で55ヶ所目の上映になります。2017年の作品で、日本を含めて8ヶ国で上映していただいて、それなりに評価も頂いております。

辻 各国で、どういうリアクションなんですか?

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東海林監督 映画の鑑賞の仕方でいうと、実は一番盛り上がった映画祭は、まず中国の上海、それからアメリカですね、ホノルルでやったんですけど。この2ヶ所は、ちょっとこちらが引くくらいの盛り上がりでしたね(笑)。貪欲で、感動がストレートでした。上海だと、パドルを咥えた裸のお爺ちゃんが映った瞬間に、爆笑が起きたんです。「だいぶ早い」と思ったんですけど(笑)、この後ひょっとしたらシリアスになるかも分かんないのに。「吊られて死にそうになった」って言うシーンも、ちゃんと笑いのリアクションを頂きました。あそこは分かりにくいですけど、僕的にはギャグなんです(笑)。「せっかく若者が自分に擦り寄ってきてくれたのに、言わなくて良いこと言う年寄りいるわ」っていう。

辻 日本のお客さんのリアクションは、どうですか?

東海林監督 日本のお客さんって、意外と自分の頭で一回考えてから感情を出してるかな、と……ワンクッション入ってるような、いきなり条件反射的に「わっ!」っていうのは少ない感じがします。アメリカは、エンドクレジットで黒にストンと落ちた瞬間に、指笛や拍手が起きて、もう音楽が聞こえないんです。アメリカ映画でそういうリアクションを観ることはあるんですが、本当にやるんだと思って(笑)。多分「自分が今凄く楽しいんだ」ってことを、何かで表さないと気が済まない人たちなんだという気がします。あと海外で必ず聞かれるのが、「三島由紀夫からの影響はどうなんだ?」ってことなんですよね。日本で同性愛を描いた作品という意味で。でも、僕にとっては『ベニスに死す』の(ルキノ・)ヴィスコンティにしても、三島にしても、耽美的すぎるんです。一世代前の同性愛をテーマに描いてる映画というと、僕はどっかしら凄く耽美的に描きすぎてる気がするんです。それは現代的ではないと思っているので、それでちょっと雑然とした、気負わない映画を目指しました。僕としてはそれで良い、そんなに美しく描きすぎることもない、と。

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辻 ところで、こちらの絵本は?

東海林監督 劇中で山崎老人が書いたという設定の「みのむしもんた」を、実際に作ってしまいまして。24ページくらいの、割りと力作なんです。絵は、近藤康平くんという画家さんが描いてくれまして、僕は凄く好きです。

辻 東海林さんは、3月14日(土)の【おおぶ映画祭】でも作品が2本上映されます。


東海林監督 『ホモソーシャルダンス』はダンス劇で、11分という短編です。台詞は一切無くて、寸劇とコンテンポラリーダンスだけでテーマを表現してる作品です。僕は、日本に限らず現代は根本的に男性中心の社会だと思ってるんですけど、それは非常に問題があると思っています。そんな問題提起の意味を込めて、ドラマではなくダンスで表現した作品になります。

辻 問題提起ですね。

東海林監督 【おおぶ映画祭】本祭のテーマなんですよね?

辻 まさに、そうなんですよ。もう、テーマにドンピシャでした。もう1本は?

東海林監督 こちらはドラマで、『帰り道』といいます。戦時中1944年という敗戦の前年で学徒出陣も始まっている頃、徴兵検査を受けた男の子3人の検査場から家までの帰り道の話で、こちらも10分間の短い作品です。はっきりは謳わないんですが、『帰り道』もセクシャル・マイノリティ、同性愛者を主人公にしています。その時代も比率的には今と変わらずいたはずですが、いないことにされてしまっている人たちは、誰かが可視化してあげないといけないと思うんです。

辻 東海林さんはそんな風に問題に光を当てる作品を撮られるので、【おおぶ映画祭】としては諸手を挙げて「ありがとうございます!」って感じです。

東海林監督 そういう場を作っていただけることが、本当に嬉しいですね。今日は本当にありがとうございました。来月またここに戻ってきますので、皆さんよろしくお願いします。

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【おおぶ映画祭 2020 プレ上映会 part2】の上映作品は以上4作品であったが、舞台挨拶はもう1本、【おおぶ映画祭 2020】本祭3月15日(日)にプレミア上映される『スイッチバック』のトークショーが行われた。


辻 『スイッチバック』は大府の子供たちが本当に頑張ってくれた映画です。

岩田隼之介監督 オーディションみたいなこともしたんですけど、皆大府に住んでる素人の中学生です。

辻 色んなことを経験できましたね。この映画は、どんな映画ですか?

バット アルハム 中学生の成長をとても感じられる映画です。

内海紗花


フレイレ チエミ

林田実樹 大府市の色んな場所に撮影で伺ったので、大府市に住んでる人は「ここ、あそこだ」って、自分の思い出を思い出してもらえるような映画だと思います。私は映画ってどうやって作ってるのか分からないことだらけだったんですけど、半年間くらい撮影に関わらせてもらって、映画を作る楽しさとか、面白さを学べた気がします。メイキングを撮らせていただいたり、色んな体験が出来ました。

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中村結愛 カメラの位置が分からなかったりしたんですけど、凄く面白いと思いました。

辻 ルアンは、途中で骨折したりして大変だったね。

シバタ ルアン はい。

北井康弘(コーディネーター)




そう。
【おおぶ映画祭 2020】は、2本ものワールドプレミア上映を抱えてリスタートする、前代未聞の祭りなのだ。

映画の、可能性を、未来を、パワーを、人と人とを繋ぐチカラを、
3月、是非とも感じにきてほしい、大府に――。

【おおぶ映画祭】公式サイト

映画『スイッチバック』公式サイト

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