047

2月11日(火・祝)シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町)にて、【Yutaka Hoshino Retrospective/星能豊 特集上映】が開催される。

A、B、2組のプログラムで構成される特別上映で、俳優 星能豊の特集上映は意外にも史上初だという。


2019年の【湖畔の映画祭】で主演俳優賞(『土手と夫婦と幽霊』)を受賞した星能豊。

審査員として参加していたシネマスコーレ坪井篤史副支配人たっての熱望により、今回の特集上映は実現した。


星能豊といえば、『土手と夫婦と幽霊』以外にも、『センターライン』(監督:下向拓生/2018年)『かぞくわり』(監督:塩崎祥平/2018年)など劇場公開作品にも出演作が相次ぐ注目の役者だ。

【Yutaka Hoshino Retrospective】は、なかなか観る機会のない短編映画でプログラムを組んだ、映画ファン必見の内容となっている。


今回、なんと星能豊ご本人から、各作品の解説コメントを頂いた。

監督本人の見解ではございません。ご了承ください。(星能豊 談)


Aプログラム

『ウィンターランド』

winterland_02

ストーリー

ある男が冬の港に訪れると、どこか見憶えのある男と出会う。そして、誰かから聞いた古い記憶を思い出すのだった。男の独白で綴る実験的な映像詩。 キャスト

舟見和利 星能豊

スタッフ 協力:渡邉高章、渡邉美帆 原案:「くさばな」萩原朔太郎 脚本・監督:こだかさり 4分28秒 / 2014

kodaka_a-sya_S
監督プロフィール
こだかさり 1990年石川県金沢市生。 2013年武蔵野美術大学映像学科卒業後より演出家スミス氏に弟子入り。 制作・助監督を経て2016年より監督業を始め、2019年に独立。MVやWEB CMを中心に監督を務める。 監督作『ハチワン結婚相談所』(2019)が第7回八王子Short Film映画祭で観客賞受賞。

星能豊

サリさんは武蔵野美術大学出身で、在学中に卒業制作の映画にスタッフとして参加されていたのがきっかけで知り合いました。ちなみにその卒業制作の作品『果てしない今』(坂井晶子監督)ではカメ止めご出演の細井学さんと共演でした。

上映作品『ウィンターランド』は共演の舟見和利さんとの詩的にも見える作品となっています。

実際に劇中のセリフを上映後に朗読したりと、面白い試みはもちろん映像でも発見できます。

サリさんの作品にはそんな面白い試みがたくさんあります。『夜はしずかに』という作品も面白い撮り方をしているんです。と、思いきや関取花さんの『カメラを止めろ!』MVではワンカット長回しのシーンを多用したりと全てがサリさんが実験的なことを楽しみながら作品として残している印象を受けます。

そして、サリさんは同じ金沢出身です。

「金沢で 星能さんに出てもらいたい映画あるんですよ」とか言ってくれませんか?

オファーお待ちしております。笑


『repeat in the room』

71_repeatintheroom_B1

ストーリー

平凡な毎日を規則正しく暮らす42歳の会社員「リピート 」は、ある日突然職を失う。 中学生の頃の同級生との再会をきっかけに、彼の部屋に14歳の自分、「リピートくん」が現れるようになる。 彼の部屋では現在と過去、現実と妄想が入り交じり、彼の規則正しい生活は続く。

キャスト 星能豊 鈴木日那太 小田篤 水上竜士 スタッフ 監督・脚本:長谷川汐海 撮影:鈴木綾花 照明:伊藤沙稀 録音・音響効果:三浦紘彰

IMG_9352
監督プロフィール 長谷川汐海 1996年愛知県生まれ。名古屋学芸大学映像メディア学科にて映画プロデューサーの仙頭武則氏に師事。大学卒業後は名古屋の映画館で働きながら映画制作を行っている。

星能

長谷川監督と撮影を担当した鈴木綾花さんが共同プロデューサーとして名古屋学芸大学卒業制作として作られた映画です。

鈴木綾花さんは先輩となる大塚史津監督『偽りにナイフ』に撮影助手で参加しており、卒業制作となる『repeat in the room』では撮影監督として、後輩の撮影助手に教えながら撮影していたのが印象に残りました。

長谷川監督の持つ世界観は(関係者の一部ではその長谷川汐海ワールドの不思議を称して「世界のハセガワ」と呼んでいる)戦友として苦楽を共にした鈴木さんにしか撮れないのかもしれません。

その後、湖畔の映画祭で斎藤工さんにご高覧いただき、雑誌・映画秘宝の連載にて紹介されます。

金沢を拠点に活動している僕のことにも触れていただきうれしかったです。長谷川監督は3冊買ったそうです。

そして、劇中歌にはケミカルボリュームの「ここから」が使用されています。実は僕が東京を離れて金沢に拠点を移すときにプレゼントしていただいた歌です。

今回はかなり削ぎ落として短く新たなバージョンでの上映となります。

長谷川監督の実験的な要素を含みつつ映像世界の構築を楽しみながら作品として残すところは、こだかさり監督とも共通項があると言えるでしょう。


『別れるということ』

星能豊とシネマスコーレを繋いだ『土手と夫婦と幽霊』渡邉高章監督の最新作。

なんと1月23日に撮り終えたばかりで、今回の上映がワールドプレミアだ。


当作品については、今後続々と情報が更新されるはずなので、当サイトでも随時お知らせしていく。

続報に、乞うご期待!


Bプログラム

『ちかくて、とおい』

suti-ru-03
ストーリー
新居に引っ越して来たアカネは怪奇現象に遭う。夫の省吾はそれを受け入れず、いつも通り振る舞うが事態は思わぬ方向へ行ってしまう…
キャスト
坂野アンナ 柳谷一成 星能豊 坂倉奈津子
スタッフ
監督・脚本・編集:登り山智志 撮影:深谷祐次 録音:内田雅巳 制作:今井光巨、半田結穂 メイク:いのうえまあさ
プロフィール写真
監督プロフィール
登り山智志(のぼりやまさとし)
1988年大阪府生まれ2007 年明治学院大学の映画サークルに所属し映画製作を始める。2012 年映画美学校フィクションコース第16期初等科に入学。監督を務めた修了製作『ぼっち』が第8回TOHOシネマズ学生映画祭ショートフィルム部門でグランプリを受賞現在、フリーで演出部をしながら映画製作をしている。他作品2015年『男って馬鹿』2017年『残された者たち』第9回オイド短編映画祭で特別賞を受賞

星能

昔、とある現場でお手伝いで参加していた登り山さん。

それから長い年月が過ぎ、なんと、監督として、僕に出演オファーが来ました。

脚本を送っていただき、バリバリのホラーが撮りたいのかなと思っていましたが、僕の勘違いでした。

家族のことを描きたいけど、描く手段として結果としてはそのためにホラーのようなジャンルになったと。

登り山監督は作品がなかなか映画祭に通らず、悩んでましたが、僕はPFF(ぴあフィルムフェスティバル)の一次審査に通っただけでも よかったと思っていました。

広島で開催の「広島こわい映画祭」に入選が決まり、都内以外では広島に続き、名古屋で上映決まり、ほっとしました。

血がドバーっと出るとか、そういう怖いではないです。

でも、家族の話にホラーの要素を含ませ、観る人に少しずつ静かな場所(特に映画館という場所)で不安だったり、次に何が起こるんだろうという気持ちにさせる登り山監督の手法は素晴らしいと思います。


『ピンぼけシティライツ』

received_476233259729517
ストーリー
落ちぶれたカメラマン菊川の前に彼がかつて撮影したグラビアアイドルの立花えみりが幽霊となって現れる。寄る辺ない二人は夜の東京で本音をぶつけ合う。
キャスト
星能豊 梅沢佐季子 真田幹也 平井夏貴 他
スタッフ
脚本・監督・VFX:東海林毅 撮影:満若勇咲 音楽:小島ケイタニーラブ
images
監督プロフィール
東海林毅
武蔵野美術大学映像学科在学中から映像作家活動を開始し1995年 第4回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭コンペ部門にて審査員特別賞を受賞。『劇場版 喧嘩番長』シリーズや『お姉チャンバラVortex』などの商業作品を監督する一方、VFXアーティストとしても幅広く活動しNHK BSPの科学史ドキュメンタリー番組『フランケンシュタインの誘惑』では3年以上にわたり演出やVFXを務めた。

星能
廣田正興監督(2月7日から永瀬正敏さん主演『ファンシー』公開)がオーガナイズした渋谷映画祭をきっかけに東海林監督と出会います。東海林監督も金沢出身。
東海林監督アニメーション作品『23:60』を金沢で観る機会があり、色の使い方など、繊細かつ豪快な印象も受けました。
恥ずかしながらVFXなどちゃんと知らず、東海林監督をアニメーション作家だと思っていました。
東海林監督が金沢に帰省の際に、飲みに行きました。
「僕で映画を撮っていただけませんか」と一か八かお願いしたら、快諾していただき『ピンぼけシティライツ』はできました。
東海林監督は自主製作映画を撮るのは久しぶりとのことでしたが、『ピンぼけシティライツ』の後に作られた『老ナルキソス』は国内外の映画祭で受賞が続き、東海林監督の特集上映が開催されるのは当然の流れでした。
金沢でも東海林監督作品はいくつか上映され『ピンぼけシティライツ』の音楽を担当した小島ケイタニーラブさんと上映とライブを開催したオヨヨ書林の夜は最高でした。
『ピンぼけシティライツ』は俳優として表現することはもちろん「晒される」という宿命について深く考えさせられる作品となりました。
そして、名古屋・シアターカフェでの催事で上映、グランプリをいただいてから、愛知県には強い縁を感じる今となっています。
カメラマンを演じましたが、撮影するという行為(演技)を撮影されるというシチュエーションも自分にとって面白い経験でした。
完全なる言いわけをすれば、『ピンぼけシティライツ』撮影前の作品は恰幅良い漁師の役で、その身体をもとに戻す前に撮影となり、「そのだらしない身体のままでいい」と撮影しましたが、これも晒される俳優の宿命。
そして、東海林監督の作品は裸になる人が多いです。笑
だから次回作品で呼んでいただけることがあれば、ちゃんと絞った身体で参加したいです。呼んでください、東海林監督。笑

Aプログラムは18:30より、Bプログラムは20:30より、チケットは各回1,000円という破格の代金という。

星能豊はもちろん、ゲストが大挙スコーレに押し寄せる、お祭り騒ぎの夜になる。


シネマスコーレの坪井副支配人によると、今後もこういった特集上映を組んでいきたいとのこと。

監督やキャスト陣が詰めかけるこの夜は、新たな出会いが溢れることは間違いない。


制作者と役者、作品と映画館、そして作り手と観客、新たなカップリングが生み出される歴史的瞬間を、どうぞ御観逃しなく。


「あの監督の特集上映が組まれる切っ掛けになったのは、あの夜だった」

「この俳優が売れっ子になったのは、シネマスコーレに来てからだった」

「映画が作られたそもそもの始まりは、トークショーでの掛け合いだった」


映画ファンは、近い将来そんな話を口にするであろう。

2月11日は、そんな夜だ。

【星能豊 特集上映】は、そんなイベントだ。


追加ゲストに関しては、当サイトでも情報が決まり次第アップするつもりなので、直前までチェックしてほしい。


winterland_04

星能豊オフィシャルサイト


シネマスコーレ公式ホームページ

http://www.cinemaskhole.co.jp/cinema