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2月11日(火・祝)シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町)にて、【Yutaka Hoshino Retrospective/星能豊 特集上映】が開催された。

史上初となる俳優・星能豊の特集上映に相応しく、A、B、両プログラム共に満席の入りとなった。


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満杯の客席を前に、登壇者も凄まじい大所帯であった。

2時間弱という長丁場のトークを、出来得る限り再現した。


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Aプログラム

『ウィンターランド』(こだかさり監督)

『repeat in the room』(長谷川汐海監督)

『別れるということ』(渡邉高章監督)


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辻卓馬 私が何故ここに立っているのか、自分でも謎ですが(笑)。普段は映像制作を生業としておりまして、映画プロデューサー、【おおぶ映画祭】プロデューサーもさせていただいてます。去年の映画祭で僕と星能さんを繋げてくれた『センターライン』の皆さんが、応援に来ていただいてます。


下向拓生 昨年4月こちら(シネマスコーレ)で上映させていただいた『センターライン』の監督、下向です。星能さんとは以前から知り合いで、お付き合いしていただいているんですけど、今3本観させていただいて色んな表情の星能さんが見られて凄く嬉しかったです。


倉橋健 『センターライン』に出演しております、倉橋健と申します。普段は名古屋で朗読活動をしているんですけど、今回はこのような形で星能さんの作品を上映するということで、とても喜びながら足を運ばせていただきました。撮影後から、上映、イベントでこうして顔を合わせることに、本当にいつも喜びを感じております。


涼夏 『センターライン』では星能さんとの共演シーンは無く、本当に一瞬しか出てないんですけど、涼しい夏と書いて涼夏(りょうか)と申します。『センターライン』には本名で出てるので、多分この名前で探しても分からないです(笑)。【Cafe Mirage】という映画サイトで映画紹介をやってまして、星能さんとは短編上映とかでお会いしたり、色々な縁で繋がっております。


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長谷川汐海 『repeat in the room』監督の長谷川汐海です。私は名古屋にずっと住んでいるので、星能さんの特集上映があるというだけで凄くおめでた嬉しいことで、しかも地元の自分が映画を観に通っていたシネマスコーレで……今日は、嬉しいです。ありがとうございます。


三浦紘彰 『repeat in the room』で録音、音響効果、整音を担当しました、三浦紘彰です。普段は東京でフリーで録音部をやっておりまして、映画でしたら録音助手に入ったり、webCMやVPは録音部として一人で回したり、そんな活動をしています。本日はご来場ありがとうございます。


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渡邉高章 『別れるということ』を監督させていただきました、渡邉です。よろしくお願いします。星能くんには2013年から短編映画に出てもらって、これで10作品になります。


星能豊 今日は何故『センターライン』チームの皆さんに応援に来ていただいたかと言うと、僕は石川県の金沢で俳優活動をしてまして、『センターライン』は名古屋で撮影された映画です。色々な映画祭を回って下向さんと出会って、「僕を出してください」と言いまくったら、出していただけたんですね。下向さんも今は長野に住んでらっしゃるんです。倉橋さんは愛知県、涼夏さんは岐阜県に住んでらっしゃる。東京が敵とかいう訳じゃないんですけど、こうやって地方で活動している俳優たちにも坪井(副支配人)さんが光を当ててくれるのは、役者として凄くありがたかったんです。僕の特集上映というのも凄く嬉しいんですけど、他にも色々な所で頑張っている方たちがいることを、皆さんが広めていってくださればと思い、出ていただけないかと今回お願いしました。


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辻 長谷川監督、「『repeat in the room』はこういうところを観てほしかった」というのはありますか?


長谷川監督 現在と、過去と、未来があると思うんですけど、時間軸を映画というフレームの中で切り取って構成することで、どういう風に作り変えることが出来るのか……そんなことに挑戦をした映画だったんです。カットの繋がり方だけじゃなくて、かなり音に拘りました。音の編集で、時間や空間の交わり方をどう切り離していけるか、という。映画は作り物なので、なるべく作ることを意識して制作してます。


三浦 今仰ってたように、過去と現在、未来というものが入り交じるということで、映画を構成する2大要素として空間と時間があります。映像だけ観たら常に今回のロケ地、リピートが住んでたアパートが写ってるんですけど、そこで音が色々と変化をしています。例えば、教室のガヤが貼ってあったりすると、その空間が違って見えます。今回の映画は感覚を凄く大事にしてたのですが、セミの音をかなり多く使っています。クマゼミだったら凄く暑い印象だったり、ヒグラシだったらちょっと悲しげな印象だったり、そんな音色が持つ印象で更に映画が広がるんじゃないかということを意識してサウンドデザインしていきました。


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辻 渡邉監督は星能さんを何作品も撮られていますが、『repeat in the room』の星能さんは如何でしたか?


渡邉監督 僕は10年来の付き合いで、今は家族ぐるみ、うちの子供たちも仲良しです。唯一正直なことが言える役者でもあります。やっぱり、活舌が良くなかったり(場内笑)、背筋が猫背だったり……そういうところが魅力的な役者です。僕の『別れるということ』は、彼が脚本を書いた映画なんです。彼が今まで自主映画や商業映画で演ったことのない、かつ自分が今演りたい、見せたいものをやりたいというメッセージが伝わってきて、僕はそれを壊さないように演出させていただきました。


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辻 星能さん、『別れるということ』の脚本について聞かせていただけますか?


星能 俳優、特に金沢とか地方でやってると、メチャメチャからかわれるんですよ。飲み屋に行って「お前、何やってるんだ?」って聞かれて、「売れてないんですけど、俳優やってます」って言うと、「じゃあ、泣いてみてよ」って言われたり。悔しいんですよね。「いや、お金もらえたら演ります」って言って、本当にお金出されても困るんですけど。今回、上映する映画を並べると、ストレートに解りやすいものをやった方が良いんじゃないかと思ったんです。「自主映画って解りにくい」って、よく言われるので。ストレートにと考えた時、泣くという演技は解りやすいかな、と。今回はお葬式のことを思い出して泣いてますけど、実際泣く時ってそれを思って泣いてるかといえば、そうじゃなかったりする……自分の「泣くツボ」を皆持っていて。僕は、それがなかなか上手く出来ないんです。以前、夫婦の役を演った時に、相手の嫁さん役の方が泣かなくちゃいけなかったんです。そのシーンで「ちょっと待ってくださいね」って……『ONE PIECE』の泣けるシーンがあるらしいんですけど、それを直前に見て「はい、行きます!」って泣いたんですよね。凄いな、と思って。そういうネタがそれぞれあるんですけど、僕はそういうのがあんまり無くて。言葉と体が解りやすく一緒になる時というのが、自分の中で実感できないんです。基本、芝居というのは嘘をやってる訳じゃないですか。色々考えて、より実体験に近いものを演れば、より自然に泣けるんじゃないか、と。役者として「泣け」と言われれば泣かなくちゃいけないんですが、僕は自分で上手いとは思わないので、今回それを利用して泣く演技をしてみたい……そんな、ちょっと実験的な部分もあって、脚本を書いてみました。


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辻 星能さんの思いがダイレクトに伝わってくるような脚本でしたが、監督は演出するに当たって如何でしたか?


渡邉監督 星能くんが、制作からキャスティング、音楽も自分で選んでくれたので、僕は演出に専念するだけでした。彼は、僕の演出も知ってますし。撮影当日は、残念ながら雨が凄かったんです。時間が取れない状況でしたが、雨の中でクランクアップして良かったと思います。


辻 色々と気になるシーンがありました。常間地(裕)くんも出てましたね?


星能 常間地くんは、【MOOSIC LAB】にも出してる『ゆうなぎ』という映画で監督をしてるんですよね。彼は本来役者さんだったんですけど、監督するのに精一杯で作品に出演する機会もなくなり、もしかしたら役者をやらないかもしれないくらい『ゆうなぎ』が評判になって。「じゃあ、この機会に最後どうですか?」ってお願いしたんです(笑)。


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辻 下向監督、3作品を観て、改めて星能さんという役者はどうですか?


下向監督 僕が星能さんと初めて出会ったのは、群馬の映画祭で渡邉監督の『サヨナラ、いっさい』を観た時でした。その映画は本当にワンシーンくらいの出演だったんですけど、実はその前に『父の日』(小平哲兵監督)という映画をネットで観ていたんです。その映画での星能さんは、漁船に乗る怖い兄ちゃんだったんですよね。それで、群馬で会った時も金髪で、メチャクチャ怖くて(笑)!でも、凄く丁寧に話しかけてくださって……本当に、星能さんって誰に対しても敬語なんですよね。また、自分のtwitterを読み返すと「次の新しいネタ思いついた!」って書いた時があったんですけど、それに一番最初に「いいね!」を押したのは星能さんなんですよ。そういうストイックさが、色々な作品に出れるスキルなのかな、と。そんなポジティブさが星能さんの魅力の一つかなと思います。今日3作品は、どれも印象的でした。『ウィンターランド』はナレーションが多かったので、声の耳に馴染む感じが良かったです。今までヤクザとかチンピラの役が多かったじゃないですか(笑)、『repeat in the room』では凄くカッチリした風貌から、後半では「ジョニー・デップが出てきたのかな?」と思うような(笑)、新しい一面を観られました。『別れるということ』は、正直ちょっと泣いちゃって……星能さんのプライベートなところも聞いたことがあったので。先ほど「地方で」って話がありましたが、星能さんの芸名は何故「星野」じゃなくて「星能」なのかというと、「能登」から取られたそうなんです。自分の生まれ故郷、住んでる所を凄く大事にされてるんですよね。僕は今長野県に住んでますけど、色んな所で制作したりして、地方で撮ることを大事にしているので、凄く共感したところがあります。長谷川さんにも、俳優・星能豊を語っていただきたいんですけど。


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長谷川監督 私も何作品か星能さんの出られてる映画を拝見してたんですけど、今日は初めて観る作品ばかりでした。本当に、泣く演技を観ることになるとは思わなかったです。私が『repeat』で星能さんに出ていただいた時、頂いた宣材写真が白いシャツで髪が長くて……凄くシュッとした感じだったんです。正直、最初イメージしていたリピートと掛け離れていると思っていたんですけど、結果的に出ていただいて星能さんのリピートを見た時、凄い面白かったんです。今日は他の作品も観て、星能さんが良い意味でアンバランスな方だという印象を受けました。目立つとか派手ということではなくて、印象に残る、凄くスクリーンに映える人だなと私は思っています。私が見た星能さんは感情を表に出さないことが多かったので、泣く演技というのは私の中ではまたアンバランスで、もっと色んなことをしていただきたいと思いました。大声で叫ぶのも見たいし、凄く変な格好してるのも見てみたいですし。


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下向監督 星能さんは、オーディションだったんですか?


星能 オーディションでした。


長谷川監督 凄く真面目な方だと感じたんです。それが今回の作品でも、星能さん自身が映画の中にいるということが凄く伝わってきて。役に見えないという意味ではなく、そんなアンバランスさが私は一番魅力に感じているところなんです。


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倉橋 星能さんは、寡黙でクールなイメージなんですけど、意外にいたずら好きなんですよ。僕も本当にいじられます(笑)。去年の【おおぶ映画祭】でご一緒した時も、僕が地元なんですが降りる駅を間違えまして。迎えが来ない、来ないと、僕は泣きそうになってたんですけど、星能さんは全く動じず、僕の様子を撮ってtwitterに上げてましたからね(笑)。不思議なご縁で、僕は名古屋の役者さん以上に星能さんに会ってるんじゃないかと、それくらい名古屋近郊に足を運んでくださっているんです。役者を志す人は、星能豊という男を、人間を是非勉強して、精進していただきたいと思います。私はもう46なんですけど、まだまだ見習うべきところが、地方にいる僕らこそ見習うべきところが沢山あります。まだまだ目標とすべき男だと思っていますので、これからもお付き合いください。


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涼夏 星能さんと出会って、私も短編上映という企画をやってみようと立ち上げました。もし星能さんに出会ってなかったら、自分で岐阜の皆に短編を観てもらおうという動きはしなかったと思うんです。「名古屋で上映してれば良いんじゃないか」「東京でしか映画祭って無いんだろう」って思ってたんですけど、地元の皆さんに観ていただけたら、もっと映画の枠が広がるんじゃないかと思った、その機会を作ってくれたのが星能さんなんですよ。先ほどから話に出てますが、本当にすぐtwitterで発信してくれますから、皆さんも星能さんをフォローしていただけると、私のことも含め色々なことを応援してくださっています。


渡邉監督 済みません、この場を借りてお詫びする約束をしているんですが……僕の映画のエンドクレジットで、役者さんの名前を間違えてしまいまして。「窪田翔」さんの漢字の間違えの修正が間に合わなかったので、お詫びいたします。本当に申し訳なかったです。


下向監督 2月22・23日、長野県の上田映劇で『センターライン』の上映があります。ちょっと遠いですが、よろしければお越しください。


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坪井篤史(シネマスコーレ副支配人) どうですか星能さん、星能映画祭ですよ?


星能 こんなに人が来てくださるとは思わなくて、本当に嬉しいです。実は昨日、寝れなくて……誰も来ないんじゃないかな、と。


坪井 小学生みたいな感じですね(場内笑)。


星能 もう、2~3時間くらいしか寝れなくて。3日くらい前、坪井さんに怒られる夢を見て、ちょっとどうしようかなと思って。


坪井 実は、僕はあんまり心配してなかったんです。もし全然入らなかったとしても、それは劇場の責任にすれば良いんですよ。さて、長谷川さん……本当に星能さんで良かったんですか、この映画は(場内笑)?


長谷川監督 『repeat』は大学の卒業制作で撮った映画でして、慣れていないこともあり、時間もお金もあまり無く……正直、最初は「急いで決めてしまったかな?」と思いました。知ってる役者さんがいて「この人にお願いしたい」と言うほどの伝手も知識もなかったですし、本当に募集を掛けて応募していただいた方の中からだったんですけど、結果的には本当に星能さんにお願いして良かったと思ってます。映画の内容もそうですし、自分では完成して観ていただきたい気持ちはあっても、私だけでは観てもらう機会を逃してしまっていたと思うんですよ。星能さんが、気持ち的にも物理的にもどんどん連れて行ってくれたので、本当にお願いして良かったと思ってます。


坪井 良かったですね、星能さん。


星能 今日は眠れそうです(場内笑)。


坪井 本当に難しい映画だと思うんですよね。スルメみたいに「何回も噛んでみたい」って人と、一発で拒絶する人と、本当に難しいところをやってると思います。僕が【湖畔の映画祭】で観させていただいた時は、物凄い台風だったんですよね。観に行くのがさすがに難しいかもしれないと思っていると、星能さんから何度も「何時に来ます?」「これ逃したら、もう無いんで」ってアツい電話が来て。よく考えたら、シネマスコーレで掛ければ良いじゃんとも思ったんですけど(場内笑)、一緒に審査員をやった「映画秘宝」の岩田(和明)さんと一緒に行って、会場で最初に見つけたのが齊藤工さんでした。12時くらいに終わる遅い時間、土砂降りの中で一緒に観てた人間ですから、サバイバル的に生き残った人たちみたいになって(場内笑)。でも、星能さん、理解するのは大丈夫だったんですか?


星能 正直、「何やりたいんだろう?」っていうのはありましたね。でも、撮影の間にお互い理解を深めたりしました。それより、僕も歳で髪が薄くなったりしてるところで、鏡の前のシーンをやれと言われるのが一番苦痛でしたね(場内笑)。


長谷川監督 済みません(苦笑)。


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渡邉監督 星能豊くんの俳優評を言うと、演出する人たちは気付いてると思うんですが、僕の映画では彼の書いた脚本の「長浦恵太」という役なんですけど、やっぱり「星能豊」になるんですよ。それは『repeat in the room』でも一緒で、長谷川監督のイメージする像があったと思うんですけど、あの「リピート」は「星能豊」だし、他の映画を観ても僕の知ってる「星能豊」だし、彼は何を演っても「星能豊」なんです。それを拭えない僕は、演出の力不足ではあるんですけど、彼と一緒にやる時は全部当て書きですね。一番最初にオーディションに来た時は落としたんですけど、彼は長谷川監督も言うように凄く丁寧だし、落とした自分が罪みたいになっちゃって(笑)。


坪井 今回のように脚本を自分で書かない形って、今まであったんですか?


渡邉監督 脚本は自分で書いちゃうので、監督だけは無いですね。最初、「脚本書いてくるから」って言われたんですけど、僕は半信半疑で。どういう体裁で来るのかと思ってたら、実際LINEで来て(笑)。


星能 パソコン持ってなくて(笑)。LINEでザーッて書いて、それを渡邉さんがちゃんと台本状にしてくれるという。


渡邉監督 僕もシナリオを勉強してきて、シナリオの書き方ってあるんですね。ちゃんと何マス空ける、とか……でも、それがちゃんとしてて。それは凄く大したものだと思いました(笑)。色々映画に出てきて、ちゃんと台本を読んでるんだなと感心しました……凄く偉そうな言い方になりますが。


坪井 お互い、衝突はしなかったですか?


星能 長いお付き合いをしてるので、画に関しても全然文句なく自分のイメージ通りのことをしていただきました。やっぱり頼んで良かったと思ってます。


渡邉監督 今回、依頼を受けたのが凄くギリギリで、2週間以内に撮るということでした。もし自分が脚本を書けば、映画監督をもう少し掘り下げて、関係性を描いたと思うんですけど、でも主役は彼、星能豊なので、そこは壊す必要はないんじゃないかと思いました。そこはもう信用して自分を選んでくれたので、あと音楽も決まってたので、自分と星能豊の関係で良いのかな、と。先ほど言ってたように、彼は映画の中で泣きたいと言ってたんですけど、僕はそこはあまり関心がなくて。逆に、あのシーンで言うと4人のカットバックを編集するのが楽しくて仕方がなかったです。僕は、そういうのが好きなんで(笑)。4人いるので、カメラマンのアベ(トモユキ)さんと僕で長回しを4テイク撮って、それを編集で並べてるんですね。4回とも本番としてやってるんですが、僕とカメラマンは4回とも泣いてたんです。すぐ近くで伝わってくるので、「もうどれでも良いや!」ってなっちゃって(場内笑)。


星能 「もうちょっとやらなくて大丈夫ですかね?」って話をしたんですけど、「良いんじゃないの?」ってことで(笑)。


坪井 長谷川さん、次に星能さんを撮るんだったら、どんな風に撮りたいですか?


長谷川監督 変な意味ではないんですけど、星能さんの体つきに凄く興味と言いますか、映りに魅力を感じています。割りと普段は線が隠れる服装が多い印象なんですが、ちょっと身体が不自由だったり、身体の動きを見せる演出が出来る役を演っていただきたいです。リピートは腕時計の動きが特徴的だったんですけど、そういった癖のようなもので星能さんの身体を見せられるようなことをしてみたいと思います。


坪井 渡邉さんは如何ですか?


渡邉監督 色々やらせてもらって、どっちかって言うと静かな役が多かったんで、走ったり、鍛えたり、動きのある役が良いかと思います。星能くんのファンがいるとするならば、別の顔も見たいと思いますし。


坪井 星能さん、どうですか?


星能 基本的には、僕はそんなオファーは来ないので、来たオファーは受けたいと思います。


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Bプログラム

『ちかくて、とおい』(登り山智志監督)

『ピンぼけシティライツ』(東海林毅監督)


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辻村健二 星能さんとは、東海林監督の『ピンぼけシティライツ』が切っ掛けで知りあいました。「岐阜バス」のCMで、星能さんにナレーションをやっていただきました。「活舌が悪い」とずっと仰ってますが、そこが魅力かなと思ってます。


登り山智志 『ちかくて、とおい』を監督しました、登り山です。まさか【星能豊特集】なのに、主演じゃない、なかなか出てこないという作品で(笑)。ちょっと、音が小さかったですかね?多分、僕のせいなんですけど。改めて、今日はよろしくお願いいたします。


柳谷一成 『ちかくて、とおい』に出演しました、柳谷一成です。まず、星能さん凄いですね。最初から観させていただいたんですけど、凄い人徳のある人なんだと感動しております。なんでこの作品を選んだのか、聞かせてください。


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もりとみ舞 星能さんとは『センターライン』でご一緒させていただきました、もりとみ舞と申します。このような晴れの舞台にこうやって立たせていただいて、とても嬉しいです。星能さん、本当に特集上映おめでとうございます。


平井夏貴 『ピンぼけシティライツ』に出演しました、平井夏貴です。星能さん、特集上映おめでとうございます。よろしくお願いいたします。


東海林毅 『ピンぼけシティライツ』監督、脚本の東海林毅です。皆さん、今日は星能くんのためにお集まりいただき、どうもありがとうございました。


辻 皆さん、星能さんとは酒を飲んでる関係性じゃないですか?……ですね?


東海林監督 確かに、切っ掛けはそうですね。お酒から始まった関係で……ちょっと、いやらしい感じがしますね(場内笑)。


辻 「酒を飲めば出演が決まる」と思われちゃいますね(笑)。


東海林監督 それは、いかんですな。さっきの話だと、「twitterの「いいね!」が一番早かったから」って話もありましたから。


辻 大事ですね。SNSと、星能豊と、酒(笑)。


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登り山監督 『ピンぼけシティライツ』と特集で2本立てって、僕は運命を感じてるんです。『ピンぼけ』を観るのは2回目なんですが、これは言ったことがなかったんですけど、実は『ピンぼけ』を観て星能さんに決めたところがあるんです。星能さんとは以前に現場でお会いして名刺交換したくらいだったんですけど、何を考えてるか分からないような人を探してる時に『ピンぼけ』を観て、「星能さん良いな」と思って出ていただいたんですね。だから、僕はちゃんと役者としてオファーしたんです。


東海林監督 『ピンぼけシティライツ』が切っ掛けで、岐阜バスの仕事が決まり、『ちかくて、とおい』も。それから、もう1本決まったやつもあったじゃないですか。


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星能 そうですね。今日も観に来ていただいてるんですけど、名古屋のシアターカフェさんで一番初めに上映していただいて……


東海林監督 3年前ですね。


星能 そこで、賞を頂いたんですよね。


東海林監督 まだ渋谷映画祭くらいでしか掛かってなかった頃なんですけど、シアターカフェさんの5周年記念の大解放祭というスペシャルなコンペがありまして、グランプリに選んで頂いて。それで、作品の弾みが付いたんですよね。


星能 そこに観に来ていただいてたのが、辻村さん。


辻村 そうですね。初めて星能さんと出会って、何かヘンな(笑)……皆さん感じてる、言葉に出来ない存在感というか。今観ていただいた2本も、幽霊を見る側と幽霊になる側だったんですけど、彼岸の狭間にいる人というか(場内笑)。僕はまだ観れてないんですけど、さっき話に出た漁船にいる怖い人の役とか、人間のスレスレのところに星能さんは必ずいる、みたいな。


辻 共演された方からもお話を頂きたいですね。


平井 そんな絡んでないんですよね。1シーンしかないので……ま、ともかく猫背の人だなって(笑)。『ピンぼけ』の時が「はじめまして」だったので、その印象からずっと変わってないです。猫背の、ちょっと活舌の悪い、スレスレの、それがまたチャーミングな俳優さんだなと思ってます。


東海林監督 え、活舌悪いかね?


平井 そうですね。でも、『ピンぼけ』でもそこが哀愁漂ってて、凄く素敵だなと思いました。


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辻 『ちかくて、とおい』でも、台詞が聴き取れなかったですもんね(笑)。あの時「え?」って言ったのは、そういう意味で?


柳谷 そうですね。


星能 違うでしょ(場内笑)!


柳谷 全然、台詞一個も僕聴き取れてなくて。それがちゃんと繋がってて凄いと思いました(笑)。


辻 (登り山)監督が、上手かった(笑)?


柳谷 登り山くんは、この映画の中で星能さんのお芝居を一番大絶賛してました。


登り山監督 感情がよく分からなくて、台詞も意味が分かったとしても「こいつ、何言ってんだろ?」って雰囲気で。ホラーなんですけど、僕はよく「もっと可愛く演って」って言ってたんですよ。こういうキャラなんですけど「可愛く演って」って言ったら、「分かりました」っていうのが凄く嬉しかったんです。弄られてても、いつも愛されキャラだから、僕の映画で反映できたのかなと思ってます。


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辻 もりとみさん、如何ですか?


星能 あ、もりとみさんが一番僕のこと分かってくれてるはずです。


もりとみ 星能さんは凄いなと私がいつも尊敬しているところは、スクリーンの中だけじゃなくて、作品が出来あがってお客様に届けるまでの色んな活動、SNSや営業も熱心で、お客様も大切にされる。本当に凄いなと思っています。皆さんチラシをご覧になったと思うんですけど、50名以上の方がコメントされてるという、役者さんとしては勿論なんですが、人間として惹かれてるお客さん、関係者も多いのかなと思います。……本当に真面目な話をしましたが、大丈夫でしょうか(笑)?


星能 僕はあまり第一印象が良くないんですけど、もりとみさんは「そういう人じゃないんです」って確りと伝えてくださって、本当に助かってます。普段は岐阜で活動されて、東京の方に来て撮影されたり……本当にお手本にしてる方なので、今回は僭越ながら僕を取り上げていただきましたけど、本来はもりとみさんみたいな方の特集をやったら良いんじゃないかと思ってます。


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辻 何か凄く良い話になりましたけど、辻村さん如何ですか?


辻村 たまに、よく分からない画像だけLINEが来たりするんですよね。僕も変な画像を返したりするんですが、それでコミュニケーションが成り立つ、やっぱりスレスレの人というか(笑)。少しだけ真面目な話をさせていただくと、活舌が悪い役者さん=悪いことでは決してないと、僕は思うんです。むしろ、その分感情が乗りやすい、観てる人が補完しようとする分感情が引っ張られやすいですよね。そういうことを多分……狙って演ってらっしゃると思うんです(笑)。


平井 『ピンぼけ』に関してですが、ちょっとお腹が出てるのは、役作りです(場内笑)。


星能 色々言い訳というか……『ピンぼけ』の前に、漁師の役を演ったんですね。2週間くらい福井県の港町で合宿して。「漁師なんで恰幅いい感じにしてくれ」って言われたので、メチャメチャ食って太ったんですけど、その後なかなか戻らなくて。でも東海林さんと飲みの席で(笑)「僕で映画撮ってもらえませんか?」ってお願いしたら「良いよ」って話になって、「でも、今見せられるような身体じゃないんです」って話をしたら「あ、全然そのだらしない身体で」ってそのまま撮影に入ったんですよね。


東海林監督 実は金沢出身で同郷なんですが、星能くんオファーで「僕で1本短編を撮りませんか?」という話になったんです。星能くんのそれまでの作品は、「何考えてるか分からないけど、何かカッコいい」感じの、斜に構えたような役が多かったんで、「こいつ、絶対もっとダメな奴だろう」と勝手に思ってたんですね。僕が使うなら、ダメな奴の役で使ってやろうと思ったんです。「身体、もっとシャープにした方が良いですかね?」なんて言うもんですから、「いや、勿体ない勿体ない」ってそのままの体型で演ってもらったんです。


平井 良かったですよ。


星能 ありがとうございます。


柳谷 でも、結構真面目な感じの印象あったんですけど、『ちかくて、とおい』が【広島こわい映画祭】で上映された時、登り山監督と星能さん、僕の3人で打ち上げに行ったんですよ。監督さんとかと話してると熱くなるじゃないですか。そんな感じで話してたら、星能さんがいないんですよ。探してみたら、女子大生5~6人に囲まれて、メッチャ飲んで楽しそうにしてるんですよ。結局、女好きなんだな、と(場内笑)。


辻 良い話になるのかと思ったら、まさかの(笑)。これをカバーしてくれる話は、ありますか?


平井 岐阜で【MKE映画祭】という映画祭が開催された時、星能さんは金沢にいたんですよね。「映画祭はスケジュールが合わなくて来れない」って話だったんですけど、会場にはもりとみさんもいらっしゃってるし、「なんで星能さんいないの?」って電話で呼び出したら、金沢から来てくれました。


東海林監督 仕事を終わらせて、金沢から高速を使って車で、打ち上げに来てくれたんですよね。


平井 熱い男だな、と思いました。


辻 星能さんは色々な所に顔を出されて、本当に凄いと思うんですよ。その熱意はどこから来るんですか?


星能 僕は上手くないので、実際に監督と会って話をする方が、自分のことを分かってもらえるかなと思いまして。基本的に自分の作品が上映されるんだったら、どんな反応をされるのか見たいんですよね。なので、行くようにしてます。逆に僕が不思議だと思うのは、あんまり行かない役者さんも多いじゃないですか。確かに金銭的なこともあるかもしれないんですけど、もっともっと行ったら良いのになと思うんですよね。お客さんも、話したい人がいるだろうし。ですから、なるべく行ける時は行くようにしてます。じゃないと、こういう人たちと僕も会えないので、そんなことを考えて活動しています。


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辻村 本人は無自覚的に動いてるんでしょうが、星能さん自身がハブ(hub)になって色んな人を繋げて、今日もこうやって集めている。なかなか真似しようと思っても難しいことだと思います。【星能豊 Retrospective】だなんて、若尾文子さんとかそういうクラスですもんね(場内笑)。


東海林監督 思わず「retrospective」の意味を調べたりしました(笑)。ググッちゃいました。


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登り山監督 編集の時、星能さんから「編集どう?」って連絡があって、「来年の3月です」とか言ってるのに、「今年の映画祭に間に合わせてください」って(場内笑)。そう言われた訳ではないですが、、上映して、観てもらって、初めて結果なんだよと言うことなのかな、と。広島も一緒に来てくれましたし、映画の上映の仕方は星能さんに教えてもらった気がします。こういう人なら特集は行われるでしょ!と、納得してるところはありますね。僕にとっては先輩という形なので、ちょっとキツいことは言えないんですけど(笑)。


辻 皆さん、告知はありますか?


もりとみ 日程は情報解禁になってないと思いますけど、来月ここシネマスコーレさまで木場明義監督の『つむぎのラジオ』という映画を上映していただけることになりました。ラジオの声を演らせていただいておりますので、よろしければ。また公式のアカウントなどから情報が発信されるかと思いますので、お越しいただけたら嬉しいです。


柳谷 2月15日に池袋のシネマ・ロサで『轟音』(片山享監督)という作品の上映が始まります。スコーレでも、いつかは決まってないんですけど、上映される予定です。監督が福井出身で、結構死ぬ気で撮った作品なので、よろしくお願いいたします。


星能 福井は金沢の隣なんですけど……呼んでいただけなかったですよね(場内笑)。


登り山監督 僕は普段助監督をやってまして、何本かスコーレで流れる作品もやっています。『ちかくて、とおい』は幾つか映画祭に出してたり、大阪になるんですけど上映できるように頑張っております。


平井 今週末、某媒体(LINE NEWS VISION)の某(#旅するクリームソーダ)ナレーションをしております。


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東海林監督 2月15日に【おおぶ映画祭】のプレ上映会で『老ナルキソス』というゲイのお爺ちゃんの、SMスパンキング・ラブストーリーが上映されます。後、勘ですけど、もしかしたら僕は3月くらいにも大府にいるかもしれないです。


辻 3月14日【おおぶ映画祭】で、東海林監督の作品を2作品上映されます。


東海林監督 あ、言っちゃった(場内笑)。


辻 良いです、もう解禁しましょう(笑)。愛三文化会館が会場です。


東海林監督 2019年に僕が撮った短編2本が上映されます。後、これも勘なんですが、多分4月くらいからNHKのBSプレミアムというチャンネルで、僕がずっと関わってきた吉川晃司さんがやってる科学ドキュメンタリーがあるんですが、新シリーズみたいなものが始まるかもしれないです。後、8月くらいにまた岐阜の辺りにいるかもしれないです。


辻村 僕は今、株式会社ガイネンという映像制作会社を愛知県でやってまして、毎月1日に「会社の次回予告」という訳の分からない物をやっておりますので、毎月1日はSNSなどを見ていただければ、よく分からない次回予告が流れてます。


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坪井 Aプログラムに比べて、Bプロはエンタメ色が強かった感じがしましたが、どういう基準で選んだんですか?


星能 『ちかくて、とおい』は、僕も初めホラーだと思ってたんですけど、登り山さんが描きたいのは家族の話ということで、その掛け違い。映画は観る人によって全然印象が違うじゃないですか、『ちかくて、とおい』はまだ広島でしかやってなかったので……


登り山 渋谷で1回やってます(笑)。


星能 僕自身、お客さんの反応を知りたかったというのがありますね。


登り山監督 この映画の撮影も、金沢からわざわざ来てくださいと頼んだ挙句に脚本が二転三転して、「ひょっとしたら(星能さんが)出ないことになるかも」なんて言ってたんですけど、「良いよ、ギリギリまで待つから」って言ってくれて。「やっぱり出てくれますか?」とお願いし直しても、嫌がらずに出てくれたんですよね。本当に恩義を感じましたし、現場でも凄く励まされたんです。星能さんにお願いして良かったと思いますし、映画って一人で作るものじゃないと、作った後に上映して改めて感じました。


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坪井 東海林さん、如何ですか?


東海林監督 今回の作品の中で、多分僕の作品が2016年で一番古いですよね。それを一番最後に持ってきてくれたことは、僕も嬉しいです。スコーレさんで自分の作品が上映されるのは初なんですけど、選んでもらえたから、こうやって皆さんに観ていただける。色々と言っちゃいましたけど(笑)、僕は映画というのは観ていただかないと成立しないと思っているので、そのチャンスを広げてくれて実は感謝しています。


星能 名古屋に、愛知に縁が出来たのは、この映画から始まったんですよね。シアターカフェさんでやって、辻村さんが観にきていただいたり、今日来ていただいてる『かぞくわり』(塩崎祥平監督)助監督の高田(眞幸)さんもその時観ていただいて。そこから『かぞくわり』の出演も決まったんです。シアターカフェの江尻(真奈美)さんは、オーディションの募集とかをちゃんと発信してるんですよね。江尻さんの発信から、名古屋学芸大学の『偽りにナイフ』という作品に応募して通って、撮影は役者が集中できる現場を作ってくれて凄く良いなと思ったんです。後から調べたら、仙頭(武則)さんという僕の好きな方が関わっていて嬉しかったんですよね。次に受けたのが『repeat in the room』なんですけど、凄いのはどんどん繋がって行くんですよね。共演した小田篤さんは『ゆうなぎ』にも出てますし、『嵐電』(鈴木卓爾監督)に出てた水上竜士さんみたいな人とも共演できたり。地方に住んでて、事務所にも入ってないんですけど、ここは凄く縁が深い場所だと思ってます。


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坪井 今日集ってくれた監督さんや俳優さんも、そうやって繋がっていった方たちですもんね。これで「お疲れ様でした」で終わるのか、来年【第2回】をやるのか、ってことですけど?


星能 そういうことなんで、皆さん是非【第2回】も出来るように応援のほどよろしくお願いします。嬉しいのは、ちょくちょく金沢でメディアに出させていただくんですけど、金沢で特集上映は開かれないんですよ。それが、凄いショックで。坪井さんが映画祭で「人を見つけて、やりませんか?」って声を掛けてくださることは、役者にとって凄く嬉しいことです。本来は、もっと上手くて沢山出てる人の特集上映をやるべきなんでしょうけど。『ピンぼけシティライツ』撮影の満若(勇咲)さんが元々若松(孝二)組の人ですし、そんなバックボーンが繋がっていくのも、役者やってて面白いなと思いますね。後、撮影で行ったことのない所に行けて、その場所の文化を知ったり、そんな風に楽しくやってます。


坪井 星能さんが来年もまたやるって言うなら、僕は日程を空けときます。ただし、来年までにスコーレが閉鎖されなかったら、の話ですけど(場内笑)。それだけは、今決めてください。


星能 今ですか(場内笑)!?いや、今年まだ撮影そんなに入ってなくて……。


坪井 良いじゃないですか、作品いっぱいあるでしょう?漁師のやつもやらないといけないでしょうし。


星能 後、坪井さん忘れてますよ。幽霊つながりと言えば、【湖畔の映画祭】で主演俳優賞を頂いた渡邉高章監督の『土手と夫婦と幽霊』があります。渡邉さん、あの映画をスコーレでどうですか?


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渡邉監督 もう、是非やりたいけどね。あ、ちょっと告知みたいにになっちゃうんですけど、3月に銀座のビルで自分の特集上映をさせてもらえることになりました。3時間くらいのタイムテーブルで自分の作品を選び出したら、星能豊特集上映になっちゃったんですよね(場内笑)。最初のオーディションで落としてエキストラで1シーンだけ出てもらった映画から始まって、次に星能くんが主役の映画『多摩川サンセット』、その後彼が金沢に帰ってからも駆けつけてくれた『ジェントリー土手』っていう映画で、次が『土手と夫婦と幽霊』、そして星能くんがキャスティングまでしてくれた最近の作品で『川を見に来た』。星能くんとは関わり続けてきた歴史がありますからね。またSNSで紹介していきますから、よろしくお願いします。


坪井 僕が星能さんを初めて知ったのは、下向さんの『センターライン』を湖畔で観させていただいた時でした。次が『ピンぼけ』で、この人は色んなことが出来るんだと思ったんです。そして、去年の7月に渡邉さんの作品を観せてもらって、「これは主演男優賞だ」って思ったんですよね。ただ僕だけ強引に押すのも嫌だったので、一緒に審査員だった岩田さんに聞いたんですよ。そうしたら「(星能さんで)決まりでしょ」って言ったんです。裏を読みたがる人も沢山いるんですけど、満場一致なら間違いないって。何か副賞はないか考えたのが、特集上映だったんです。満席という凄い結果になりましたけど、正直、例えば2人とかしか入らなかったとしても、来年もやっても良いと思ってましたけどね。本気でやってる人を潰したくないと思ったんですよ。チラシ見て思いましたもん、「コメントを沢山もらっちゃって……」って言うから「良かったですね」って見たら、「ちょっと、これもらいすぎだろ」って(場内笑)。監督さんたちも力のある作品を持ってきて、しかも「撮り下ろしをやります」って言われて、この船は絶対に降りられない、降りるつもりはない、って。だから、来年やるのか決めてほしいんですけど、最後に一言ずつ皆さんに頂いて終わりますよ。星能さん、宴は終わりですよ、もうね(場内笑)。


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下向監督 今日舞台挨拶を聞いてて、凄い嫉妬しました。僕も凄くLINEをもらってたりとか、「こういう映画祭あるんですけど」って言われてて、僕は凄く星能さんに愛されてるんだなと思ったら……皆にしてるんですね(場内笑)。冗談はさておき、おめでとうございます。来年もやってください。そして、呼んでください。


渡邉監督 本当に、自分のことのように嬉しいです。自分の息子と娘は一番最初に知ってる俳優が星能豊というほど彼に懐いてるので、これからも色々な映画に出て、皆を楽しませてください。ありがとうございました。


長谷川監督 今日はありがとうございました。星能さん、本当におめでとうございます。こんな場所に私の映画を呼んでいただけたのが、まず本当に感謝です。それ以外にも沢山連れて行っていただいて、今日はまた色んな星能さんを観ることが出来たので、是非また次回お願いできたらと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。


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登り山監督 改めて、僕もありがとうございました。星能さんの作品が近くで上映されるように、別の作品を撮れるように、星能さん共々頑張っていきたいと思いました。本当にありがとうございました。おめでとうございます。


星能 柳谷さんと、もう一度何かやりたいなと思っていますので、またよろしくお願いいたします。


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東海林監督 チラシを見ると、あまりにビッシリ詰まったコメントの数々……本当に、凄いです。これだけのコメントを集めてしまうくらい熱い男なのに、「来年やりますか」って前振りにはモヤッとして答えない(場内笑)。この捉えどころのなさが、魅力なんですよね。恐らく他の監督も、星能くんの捉えどころのなさ、何考えてるか分からないところに魅力を感じてキャスティングしている気がします。今後、この魅力を更に引き伸ばしていくのか、違う方向に使ってみるのか、それは我々の課題だと思いますけど、そういったものを持ってきて、ここに戻ってこれたら嬉しいなと思います。星能くん、本当におめでとうございました。


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星能 今日は皆さん、寒い中ご来場いただきましてありがとうございます。ポン・ジュノさんが(アカデミー賞を)獲りましたよね。フリーでやってる僕は、宣伝は自分のホームページとSNSくらいしかないので、色々と意見を見ます。僕もポン・ジュノさんは凄いと思うんですけど、逆に日本映画がどうのとか言われてます。でも、言うほど皆、邦画を観てないんじゃないかと思うんですよね。もっともっと劇場に足を運んでほしいなと思いますし、こういう機会を続けていくのは難しいとは思うんですけど、色んな人の力を借りてこれからも続けていきたいと思います。今日観てくださった方はどんどん発信して、特に「金沢でやらないの?」って言ってほしいですね(笑)。僕はそこに坪井さんを呼んで、お世話になっている方々を呼んで、やりたいなと思います。これからもよろしくお願いします。


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こうして、【Yutaka Hoshino Retrospective 2020/“第1回” 星能豊 特集上映】は幕を閉じた。


シネマスコーレのシートを埋めた観客たちは、全ての上映プログラムを終えて暗くならんとする劇場を後に、思い思いの時間を過ごした。


制作費のせめてものカンパにと、物販を求める者。

滅多に会えない登壇者に、サインを求める者。

初めて観る作品の感想を、監督に熱く届ける者。


そして、スクリーン壇上に大所帯を成した面々もまた、更けゆく名古屋の夜を思い思いに過ごしていた。


帰りの便ギリギリまで、サインを書き続ける者。

鋭い質問に、何とか解答を捻り出さんとする者。

大役を終えて安堵し、睡魔を追い払おうとする者。


作品を生み出す者と、見届ける者、両者の思いが交差し、映画館には幾つもの新しい出会いに溢れた。

映画を愛する人々の想いを乗せた言葉を、誰かが口にした。


「また、来年!」


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星能豊オフィシャルサイト


シネマスコーレ公式ホームページ

http://www.cinemaskhole.co.jp/cinema