名古屋のポップ・クラシック・ユニット FlyingDoctor(フライングドクター)結成10周年を記念して、ロングランで開催されている『FlyingDoctor10周年祭。祝いましょう、寿ぎましょう。』ライブも、いよいよ後半に差し掛かった。
題して、「flying popping cheer vol.4 FlyngDoctor10周年祭。祝いましょう、寿ぎましょう。 〜見せてやりましょう。そうしましょう。~」
「宗次ホールランチタイム名曲コンサートVol.1893 4人で奏でる小さなオーケストラ」と銘打たれた今回のステージは、ライブというよりコンサート。
サポートメンバーにチェリストの佐藤光を迎え、令和元年5月26日(日)の宗次ホール(名古屋市中区栄)は200人を超える聴衆を集める大盛況となった。
FlyingDoctor(フライングドクター)
宇野伊世(unoiyo)
担当:ソプラノ鍵盤ハーモニカ・アンデス・カホン・ピアノ・トイピアノなど
岩田祐衣子(yuipu)
担当:アルト鍵盤ハーモニカ・ヴァイオリン・ウクレレ・トイピアノなど
石田千尋(CHIKKY)
担当:バス鍵盤ハーモニカ・ピアノ・バスクラリネット・アコーディオン・グロッケンなど
11:30開演と同時にunoiyoがステージに登場すると、トイピアノの和音がホールに小さく響いた。
次に現れたのは、CHIKKY。バス鍵盤ハーモニカがリズムを刻む。
ここでサポートメンバー、佐藤光が入場。チェロの低音により、益々音は重厚になる。
最後に姿を見せたのは、yuipu。バイオリンがメロディを奏でる。
こうして、「4人で奏でる小さなオーケストラ」の幕が開いた。
ラヴェル:『ボレロ』
yuipu 途中、ピアノの演奏で不協和音みたいに聴こえたところがあったと思います。あれは、肘や手のひらを使って鍵盤をまとめて叩く「クラスター奏法」です。でも、クラスター奏法は禁止してるホールも多いんですね……ピアノが傷むので。で、こちらは禁止してるかどうか分からなかったので……「叩かない程度」にしてもらいました(笑)。
サン=サーンス:『動物の謝肉祭』
yuipu 小さな頃に好きだったCD付き絵本があって、その中でもこの曲が大好きだったんです。サン=サーンスは、とってもユーモアがあって、皮肉たっぷりな曲が多いんですが、「この日だけは、嫌なことを忘れて騒ごうよ!」っていう『動物の謝肉祭』は、まさにそんな曲です。フィナーレで出てこない動物もいるんですが、無理矢理全ての動物を登場させてみました。
ホルスト:組曲『惑星』
yuipu 全て演奏すると46分くらいになるので、コンサートが終わってしまうんですが、ギュッとコンパクトにして強引に全部の惑星を演奏します。宗次ホールで私たちが『惑星』を演奏するのは2回目なんですが、今回は佐藤さんのチェロで重厚な演奏になると思います。
ベートーヴェン:交響曲 第6番『田園』
佐藤光 FlyingDoctorは、学校の後輩になります。「一緒にやる」と決めて最初に行ったリハーサルから、もうご覧の通り楽しいことばかりで(笑)。今回、MCは曲をアレンジした者がやることになってます……と言うことで、この曲は僕の編曲なので、割りと普通かと(笑)。今日は凄く暑いですが、この曲は「春」を忍ばせましたので、感じていただけたら嬉しいです。
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 作品95『新世界より』
CHIKKY 日本人は「三大なんとか」が大好きですけど、こちらの曲は「三大交響曲」の1つです。ちなみに後の2つは、ベートーヴェン第5番『運命』と、シューベルトの『未完成交響曲』です。『新世界より』は、チェコで成功したドヴォルザークが、音楽院の学長として招かれて行ったアメリカで、故郷を想って作った曲です。だから、『新世界「より」』なんですね。4楽章まであり、最後の第4楽章は、それまでの第1楽章から第3楽章までが散りばめられています。
ガーシュウィン:『パリのアメリカ人』
CHIKKY 先ほどの『新世界より』はドヴォルザークがアメリカからチェコを想った曲でしたが、これはアメリカからパリを想って作った曲です。アメリカ人作曲家ガーシュウィンが、パリの華やかさや喧騒を思い描いたとされています。『パリのアメリカ人』は劇団四季の演目になって、名古屋でも今年上演されることを後から知って、「おぉ!」となりました(笑)。
ハチャトリアン:組曲『仮面舞踏会』より ワルツ
yuipu 先ほど石田千尋さんが言った「日本人は三大なんとかが大好き」ではないですが、ハチャトリアンは「ソビエト3巨匠」の1人です。『仮面舞踏会』は、フィギュアスケートでご存知の方も多いと思います。ワルツの割りに暗めなんですが、大好きな曲です。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
unoiyo 時間がやばいので、MCは割愛します(笑)。ドラマティックなこの曲を、この4人で演奏するのは本当に楽しみです。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番
今回はコンサートホールでの演奏、しかも「名曲コンサート」ということで、全曲カバー、しかもクラシックしばりの構成だった。
しかし、それがまた大好評。
「時間がやばい」ということで実現しなかったが、アンコールを求める拍手が中々鳴り止まず、終演のアナウンスが流れると客席のあちらこちらでは大きな溜め息が次々と聞かれた。
観客席を埋め尽くした200人以上のオーディエンスから贈られる喝采や花束、プレゼント、そしてサイン攻め……撤収の時間を気にしなければいけないほど、4人は笑顔の人々に囲まれ続けた。
『FlyngDoctor10周年祭』は、残すところ後3回のステージとなった。
今回の「見せてやりましょう。そうしましょう」も含めて計4回中3回以上の来場で、プレゼントが抽選でもらえるという『FlyngDoctor10周年祭』の後半編。
恒例の奇数月開催が最後まで続くので、次のライブは7月。
グランドフィナーレは、11月ということになる。
カフェのような小さな会場から、コンサートホールのような大ステージまで。
お母さんの膝に乗る赤ちゃんから、耳の肥えた年配の音楽愛好家まで。
童謡やアニソン、ゲーム音楽から、ポップス、オリジナル、クラシックの名曲まで。
FlyingDoctorが飛びまわるところ、いつも笑顔の花が咲く――。
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