山本タダシ氏プロデュースによるコラボレーションライブ【マジカルコネクション】は、名古屋ですっかりお馴染みの名物企画で、なんと86回が開催されている。
今回参加したのは『マジカルコネクションvol.86 夏に恋する男たち女たち days.1』で、そのタイトル通り惜夏真っ只中の8月31日(土)に「カフェあらたると」(名古屋市千種区今池)で開かれた。
開演時間の18:30には観客席は椅子を追加するほどの盛況ぶりで、オーディエンスは出演ミュージシャン達の登壇を今か今かと待ち構えていた。
加藤岳
四日市出身のガレージ・ポップ・シンガー・ソングライター。
マジカルコネクションは初参加だそうで、オープニングの重責も、持ち前の美声と弾むようなピアノ演奏、キャッチーな楽曲と歌詞で、難なくステージをこなした。
だが、特筆すべきは、そのサービス精神だろう。
自ら「こう見えて、結構トシ行ってる」という年代に相応しく、ドリフの『8時だョ!全員集合』でお馴染みだったファンファーレを即興演奏し、いかりや長介よろしく「後半行ってみよー!」と客席を沸かせてみせた。
(ファンファーレの旋律は、ステージ直前に急遽練習したとか!)
そして、ずっと電子ピアノの上に乗っていた黒と黄色のビニルテープが巻かれたドラムスティックは何なのかと気になっていたのだが……
最後の曲『恋の三岐鉄道』で、ようやく謎が解けた。
ツートンカラーのスティックは、踏切の遮断ポールだったのだ!
磯たかこ
ピアニストにして、シンガー・ソングライター。
AOR(アダルトオリエンテッド・ロック)バンド『sweet sunshine』のキーボーディストとして、名古屋を中心に活動している。
記者は、以前『タナ・カミオとレインズ』で彼女の演奏とコーラスを聴いたことがあった。
ソフト&メロウなオリジナル曲だけでなく、「音楽人生に影響を与えたアーティスト」として名を挙げたユーミンのカバー曲も披露し、沸いた客席からは「イッソー」コールが飛び交い、ハンドクラップが惜しげもなく送られた。
オリジナル曲『プレーリー』は、優しく豊かなメロディだけでなく、タイトルに込められた意味を解き明かす歌詞も印象的だった。
MCによると、心を病んだ友人に向けて作った歌だとか。
写真を見てお気づきだろうが、「遮断ポール」スティックを加藤から借りて、オーディエンスを笑わせた。
そんなサービス精神もあってのことだろう、ジョイントライブというのにアンコールを引き出していた。
彼女が率いる『sweet sunshine』は、今池まつりの「今池ランド」(今池公園特設ステージ)で、9/15(日)13時よりライブの予定だそうだ。
松ノ葉楽団(ケガニ+パックワン)
京都を中心に活躍する「松ノ葉楽団」を率いるボーカル&ギターのケガニと、同じく京都で「パックワントリオ」を率いるボーカル&ギターのパックワンの、スペシャルユニット。
そもそも一人で来名する予定だったケガニが、「たまたまスケジュールが空いていた」パックワンを誘ったのだとか。
1.One Scotch, One Bourbon, One Beer
ケガニ 今の曲はアルコールソングでしたが、次はノンアルコール・ソングを1曲……
2.Hot Coffee Rag
パックワン 名古屋に着いて、「味仙」に行ったんですが……あれ、「あじせん」じゃなくて「みせん」なんですね!
ケガニ 俺は、「あれ?「みせん」じゃなかったかな……?」って思ってたんやけどね(笑)
パックワン え!?知ってたんなら、言ってよ!
ケガニ いや、あんまり自信満々だったし(場内笑)。
3.あかりがつけば
ケガニ 次の曲は、レッドベリーやCCR(Creedence Clearwater Revival)なんかが歌ってるトラディショナルで、レッドベリーが歌詞を付けたとも言われてます。受刑者が刑務所を早く出るには、深夜に走る特急のライトに照らされなきゃいけないって話を歌った曲です。
パックワン へぇ……そうなんだ。
ケガニ ……知らんかった?そうなんですよ(場内笑)。「ミッドナイト・スペシャル」って、「深夜特急」って意味ですから。そんな曲を、日本語の歌詞で歌います。
4.Midnight Special
パックワン マスター、ビールもう一杯もらっても良いですか?……次は僕が歌うので、ちょっと緊張してます。
ケガニ せっかくこの2人なので、パックワンの曲を演ろうかと思ったんですが……彼のは難しいので(笑)、松ノ葉楽団の曲をパックワンに歌ってもらいます。
5.つむじ風
パックワン 僕は、歴史についてのトークライブ(『歴史は誰にも語れない』シリーズ)に呼んでいただくことが多いので、今日は「こんなに長いこと演奏も出来るんだぞ!」というのを観てもらいたかったんですよね(笑)。
ちなみに、歴史トークライブにパックワンと一緒に出演している、地元出身で愛知県を中心に活躍しているシンガー・ソングライター そらしの も、観客席でステージを観ていた。
彼女は出演する『夏に恋する男たち女たち days.2』が次の日に迫っているというのに、わざわざ『days.1』に足を運んだのだ。
こちらに貼っているYouTube動画には、そらしのがチラチラ写り込んでいたりする、実は。
6.シンデレラ
ケガニ こうしてせっかく名古屋で呼んでもらえたので、他の場所でもライブが出来たら良かったんですが……明日は、松ノ葉楽団のベーシスト加藤(喬彦)くんの結婚式なので、京都に帰らないといけないんですよね。
パックワン パックワントリオでもベースを弾いてもらってるんで、僕も出席します。
ケガニ 2人で司会するんですが……大丈夫かね、こんなグダグダで(場内笑)?
7.夜行列車
演奏後、観客からの拍手は鳴り止まず、アンコールとなった。
enc.Green Beans
この歌によって、あらたるとから枝豆が提供された。
上野マスターが振る舞う枝豆は、燻製仕様のスペシャリテで、まさに「エンドレス枝豆」であった。
この夜演奏した曲の内3曲を収録した松ノ葉楽団の最新アルバム『Holiday』を購入し(無理を言ってお二人にサインしてもらい)、聴いてみたが……名盤だ。
「休みの日の午前中に聴くのが、最高!」と言うパックワンの言葉は、実に言い得て妙だった。
また、一緒に買った(そして、やはりサインをもらった)パックワントリオの最新アルバム『小競り合い』を聴いて、ケガニが「彼の曲は難しい」と言った意味を履き違えていたことを知った。
歴史好きのパックワンらしく、戦国時代から天下泰平、文明開化までをも網羅した、歴史ソングが4曲収録されていた。
勝手に、「講談バラッド」というジャンルで呼ぼうと思っている。
この後、【magical connection】は大トリの富山優子を迎え、一夜限りのエンディングセッションで大団円となるのだが……
続きは、こちらの後編をどうぞ――。
富山優子ライブレポート【マジカルコネクションvol.86】@カフェあらたると
松ノ葉楽団 公式サイト
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